南国土佐を後にして
劇場公開日:1959年8月2日
解説
ペギー葉山のヒット・ソングを背景にしたサスペンス・ドラマで、川内康範の原作を原作者自身と斎藤武市が脚色、「かわいい女」の斎藤武市が監督した。撮影は「若い豹のむれ」の高村倉太郎
1959年製作/78分/日本
原題または英題:Farewell to Southern Tosa
配給:日活
劇場公開日:1959年8月2日
ストーリー
“ダイスの眼”と異名をとる賭博の名手原田譲司は、刑期満了を期に母のぶと恋人春江の待つ故郷高知に向った。刑務所で聞いたペギー葉山の“南国土佐を後にして”が、彼に特攻隊で死んだ兄を思い出させ、彼は心を改めたのだ。亡き兄の許婚者だった、今は東京の料亭つかさを経営しているはま子は、この歌が好きで昔よく歌っていた。譲司が帰郷すると、春江は借金のためヤクザの北村と結婚しなければならぬ身の上となっていた。譲司は港湾事務所に勤め始めるが前科が知られて職を追われた。再び東京に出ようとする譲司をとめる春江に、北村一味の短刀が迫った。が、その時譲司のかつての仲間会津が現れて二人を救った。東京に出た譲司は、ペギー葉山に会って勇気づけられ、はま子のもとに下宿して職を探した。ある夜、北村に追れた春江が高知から逃げてきた。追って東京にやってきた北村は、百万円の借用証をつきつけて、譲司をおどした。仲間の会津を呼んだ譲司は、その金のために、もう一度ダイスを振る決意をした。ナイトクラブ“モカ”の一室で、譲司は一世一代の勝負にのりだした。そこにかつて譲司の就職を断わったことのある大川証券の社長が麻子とともにやってきた。勝負は、譲司と大川の対となり、金額は百万円につり上った。丁度その時、ペギー葉山の歌う“南国土佐を後にして”が譲司の耳にひびいてきた。とたんに出たダイスの目はオール・ワンだった。百万円を手に入れた譲司は、その金を北村にかえして彼等一味をたたきのめした。かけつけた春江と譲司は固く抱き合った。春江に、故郷の母親のことをたのんだ譲司は、今は心も晴れ晴れと、ひとり警視庁に歩をはこぶのだった。