東京裁判

劇場公開日:

東京裁判

解説

「人間の條件」「切腹」の名匠・小林正樹監督が、戦後日本の進路を決定づけたともいえる極東軍事裁判・通称「東京裁判」の記録を、膨大な映像群からまとめあげた4時間37分におよぶ歴史的ドキュメンタリー。第2次世界大戦後の昭和23年、東京・市ヶ谷にある旧陸軍省参謀本部で「極東国際軍事裁判」、俗にいう「東京裁判」が開廷。その模様は、アメリカ国防総省(ペンタゴン)による第2次世界大戦の記録として撮影され、密かに保管されていた。50万フィートにも及んだ記録フィルムは25年後に解禁され、その中には、法廷の様子のみならず、ヨーロッパ戦線や日中戦争、太平洋戦争などの記録も収められていた。それらの膨大なフィルムを中心に、戦前のニュース映画や諸外国のフィルムも交え、小林監督のもと5年の歳月をかけて編集、製作。戦後世界の原点をひも解いていく。1983年製作・公開。2019年には、監督補佐・脚本の小笠原清らの監修のもとで修復された4Kデジタルリマスター版が公開される。

1983年製作/277分/日本
配給:太秦
劇場公開日:2019年8月3日

その他の公開日:1983年6月4日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

スタッフ・キャスト

監督
原案
稲垣俊
脚本
小林正樹
小笠原清
総プロデューサー
足澤禎吉
須藤博
エグゼクティブプロデューサー
杉山捷三
プロデューサー
荒木正也
安武龍
編集
浦岡敬一
録音
西崎英雄
音楽
武満徹
演奏
東京コンサーツ
ナレーター
佐藤慶
資料撮影
奥村祐治
ネガ編集
南とめ
監督補佐
小笠原清
ナレーター
佐藤慶
翻訳監修
山崎剛太郎
史実考査
細谷千博
安藤仁介
助監督
戸井田克彦
製作進行
光森忠勝
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映画レビュー

5.0歴史の証言の貴重な記録

2019年8月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

東京裁判の模様や、満州事変当時の満州の様子、溥儀の生前当時の映像や、大川周明の「奇行」など、貴重な映像資料のオンパレードでまさに歴史の記録として完成度が作品。あまりこういう言い方は好きではないけれど、この作品に関しては日本人は一度は観た方が良い。 東京裁判の、各国の思惑のぶつかり合いを克明に解き明かし、世界のうねりの中で日本人がどのような立ち位置に置かれ、どんな思惑で動いたのかを丹念にわかりやすく見せている。 この作品で主要な位置を占める東京裁判の記録映像は、アメリカ国防総省が撮影し、保管していたものだ。大変に貴重な記録であり、そこで何が争われていたのか、アメリカからやってきた弁護士たちは人権とアメリカの国益の板挟みになりながら奮闘していた姿、フィリピン人判事の憎悪、インドのパール判事の立ち位置や、ニュージーランド人の裁判長と米国側の確執など余すところなく魅せる。やはり記録とはものすごい重要なものだ。簡単に破棄していいものではないのだ。

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杉本穂高

4.5ズッシリな日本の歴史の備忘録‼️

2024年11月17日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

悲しい

怖い

興奮

東京裁判、極東国際軍事裁判のことです‼️アメリカ軍が撮影した100万フィートに及ぶフィルムから生まれた4時間37分の重厚なドキュメンタリー‼️1万字を超える字幕スーパー、佐藤慶さんのナレーション、被告たちと検事たちとの肉声によるやりとりなど、ドキュメンタリーというリアルさを通り越した実感にあふれてますよね‼️4時間37分というドキュメンタリーなんですが、内容やテーマは別として、ホントに映画として面白く出来てます‼️やはりキチンと脚本を書き、ドラマチックな小林正樹監督の演出が素晴らしいですね‼️この作品を観ると、戦争がどのようにして起こり、戦勝国が敗戦国を裁くことがどのようなことか、よく分かります‼️あぁ恐ろしい‼️

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活動写真愛好家

4.5勝てば官軍

2024年8月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

この時期限定の復活上映ということで意を決して鑑賞してきました。

引き込まれ、あっという間の4時間半でした。

戦争とは、平和とは、いろいろと考えるきっかけを与えくれました。

ウエッブ氏の少数意見、マッカーサーが述べたとされる東京裁判が平和に影響を与えてほしいとのコメントと朝鮮戦争での核兵器使用を強く主張し続けたことの矛盾が興味深く感じました。

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アキラ

4.5絶対見た方がいいと思える映画

2024年8月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

広島だからなのか、8月は大東亜戦争に絡んだ映画がよく上映されています。
「東京裁判」のドキュメンタリーは見たことあるのですが、映画は初めて見ました。

率直な感想として、ドキュメンタリーでまとめられたものと、実際の裁判映像を写したものとでは受ける印象が全く違いました。
東條英機が知り合いにおふざけで頭をこづかれて笑っていたり、判決が出た時にしっかりお辞儀をする場面などを見ると、身近に感じれられて、これまで持っていた印象が変わりました。

連合国側に一方的に裁かれる理不尽な裁判だという印象を持っていましたが、裁判官、弁護人の方々の中には、自分の正義を貫いたり、論理的で公平な意見を述べる方もいて、思っていたよりもちゃんとした裁判で、感動を覚える程でした。

オーストラリアのウェッブ裁判長は「天皇が議会で決定した事にただ同意するだけの存在だとしても、天皇に罪がないとするならば、その下にいる大臣達が有罪になるのはおかしい」
と意見していて、インドのパール裁判官は「そもそも自衛のための戦争か侵略の戦争かを議論する前に、日本の戦争が侵略戦争であったと始めから決めつけているし、侵略戦争が罪になるのならば、植民地時代から裁判をしなくてはおかしい。」と意見していて、日本ではあまり聞かれない真っ当な疑問をぶつけています。

映画の中では戦後の日本国民の反天皇運動の映像もあって、抑圧から解放されたかのようにそれまでの日本を否定する流れがあって、政府や軍人が罪人となった結果だけが残っていったような気がします。

戦争自体の罪は曖昧で、もし罪だとするならば歴史のどこから裁けばいいのか?
国家で行なったことの責任を個人が背負うのか?という問題は解決されないまま、結局は多数決で判決が決まってしまいます。
確かなことはナチスによるホロコーストのような虐殺は罪であること。戦争による罪を問うと戦勝国側も裁かなくてはならない矛盾にぶつかるので、虐殺を理由に裁いたという印象が強く残りました。

国際法が大事だと思いますが、現代のマスコミの報道でも感情を煽ってくるばかりで、何が悪くて何が正しいとされているのかが非常に曖昧なままに、ただ可哀想という感情や、勝ちそうか負けそうかだけが議論されて、東京裁判で交わされていた疑問はあまり解消されないまま、時代は流れいったのだと思ってしまいます。

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ジュンヤ