千姫御殿(1960)

劇場公開日:

解説

山本富士子の千姫映画で、「町奉行日記 鉄火牡丹」の八尋不二の脚本を、同じく「町奉行日記 鉄火牡丹」の三隅研次が監督した。撮影は「月影兵庫 上段霞斬り」の竹村康和。

1960年製作/97分/日本
原題または英題:Storming Squadron
配給:大映
劇場公開日:1960年1月14日

ストーリー

大阪落城の際、坂崎出羽守に救い出された千姫は、坂崎の求婚を斥け、本多家に再婚した。が、千姫は吉田御殿にこもって遊興にあけ暮れた。大工の芳之助は一夜の伽を命じられたが、翌朝死体となって許婚者おかつに発見された。吉田御殿の悪評は紛々だった。本多家の若侍小林万次郎は、姫と刺しちがえて死ぬより方法はないと言い、自らその役を買って出た。しかし、万次郎は姫の美しさの虜となった。やがて、万次郎の死体も沼に上った。--千姫に、田原喜八郎と名乗る若侍が近づいた。幸若舞の名手で、毅然とした態度が千姫の心をうった。この二人の間の空気を察した、老女如月の目が光った。千姫の夢を破ったのは、芳之助の仇を討たんと、下婢として入りこんでいたおかつだった。白刄をつきつけられ、妖婦とののしられて、千姫は驚いた。自分に近づいた男が次から次へと殺されたと聞いては、なおさらのことである。如月はおかつを斬ろうとしたが、喜八郎が身柄を預かった。田原喜八郎、実は本多佐渡守の命を受け、千姫の身辺をさぐる隠密であった。佐渡守から千姫の行状を訴える書状を見せられ、喜八郎はこの中傷は誰がするものかと考えこんだ。遠駈の日、千姫と喜八郎は武蔵野の原野で抱き合った。喜八郎は、千姫のよからぬ中傷の主が、如月であることを知った。如月は千姫のために身を滅ぼした坂崎出羽守の姉だった。如月は時到れりと、千姫に刀を抜いて迫った。この時、喜八郎が駈けつけ、如月を斬った。--上使として、柳生但馬守が吉田御殿を訪れた。家康の遺言通り、再縁するか、もしくは尼になれというのである。千姫はこばんだ。喜八郎は佐渡守に真相を話し、幕府の評定をくつがえそうとした。が、佐渡守は恋に目がくらんだとして、閉門を命じた。佐渡守は千姫の前に現われ、喜八郎は公儀隠密としての役目を果した、姫は御剃髪されるようと言った。喜八郎が隠密と知った千姫は、絶望だった。喜八郎は切腹を命じられ、これを受けた。千姫の剃髪式、その時喜八郎の遺書を持っておかつが駈けつけた。千姫は喜八郎の真実の心を知り、「私は幸せな女でした」と叫んだ。

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