千羽づる(1989)
劇場公開日:1989年6月24日
解説
幼くして被爆した少女が小学6年で死ぬまでの短い青春を描く。手島悠介原作の同名小説の映画化で、脚本・監督は「ハチ公物語」の神山征二郎、共同脚本は「春駒のうた」の松田昭三、撮影は「神々の履歴書」の南文憲がそれぞれ担当。
1989年製作/96分/日本
配給:共同映画
劇場公開日:1989年6月24日
ストーリー
昭和29年4月、広島。理髪店を営む佐々木夫妻の娘・禎子は小学6年生になった。活発で心の優しい禎子は友達も多くスポーツも得意。秋の運動会では駆けっこでクラスを優勝に導くなど楽しい学校生活を送っていた。しかし、秋の終り頃禎子は風邪をひいてリンパ腺を腫らした。なかなか治らないので近所の医者はABCC(原爆傷害調査委員会)の検査を受けるよう勧めた。その結果、禎子は風邪ではなく、被爆が原因の白血病だった。昭和20年8月6日、広島に原爆が投下された時に禎子は爆心地から2キロ離れた所におり、黒い雨を浴びたのだった。重子は医者から禎子の命が後数ヵ月しかないことを知らされて愕然としたが本人には教えなかった。禎子はクラスメートに別れを告げて入院、明るい性格から病院でも人気者になった。しかし、原爆症には高価な薬が必要で入院費もかさみ家計も苦しくなった。昭和30年4月、禎子はやつれがひどくなり二人部屋へ移った。そこで雨宮由紀子という2歳上のお姉さんと出会った。初めのうちなかなか打ち解けなかったが、次第に鶴の折り方を教えてもらうなど仲よくなった。禎子はある日、看護婦の話から自分が白血病であることを知り、またこっそりカルテを見ることで病状の変化も把握していたのだった。やがて由紀子は退院していった。禎子は一人で鶴を折りながら入院生活を送っていたが、体は衰弱していき、両親やクラスメートが見守る中息を引きとった。昭和33年5月5日、禎子ちゃんをモデルにした、「原爆の子の像」が広島市の平和公園の一角に建設された。