銭ゲバ

劇場公開日:

解説

少年サンデーに連載されて反響を呼んだ、ジョージ秋山のマンガの映画化。脚本は「女殺し屋 牝犬」の小滝光郎と高畠久の共同執筆。監督は「ドリフターズですよ! 全員突撃」の和田嘉訓、撮影は「残酷おんな情死」の安藤圧平がそれぞれ担当。

1970年製作/90分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1970年10月31日

ストーリー

貧しく粗暴で醜い青年蒲郡風太郎は、小さいころ母が病気にかかり、金がないばかりに医者にソッポを向かれて死んでしまってからというもの“金のためならなんでもする”という信念を持つに至った。何とか最下層の生活から這い上ろうとする風太郎は、兄丸社長の車にわざとぶつかり、社長の家にころがり込む。姉娘の三枝子から“ウスギタないアニマル”とさげすまれるが、せっかく関係をつけた金ヅルを、そう簡単には逃がそうとはしなかった。彼はこの家で自分の地位を築こうと、醜い妹娘の正美を自分のものにして、恋人の運転手を殺してしまう。その上、社長に取り入るため、悪友と計って、社の給料一億円を襲わせ、彼の力で取り返すという芝居を打った。この芝居はみごと成功し、感激した社長は風太郎を一躍重役に抜擢した。風太郎の欲望は底のない穴のように深く果てしがなかった。あらゆる権謀術数をもちいて、兄丸社長を惨殺し、三枝子を強姦し、妻の正美を自殺にと追いやり、金をせびりに来た父親さえも殺してしまった。殺人地獄はまだ続いた。彼を軽蔑し憎悪してやまない三枝子を、三枝子と彼の間に生まれた醜い子を、友達を次々と殺害していった。しかしさすがの彼も、生きていく重味にたまらなくなって慟哭してしまった。風太郎は涙をふり払った。「泣くのはよしゃがれッ、銭ゲバよ!」

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映画レビュー

3.0タイトルなし

2024年10月14日
Androidアプリから投稿

緑魔子、横山リエがスタイリッシュ&セクシー ドヌーヴ&ドルレアック姉妹に負けてるとこが見当たりません。 1970年ですから、演技も出来て脱げる女優なんて、数える程しかいなかったでしょうが、こんな魅力的な女優は現代にいないです。 やはり時代の顔というのは、なるべく人がなるものなんですねー。 鈴木いづみの敗北の場面は、彼女の人生とも重なる気がして、切なかった。しかし、誰もがあの選択に自分を見てしまう。シンプルながら、名シーンといえるでしょう。 唐十郎は不思議な色気がありますね。

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こうた

3.5アングラ演劇の旗手として注目されていた時期の唐十郎氏の映画主演は貴重

2024年10月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

今年5月に逝去された唐十郎氏の特集上映「怪人物! 唐十郎の映画――時代と共鳴したアングラの旗手」(2024年10月12日~11月1日@神保町シアター)にてジョージ秋山先生原作の『銭ゲバ』(1970)を初鑑賞。 『銭ゲバ』(1970) 2024年現在一度もパッケージ化、未配信の幻のお宝封印作品といわれる作品。 お金が無いため不遇な少年時代を送った蒲郡風太郎(演:唐十郎氏)がその反動から「金のためなら何でもする」と邪魔者を次々消し去り、億万長者になるストーリーですが、実際に観てみると特に放送禁止になりそうな表現や演出もなく、ひとえに製作会社の近代放映が倒産したことが原因と思われますね。(確かにひたすら登場人物が亡くなる全く救われないお話でしたが…) 公開当時の唐氏は30歳。アングラ演劇の旗手として注目されていた時期の映画主演は大変貴重、共演の加藤武氏、緑魔子氏、岸田森氏、左とん平氏も好演でした。 時代も政治の季節が終わり、世間の白けた空気が本作からもヒシヒシと感じましたね。 東京国立近代美術館フィルムセンターにも所蔵されておらず、時代を写す歴史的価値ある作品なので、何とかしたいものですね。

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矢萩久登