次郎物語(1987)

劇場公開日:

解説

親と子の心のふれあいを描いた古典的名作の映画化。原作は下村湖人の同名小説、脚本は「白い野望」の井手雅人、監督は「きみが輝くとき」の森川時久、撮影は「親鸞 白い道」の山崎善弘がそれぞれ担当。

1987年製作/110分/日本
原題または英題:The Story of Jiro
配給:東宝
劇場公開日:1987年7月4日

ストーリー

昭和の初め、次郎は母・お民の体が弱かったため、生まれてすぐお浜の家に預けられた。お民も元気になり実家に引きとられたが、お浜になついている次郎は連れ戻されるたびに逃げ帰るのだった。次郎の実家、本田家は、古くから続いた由緒正しい家柄で、士族の格式を守り子供たちの躾も厳しかった。6歳の夏、とうとう実家に連れ戻された次郎は、それまで自然の中で伸び伸びと育てられていたから、本田家の家風に息もつまりそうな思いの日々が始まる。祖母のおことは、乳母のお浜を恋しがる次郎に何かにつけて辛くあたった。体の丈夫でないお民は、おことと次郎の間でおろおろするばかり。父親の俊亮は、遠く離れた役所に勤めていたため、週に一度しか帰宅しなかったが、次郎を兄弟と分けへだてなく可愛がってくれた。十歳になった次郎は、相変わらず家庭に馴染まず、お民の実家、正木家や同級生の竜一の家へ行くことで寂しさを紛らわせていた。正木家の雇人、喜さぶは次郎を弟のようにかばってくれる。喜さぶと竜一の姉、春子とは相愛の仲だったが、喜さぶの家の没落で身分が変り、春子は遠い東京へ嫁入りすることになった。ある日、次郎は餓鬼大将にいじめられている兄と弟を助け、逆に餓鬼大将に怪我させてしまう。そのことでおことやお民に責められる彼の味方となったのは俊亮だった。次郎がようやく本田家の毎日に馴染む頃から、悪いことが続くようになった。次郎を可愛がってくれた祖父、恭亮が死に、その看病疲れからお民も発病、そして本田家の破産。一家は町に移り慣れない商売を始めたが、次郎は正木一家でお民の看病をすることになった。同じ頃、お浜の一家も夜逃げ同然に故郷を離れ、消息が知れなくなっていた。お民の病は重かったが、一所懸命看病する次郎にお民もうちとけ、二人の間にはようやく母と子の愛情が通じ合うのだった。夏になり、浮立の踊りに参加する次郎の衣裳を縫いあげ送り出したお民は、知らせを聞いて炭鉱から駈けつけたお浜にこれまでの非礼を詫びた。浮立連の中で踊っていた次郎は、お民の容態急変の知らせに枕許に急ぐが、お民の顔は既に白布で覆われていた。

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映画レビュー

3.0今や老害、ピン子でスタート。ピン子に可愛がられたっていう理由でか、...

2024年3月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

今や老害、ピン子でスタート。ピン子に可愛がられたっていう理由でか、主人公次郎を今一つ好きになれない(笑)いや、とにかく微妙な主人公。絶対、母高橋恵子の方がいいでしょう。
ところどころで入るナレーションが邪魔。泣くには至らず。

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はむひろみ

3.0演者の佐賀弁がカンペキ!

2024年3月17日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

幸せ

1941年に日活が製作したのを皮切りに、実に4度も映画化されている『次郎物語』。
本作は1987年に公開されたが、それ以降はリメイクされていない。

原作者である下村湖人の自伝的なストーリーとされるが、実は、下村の死によって小説としては未完のままとなっている。

佐賀の旧家・本田家に生まれた次郎の視点で、家族の愛憎、さまざまな出会いと別れを描く。

なぜ、4回も製作されたのか?
おそらく全国共通の日本(ムラ社会)の原風景が描かれているからではないだろうか。

泉ピン子が次郎の乳母役で出演しており、底意地の悪い次郎の祖母の存在含め、『おしん』を思い出してしまう(笑)

先に述べた祖母以外は、登場人物たちはみんな優しい。
加藤剛が演じた父親に至っては、立派すぎて神々しさを感じるレベルである。
高橋恵子演じる母親は、後半になると、菩薩のようになっていく。その美貌も含め理想の母親と言えるだろう。

しかし、である。
いまのZ世代の皆さんは、この映画の世界を信じることができるだろうか?
・ゴハンをおかわりする所作を繰り返し練習したり、
・干潟で泥んこ遊びに興じたり、
・仏壇の前で長時間正座をしたり、
・いたずらをしたら柱に縛り付けられたり、
全編通じて隔世の感が漂う。
もうリメイクはおこなわれないかもしれない。

個人的に一番驚いたのは、
演者の皆さんの佐賀弁がかなり上手すぎて、
観る人が正しく理解できるか心配になってしまうレベルだったこと。
佐賀の人であっても、若い方などは聞いたことないフレーズがたくさん出たはずで、字幕を要するのではないかと余計なことが心配になってしまった。

音楽は、さだまさし。
スメタナの名曲に日本語歌詞をあて、
『男は大きな河になれ~モルダウより~』
として、挿入されている。

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Haihai

3.5とびとびの物語だが、周囲の人物の演技が良い

2024年3月10日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

総合:70点 ( ストーリー:70点|キャスト:75点|演出:70点|ビジュアル:75点|音楽:60点 )

 原作は下村湖人の同名小説で、小学生か中学生のころに読んだが当時はあまりはまらずよく覚えていない。この作品も若いころに観たが、やはりそれほど面白いと思った記憶はない。久々の鑑賞で年齢を重ねてみるとどう思うか。

 結果的には昔観た時よりもずっと良いと思えた。病弱の母と乳母との人間関係があった複雑な少年時代を過ごした少年の姿が、昔の日本の美しいのどかな風景を背景にして綴られていた。
 乳母・母・祖母・父親など、登場人物の演技はしっかりとしていて良かった。泉ピン子の演技はやはり上手いし、実母の高橋惠子の儚い美しさも印象に残る。物わかりの良い父親加藤剛と、この時代の名家出身らしい傲慢な祖母大塚道子も上手い。
 日本の昔の風景の撮影にはこだわりをもって撮影されていて、美術も良く出来ていた。

 だが短い作品の中に長い原作を無理やり押し込んだために、どうしても物語はとびとびで内容が薄い。主人公の葛藤が十分に描写されてはいないし、問題が起きてもあっさりと収まってしまう。最後は少し成長した主人公が登場して終わるが、これは続編を意識していたのだろうか。
 さだまさしの音楽はスメタナのモルダウを基にしているのだが、どうもこの旋律を聞くとモルダウの印象が強くてこの明治時代日本の話とは合っていないように思える。

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Cape God