四万十川

劇場公開日:

解説

昭和30年代の高知県・四万十川を舞台に、一人の少年の眼を通して、そこに住む人々の生活模様を描く。笹山久三原作の同名小説の映画化で、脚本は「パッセンジャー 過ぎ去りし日々」の古田求が執筆。監督は「生きてみたいもう一度 新宿バス放火事件」の恩地日出夫。撮影は「死の棘」の安藤庄平がそれぞれ担当。

1991年製作/111分/日本
配給:ヘラルド・エース=日本へラルド映画
劇場公開日:1991年12月7日

あらすじ

四万十川流域に小さな食料品店を営む山本家。一家の主、秀男は出稼ぎに出ており、妻のスミが店を切り盛りしていた。ある日、秀男が出稼ぎ先で大怪我をして宇和島の病院へ入院することになり、長女の朝子は集団就職をやめて家へ残ることになる。五人兄弟の次男で小学校三年生の篤義は、クラスのいじめられっ子だったが、くじけず元気に成長していた。夏休みも近いころ、篤義の学校で鉛筆削り紛失の事件が起こった。その犯人に、やはりクラスのいじめられっ子である千代子が祭り上げられ、そんな彼女をかばって自分が盗んだと名乗りあげる篤義。だが実は心の中で千代子を疑っていたことを悟った篤義は言いようのない嫌悪感を感じていた。夏休みが過ぎ、二学期が始まった。教員室に呼ばれた篤義は、井戸に小便を仕込んだと覚えのない濡れ衣をかぶる。実は学校で「いらん子」といじめられた友達の太一が、相手の家の井戸に小便をしたのだった。その気持ちが痛いほどわかった篤義は太一と一緒に処罰を受ける。数日後、秀男が退院して家に帰って来た。それと同時に朝子は町に働きに出る。皆が朝子を見送る中、ひとり四万十川を見下ろす山頂に登った篤義は、朝子の乗った列車を見つめながら泣いた。それからしばらくして、四万十川流域に台風が直撃。篤義たちは危うく難を逃れたが、家も店もつぶれてしまう。さらに何日か経ち、秀男は再び出稼ぎに出る。四万十川の流れを背に、そこに父と子の静かな別れがあった。そして篤義はまた大人に近づくのだった。

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受賞歴

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映画レビュー

4.0直接的な人間関係の過去世界とスマホ現代社会との比較に想いを馳せ…

2025年2月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

大好きな山田洋次の「息子」が
キネマ旬報ベストワンになった年に
第10位に選ばれた作品。
TV放映になったので初鑑賞した。

監督の恩地日出夫さんの姿は、
むかしTVで良くみていたような気がするが
何の番組だったのかは思い出せない。
また、TV「傷だらけの天使」の監督だった
というのも初認識だった。

さて、素朴な時代の素朴な地方を舞台とした
この作品、私事とは時代も背景も異なる
ものの色々なことを思い出させた。
・働きに出る長女のシーンでは、
7人姉弟の長女だっため、家計や負担を考えて
上の学校へ進めなかった母のこと。
・米だけの弁当しか持って来れない少女
のシーンでは、
貧しくて登校出来ない同級生の家に
給食のコッペパンを届けた思い出。
・被害を受けている女生徒を傍観するのは、
加害者と同じだと諭す姉の科白は、
映画「紳士協定」やキング牧師の演説
“最大の悲劇は…善人の沈黙である”
を思い出させた。

それにしても、
冒頭での主人公宅の家の構造から、
川が増水したら流されないだろうかと
見ていたら、なんと終盤に台風で
家が破壊されてしまい、
昨今の水害を彷彿させる附合性に
大変驚かされた。

作品の完成度は及ばないと思われるものの、
宮本輝原作で小栗康平監督作品
「泥の河」を思い出させるようなこの映画、
古い因習に縛られながらも、
直接的な人間関係の中で
素朴に生きた過去の世界と、
こうしてスマホをいじっての
直接の人間関係の薄くなった現代社会と
どちらが幸福なのか、
過去への想いを馳せながら、
改めて考えさせる作品ではあった。

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KENZO一級建築士事務所

3.0昭和の田舎のノスタルジックな雰囲気を楽しむ作品。 ストーリーは子ど...

2025年2月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

昭和の田舎のノスタルジックな雰囲気を楽しむ作品。
ストーリーは子どもの世界もいろいろあるのね、で良い。大きな山場があるわけでもなく(台風くらいか)正直面白いとは言えない。
私の最大の感想はあんな母さん欲しかった(笑)
No.1美女はもちろん樋口可南子
BS松竹東急ノーカット

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はむひろみ

3.0昭和34年

2025年2月8日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

笑える

悲しい

まだ貧しい日本、高知の四万十川流域で暮らす一家の一年を、小学三年生の主人公の目から描いていく。
父(小林薫)の出稼ぎで生計を立てていた一家は、父の怪我により母(樋口可南子)の頑張りも虚しく、中学卒業前の長女を紡績会社に働きに出すことに。
主人公は学校、友人、親兄弟により、社会の厳しさを知り、涙を流すシーンは”子ども”からの別れのようでもある。

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いやよセブン