四季の愛欲
劇場公開日:1958年6月10日
解説
丹羽文雄の『四季の演技』を、長谷部慶次が脚色、「美徳のよろめき」の中平康が監督、「麻薬3号」の山崎善弘が撮影した愛欲もの。主演は「暖簾」の山田五十鈴、「どうせひろった恋だもの」の安井昌二、「日日の背信」の桂木洋子、「大阪娘と野郎ども」の中原早苗。その他、渡辺美佐子、永井智雄、楠侑子、小高雄二など。
1958年製作/96分/日本
原題または英題:The Seasons of Love
配給:日活
劇場公開日:1958年6月10日
ストーリー
誠実な作家といわれる清水谷暁は母親浦子から金を無心された。男と熱海へ行くためだ。彼女は近所に住み、時にやってくる。彼女は男のために小さい暁を捨て、彼が名声を得たのち名乗り出たのだ。暁の妻・ファッションモデルの吟子と仲が悪い。暁の妹桃子が宇都宮から上京してきた。夫建部と子がありながら、いとこの赤星と恋愛しているという。浦子は熱海で布地問屋の主人平川と逢っていた。--吟子は近く行われるミス・ユニバースの決選で有力候補になっていた。彼女はスポンサーの平川にパリに行かせることを条件に誘いかけた。浦子と平川の関係を知って吟子は夫に別居を迫った。暁はそれに応じた。末娘の春枝は兄に同情し、友人の品子を紹介した。暁は那須高原ホテルに旅したが、そこに働く未亡人百合子にひかれた。彼が帰ったあと、同じホテルで吟子は平川に体を許す。--浦子は平川から別れ話を持ちだされ、急にしぼんだふうだった。桃子も赤星から別離をいい渡される。金融業の高輪女史からの圧力だ。浦子は家出したが、一週間のち銀座裏の料理店の女中監督として、生き返ったように働いていた。再び平川の誘いには乗らぬという。吟子はミス・ユニバースに落選した。彼女の素行が審査員に知れ渡っていたのだ。暁は桃子を那須で静養させようとした。途中、宇都宮で、やはり桃子は降りた。建部は何も云わずに彼女を迎えた。暁はそのまま那須へ向い、その夜、百合子と結ばれた。翌朝、吟子が外国人客と泊りにきた。彼女から暁が夫と聞いて、百合子は彼を責めた。が、彼の愛情には偽りはなかった。彼を駅まで送った百合子を、ちょうど品子をつれてきた春江が見、暁を不潔とののしった。「お母さんの方がずっと清潔よ」そのとき、青森行きの汽車が動き出し、その窓に平川と一緒にいる浦子のみちたりたような横顔が見えた。汽車は出発し、四人はそれを見送った。その場に呆然と立ちつくしたまま。