三百六十五夜(1962)
劇場公開日:1962年9月9日
解説
小島政二郎原作を「民謡の旅桜島 おてもやん」の渡辺邦男が脚色・監督したメロドラマ。撮影もコンビの渡辺孝。
1962年製作/95分/日本
配給:東映
劇場公開日:1962年9月9日
ストーリー
有望な技師として嘱目されている川北小六には大きな悩みがあった。父佐吉の会社が経営不振の時、六百万円の大金を貸してくれた小牧商会の一人娘蘭子が、結婚を迫っているのだ。小六は下宿の大江家の一人娘照子と相思相愛の仲である。その話を聞いた照子の母しづ子は、川北家のため金を用立てしたが、不意に訪れたしづの前夫坂本東吉のために持ち去られてしまった。東吉はその金で小牧商会支配人津川のインチキ賭博にひっかかった。津川は蘭子にプロポーズする傍ら、遠縁の照子にもモーションをかけていた。家屋敷を抵当に入れ三百五十万円を借金し、小六の父へ送るように頼みに来た照子を津川は箱根へ誘うが、ままにならぬ照子に業を煮やし、インチキで大江家を乗っとり親娘を追い出してしまった。職を求める照子は、津川の経営するエロ会社とは知らずに危うく就職しようとしたが、宮島画伯に助けられた。照子をモデルにした画伯の傑作が展覧会の話題になると、津川は赤新聞を使い画伯の失脚を図った。そんな照子を津川は冷笑し、蘭子は同情した。度重なる不幸のため床に伏したしづ子の前で、小六は照子との結婚を誓った。小六は津川の不正を追及し、照子が津川に手渡した借用証書の返済を迫った。小六を追って来た照子は津川に捕えられ手ごめにされかかった。だが、東吉の短刀が津川に突き刺さり、彼もその場で息を引きとった。東吉こそ照子の父親で、満洲時代にしづ子の夫であったが、身持が悪いため離婚していたのだった。来合わせた蘭子は、自分も小六を深く愛していながら、二人が強い愛の絆で結ばれているのを見て、潔よく身をひき二人の幸福を心から祈った。二人の手許に宮島画伯の書いた例の絵と、一千万円の約手が届いた。蘭子が二人を祝福しての心からの贈りものだった。そして、また、小六への最後の愛の表現でもあったろう。