SADA

劇場公開日:

解説

昭和11年、愛した男の性器を切断するという事件を起こして世間を騒がせた阿部定の半生を綴る人間ドラマ。監督は「三毛猫ホームズの推理」の大林宣彦。脚本は、自らの原作を基に執筆した西澤裕子。撮影を「良寛」の坂本典隆が担当している。主演は、「失楽園」の黒木瞳と「でべそ」の片岡鶴太郎。第48回ベルリン国際映画祭国際批評家連盟賞受賞作品。

1998年製作/132分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1998年4月11日

ストーリー

1919年夏。14歳の定は、慶応ボーイの斉藤に旅館に連れ込まれ、処女を失う。ひどい痛みと出血に泣きじゃくる定。そんな彼女を介抱してくれたのは、同じ慶応ボーイで医学生の岡田であった。優しい岡田に定は想いを寄せるが、岡田は定を一度も抱くことなく彼女の前から姿を消してしまう。その後、定は近所のガキ大将・金ちゃんらと不良生活を経て、1923年、義兄・滝口の紹介で芸者置屋の門を潜る。神田の畳屋の末っ子として生まれた定は、三味線や歌に秀でており、たちまち売れっ子となった。時は流れ、あちこちの遊郭を転々とした定・29歳の時。政府外郭団体の大物・宮崎の妾宅に暮らしていた彼女は、名古屋市議会議員の立花を紹介され、彼の愛人となる。立花の寵愛をうけ、安定した生活を送るようになる定。埼玉に住む両親にも孝行が出来るようになった彼女であったが、しかし今でも気がかりなのは岡田の行方だ。そこで、立花に無理を言って岡田の行方を探して貰うが、実は岡田はハンセン病で瀬戸内海のある島に隔離され、生死も定かでないことが判明する。1936年、31歳になった定は、立花の薦めで料亭「きく本」に見習いへ出る。ところが、彼女は店の主人・喜久本龍蔵といい仲になってしまうのである。龍蔵との濃密な情交に溺れていく定。そのことが女将・よしに知れると、彼女は店を飛び出し、龍蔵と待合を渡り歩く暮らしをする。もはや、彼女は龍蔵なしでは生きていられないほど彼を愛していた。同年5月17日の夜、定は龍蔵の首に腰紐を巻きつけ殺害。男根を切断すると、それを帯の間に大切にしまって姿をくらますのであった。彼女が逮捕されたのは、それから2日後のことだった。彼女の事件は当時の新聞を騒がせたが、一般には恋に生きる女性として好意的に受け取られた。その年の暮れ、彼女に懲役6年の判決が下りる。その後、彼女がどのように生きたか詳しく知る者はいないが、ハンセン病の隔離政策も解かれた現代・1998年。もし、定が生きていれば93歳になっている筈である──。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

監督
脚色
西澤裕子
原作
西澤裕子
撮影台本
大林宣彦
製作
鍋島壽夫
プロデューサー
大林恭子
撮影
坂本典隆
美術
竹内公一
装飾
浜村幸一
音楽
學草太郎
音楽プロデューサー
加藤明代
主題歌
マキ凛子
録音
北村峰晴
音響デザイン
林昌平
照明
西表灯光
編集
大林宣彦
衣裳
万木利昭
東宝コスチューム
編曲
山下康介
制作担当
佐々木孝裕
助監督
廬田完
スクリプター
竹本貴久子
スチール
石原宏一
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映画レビュー

4.0黒木瞳さんの阿部定が可愛い

2022年8月3日
iPhoneアプリから投稿

大林監督を知った最初の作品。演出が独特で引き込まれる。ストーリーも実際の事件がベースなだけあって、ショッキングだけどリアリティがあって良い。

黒木瞳さんの演じる阿部定が可愛くて色ぽくて最高。

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セツ

2.0なんでこんな演出?

2022年4月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

寝られる

ベルリン国際映画祭で受賞したというが、なんで?どこが評価されたのだろう?ジャポニズム?セットの、登場人物の立ち振る舞いは、趣向を凝らしていて、きれいな部分はたくさんある。
 でも、トータルでみると…。
 日本を知る日本人には、苦笑もしくはしらけてしまうような演出も多々あって…。

『戯作』とわざわざ明記したように、お芝居ちっくにしたかったのは、わかる。
さまざまなところに挟み込まれる、大仰なセリフ・立ち回り。コミカルチックに展開する場面。けれどもその演出が空回り。全然活きていない。
 良い役者たちを使って、何をしたかったのか…。
 黒木さんの14歳。さすが元宝塚の娘役トップと、たたえたいショットはありつつも、あの演出ですべては台無し…。

戦争の色濃くなる様はわかるとして、なぜにハンセン氏病を入れたのかも意味不明。

”本当の愛”を知らない定の流されていくさまを表現したかったのか。
”離人感”の現実味のなさを表現したかったのか。
 少し優しくされたからと、もしくは自分をかまってくれることで、すぐに惚れてしまう定。
 ちゃんと自分のことを考えていたわってくれる存在を、それとして認識できなかった定。
 だから、龍蔵にのめりこむさまよりも、
 立花先生の「一緒に旅行しよう」という申し出を断って(岡田のことを思い切って)、立花先生から「いい人と夫婦にさせてあげる」という言葉に見せる、見捨てられた子犬のような表情が印象的。
 それまでは悲惨な生活なれど、愛がなくともその日暮らしでやってこれたのに、立花先生とのあのやり取りのあと、坂道を転げる雪だるまのように、破滅が止まらなくなる。

龍蔵のことをそれほどまでに愛していた?心の中には岡田がいたのに?
矛盾。

けれどそんな切ない定の生きざまを、その外連味のある演出のおかげで、じっくり、しっとり味わえない。
 それはそれで革新的な野心的な試みなのかもしれないが、私という観客はつぃてゆけない。

遠い昔の事件のような気がしていた。
 肌の触れ合いだけが自分を満たす手段だったような定。
 せっかく安穏とした生活を送っていたのに、わざわざドキュメンタリーに出演して、自分で暴露して、安穏とした生活を自ら破壊する定。
 どんなスキャンダルでも利用する顕示欲?

 今も、似たような女性はたくさんいる。
 そんな女の生きざまを、ハンセン病・戦争の足音が近づくあの時代をあんな風に組み入れることで何を表現したかったのか?時代が生んだ女性としたかったのか?それならそれで、ちゃんと意味づけしてくれないとと思うが、それもない。コメディタッチで自らの提案を自らつぶしている感じ。

定の人生が破城しているように、
この映画も破城している。
そういう意味では”定”の映画なのかもしれない。

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とみいじょん

3.0愛のコリーダのリメイク風?

2020年3月23日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

阿部定事件の映画化。愛のコリーダの藤竜也 が片岡鶴太郎になっている。濡場のシーンを影絵で表しているのが面白かった。ドーナツで輪投げできるのかどうか知りたかったなあ。ハンセン病を突っ込んできたのが意味不明。詰め込みすぎ。

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とし

2.0水と油のような題材と演出

2018年1月24日
iPhoneアプリから投稿

阿部定の不運な生い立ち、彼女の淡い恋なども描かれております。しかし彼女の心理を理解出来るほどの要素はありませんでした。

衝撃的な事実を題材にした作品の割には、語りや音楽が微妙で似合わず、内容も途中は間延びして退屈でした。どう料理しても、喜劇にはなれない事件ですよね…。

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everglaze
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