殺したのは誰だ

劇場公開日:

解説

「ひかげの娘」の新藤兼人のオリジナルシナリオを「街燈」の中平康が監督し、「ジャズ娘誕生」の姫田真佐久が撮影した。主演は「フランキーの宇宙人」の菅井一郎、「今日のいのち」の山根寿子、「愛ちゃんはお嫁に」の青山恭二、ほかに筑波久子、殿山泰司、渡辺美佐子、清水将夫など。

1957年製作/91分/日本
配給:日活
劇場公開日:1957年7月3日

ストーリー

栄吉は自動車のセールスマンであったが、最近めっきり老いこんで、折角手がけた仕事も途中で若手のセールスマン中川に横取りされてしまうのを、どうしようもなく眺めているのであった。栄吉の子供、次郎と克子は無気力な父親に反撥を感じ、姉はキャバレーに、弟は友人たちと密輸品を売り飛ばすという自堕落な生活を送っていた。次郎はそんな生活に割切れぬものを感じながらも、虚無的な毎日を送っていた。一方、栄吉はあせればあせるほど仕事はとれない。そんな栄吉の耳に、自動車を故意にぶっつけて保険金を詐取しよう、という中川の誘いが囁かれた。深夜の街路--だが、弱気の栄吉はついに決行出来なかった。と、その時これも落ぶれたブローカーのフランクが飛出し、車に飛乗って、ロータリー目がけ物凄いスピードでぶつけた。しかし、フランクは路上に投げ出され息絶えていた。こんなことがあってから栄吉の心は益々失意と絶望にかき立てられ、毎夜酒に酔いつぶれていった。克子は、そんな栄吉を家に入れまいとした。ションボリ家を出て行く父の姿に次郎は、金はぼくが儲けるから、みんな一緒に暮らそう、と呼び戻した。それから数日の間、懸命に金を求める次郎だったが、その彼に再び中川の保険金詐取の誘いが待っていた。一方栄吉は、やっと車が売れて前途に明るさを見出し家に帰って来た。しかし、その時すでに次郎の乗った車は、フランクの死んだロータリー目掛けて突進していた。これを知って狂ったように駈けつけた栄吉は、突嗟に次郎の車めかけて飛出して行った。深夜の歩道にきしむ急ブレーキ。だが、時遅く栄吉は朽木のように跳飛ばされてしまった……。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.5並木座が映るシーンが見所か…

2022年7月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

シネマヴェーラ渋谷にて鑑賞。

この映画での見どころは、冒頭で「銀座にあった並木座」が映像背景に映っていることではなかろうか。

この映画タイトルと中平康監督特集チラシの本作紹介から「面白そう…」と思ったのだが、実際に観てみると、飽きることなく観られる映画ではあるのだが、全体的に散漫な印象が残る映画であった。

自動車社会になりつつある1950年代後半の時代を描いているが、車の売買が盛んな中、ディーラーどうしのバトル、車がなかなか売れない仲買人の菅井一郎が金に困って自動車事故を起こして保険金詐欺をしようとする件、保険金詐欺を勧める西村晃、菅井一郎の娘は貧しくてキャバレー勤めの渡辺美佐子、菅井一郎の息子は小林旭(若い!)など…メンバーは豪華。

最初の不満は、映画タイトルに『殺したのは…』と付けられているにも拘らず、物語が進んでいくのに、なかなか人が死なないこと…(笑)
また、せっかく豪華メンバーが出演しているのに、メンバーどうしの人間関係やその想いが確りと描かれていないこと。

悪くはないが、勿体ない気がする映画であった。

<映倫No.10186>

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たいちぃ

4.5モノクロ特有の迫力あり!

2022年2月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

興奮

小心者の菅井一郎、その父親に愛想をつかせた姉役に渡辺美佐子(ワンピーススタイル抜群)
弟役が小林旭(スマートでランニング姿の大学生)

クーラーもまだ普及していない扇風機の回る東京の街。
有楽町の辺りで、「車を磨くよー」って仕事もあったのだなぁ。

西村晃の悪巧みに縋るしかない、いやついつい甘い話しにのってしまう車好きな輩。
深夜3時近い交差点の撮影場所が千駄ヶ谷らしいので、65年後の今を確かめたくなりました。笑笑

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るー
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