紅の流れ星

劇場公開日:

解説

「対決(1967)」のコンビの池上金男と舛田利雄が共同でシナリオを執筆し、舛田利雄が監督したアクションもの。撮影は「陽のあたる坂道(1967)」の高村倉太郎。

1967年製作/97分/日本
原題:The Whistling Killer
配給:日活
劇場公開日:1967年10月7日

ストーリー

一年前、加島組の親分を射殺して東京を逃げ出した五郎は神戸の関興業の用心棒に納っていた。酒、女に不自由のない気ままな生活の中で、五郎はしかし、宇須刑事や、加島の仇と五郎を狙う沢井の目を警戒せねばならなかった。ある日、関と取引きしていた宝石商の小島が行方不明になり、小島の婚約者と名乗る啓子が五郎を訪ねてきた。一風変ったところのある啓子に興味を覚えた五郎は共に小島探しに駆け回ったが、いつか彼女を愛するようになった。そんな時、沢井が五郎をつけ狙って後を追っていたのだが、五郎の弟分の竹越がそれを知り、ひとりで沢井を倒すべく、モーターボートで沖へ連れだした。だが、竹越は、逆に沢井に殺されてしまった。一方、五郎は六甲山麓で発見された死体が小島であること、犯人が関と、幹部の田辺であることを知り、啓子に知らせた。当の啓子はその知らせに何の反応も示さず、一緒に寝てもいい、と言い出して五郎を驚かせるのだった。たまたま宇須刑事と会った五郎は、竹越が沢井に殺されたことを知って憤った。その足で沢井と対決(1967)した五郎は、あっ気なく相手を倒した。その頃、関は小島殺しの秘密が五郎に知られたことから、彼を邪魔に思い、消そうとしていた。その情報を秘かに探り出したバー「海猫」のマダムは、五郎を海外に逃がす手筈を整えたが、五郎はそれに応じなかった。五郎の心を占めているのは啓子のことだけだった。だが、啓子は五郎の求愛に頷きながら、沢井殺しの犯人として五郎を宇須刑事に密告していたのだった。朝モヤの立ち込める波止場で拳銃を乱射しながら警官隊に向って行った五郎は、一発の銃弾に崩れ落ちていった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.5渡哲也が若い

2022年8月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

殺しの渡哲也とそれを狙う宍戸錠、渡哲也が「寝たい」といって言い寄る都会の女性、浅丘ルリ子。渡哲也はちょっとちゃらちゃらしている役であるが、女性にはモテる。浅丘ルリ子の気品高くファッショナブルな姿は、庶民生活からはかなり離れているが、映画のスターという感じである。
広島市映像文化ライブラリーの日活特集の上映会で、何本か見たが、浅丘ルリ子が素敵な女性であることを再発見した。

20140222@広島市映像文化ライブラリー

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M.Joe

4.0本作をもって日活ニューアクション路線は始まったのだと思います

2021年7月28日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

1967年公開
1958年の「赤い波止場」の舛田利雄監督自身によるセリフリメイク作品です

石原裕次郎と北原三枝のコンビが、今作では渡哲也と浅丘ルリ子になっています

この二人には前作にあった、俳優間の男女のケミストリーはまるで感じられません
あくまでも役の上のことだけだ、という空気しかありません

脇役のユカリ役の松尾嘉代、駒子役の奥村チヨ、刑事役の藤竜也の方が余程キャラが立って存在感があります

前作で企画の水の江滝子は参加していません
なので衣装には前作のような60年以上の時を超えて21世紀でも唸るようなセンスの高さは本作には有りません

当時のことを考えれば、それなりにおしゃれなのでしょうが、どこか北関東のヤンキーみたいなヤボったさが漂ってます

音楽の鏑木創は同じですが、モダンジャズぽい劇判は本作の雰囲気にマッチして素晴らしいと思います
口笛のフレーズは耳に残ります
知らないうちに夜道で吹いてしまいそうになります

前作は白黒作品でした
かといって階調が豊かな陰影を楽しむような撮影でもありませんでした

本作では、赤いセーター、赤い電話ボックスの屋根などカラー作品を意識して、赤を効果的に配置して効果を上げています

また、前作との9年の年月は、高度成長期の真っ只中だけあり、大きく神戸の街並みも前作からは様変わりしています
そこをしっかりとカメラで押さえています

ポートタワーも本作には建っています
京橋辺りも二階建てにはなっていないものの高速道路の高架が港の埠頭沿いに走っています
街並みも前作だと、どこかどこやらだった光景が、どうもこの辺りだと分かるようになっています
元町商店街もアーケードはもう現在のような姿になっています

元町商店街の路地を少し入ったところに、現在も本作と同じ場所で営業している洋食屋の伊藤グリルの看板があったのには驚愕しました
ここのビーフシチューは絶品です
神戸出身の升田監督も、淡路島出身の渡哲也もここのお店の美味しさは絶対知っているはず
わざと写り込むようにしたのかも?

但し南京町は、今では横浜中華街のミニ版になってどの裏筋も縦横に賑わっていますが、当時の裏筋は驚くほどの寂れた姿でした

こうした神戸の変貌をカラーで取りたい気持ちが、神戸出身の升田監督にはもちろんあったと思います
しかしそんなことではなく、撮らなけばならない大事な仕事だと監督が思った必然性があるように感じました

前作と本作の違いは何でしょうか?
なぜ監督はセルフリメイクをしようと思ったのでしょうか?

そこが本作のポイントだと思います

前作は1958年
まさに日活アクション映画の始まりの時期です
単純なムードアクションの映画の時代は10年程続いたのです

本作は1967年、日活ニューアクション路線の始まりの頃です
映画業界も斜陽化を迎えて、日活アクションも10年も続けば飽きもきます
従来の日活アクション映画とは毛色の違う映画が求められたのだと思います
それが日活ニューアクション路線と言うわけです

アクションはごく控えめ
というかメインにはなっていません

ムードアクションのような、ロマンスすら本作にはなく、単なる男女の肉体関係です

セリフもまた独特です
特に渡哲也のセリフは会話になっていません
無口な主人公ですが、ヒロインに対しては大量のセリフを話しますが、それは会話のようで、あまり会話にはなっていません
まるで独白のようなのです

しかも感情を込めた話し方をするなと演技指導されてんいるように思えます
これはすべて監督の演出意図なのだと思います

新しい日活ニューアクション路線を模索して実験している作品なのだと思います
日活アクションの初期の自作を、どう料理すれば時代に合った形の映画になるのか?
それを試してみた作品なのだと思います

そこに本作を観る価値と意味があると思います

渡哲也26歳
この時期は、吉永小百合との交際も順調だった頃
結婚しようという互いの意志を確かめあっていた絶頂期だったと思います
その高揚感がかれの演技の一挙手一投足、セリフの発声の隅々に感じられます

浅丘ルリ子27歳
渡哲也にはなんの関心もないのが、本作のストーリーに重なって妙な説得力がラストシーンにありました

宍戸錠は、本作のあと名作「拳銃は俺のパスポート」に主演します

つまり本作をもって日活ニューアクション路線は始まったのだと思います

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あき240

2.0日活アクション

2020年7月3日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

主人公(渡哲也)は殺し屋、東京で一仕事を終え、神戸でほとぼりを冷ましていた。
世話になっていた組の関係者が行方不明になり、その男の婚約者(浅丘ルリ子)と知り合う。
いつの間にか、いろんな組織から追われることになった主人公は・・・。
日活の無国籍アクション映画。

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いやよセブン

2.5アクションが見たかった

2020年3月30日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

67年日活。渡哲也に宍戸錠とくれば無国籍アクション、と思ったがさにあらず。仏映画「望郷」を翻案した邦画「赤い波止場」をリメイクということで予想外にウエットなドラマであった。

前半は高速での狙撃とか妙なダンスとか気になるシーン多し。JPベルモントを模したという渡哲也のキザっぷりがイカス。クールビューティに登場の浅丘ルリ子は様になっている。「東京の女の匂いだ」

だが後半から話は重たくしっとり。渡哲也のキャラを活かせてたとは言い難いんじゃないかなー。フランス映画のような雰囲気を狙ったのでしょうか。個人的には残念でした。

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散歩男
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