アパートの鍵貸します

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説・あらすじ

 ビリー・ワイルダーの代表作ともいえるシチュエーションコメディ。10年温めたアイデアで、時代の流れにあわせてようやく映像化にこぎ着けた。出世と上司へのゴマスリのため、自分のアパートを愛人との密会場所として重役に提供するバクスター。お調子者の彼は出世街道に乗り意気揚々とするが、思いを寄せていたエレベーターガールまでもがアパートを出入りするひとりと知り、愕然とする。ワイルダーはこの作品で念願のアカデミー監督賞を手にした。

1960年製作/125分/G/アメリカ
原題または英題:The Apartment
劇場公開日:1960年10月8日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第18回 ゴールデングローブ賞(1961年)

受賞

作品賞(コメディ)  
最優秀主演男優賞(コメディ/ミュージカル) ジャック・レモン
最優秀主演女優賞(コメディ/ミュージカル) シャーリー・マクレーン

ノミネート

最優秀監督賞 ビリー・ワイルダー
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映画レビュー

5.0【生涯ベスト5・第2位】何度観ても感動できるラスト

2025年5月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

笑える

カワイイ

1960年公開、アメリカ映画。
原題は『The Apartment』

【監督】:ビリー・ワイルダー
【脚本】:ビリー・ワイルダー、I・A・L・ダイアモンド

主な配役
【鍵を貸して出世する C・C・バクスター】:ジャック・レモン
【部長の愛人 フラン・キューブリック】:シャーリー・マクレーン
【シェルドレイク部長】:フレッド・マクマレイ

1.少し残念だが、すでに名作認定されている。

私だけが認めた、私だけの名作にしておきたいが、
世間はそれを許さないようだ。

アカデミー10部門ノミネートされ、5部門(作品、監督、脚本、美術、編集)で受賞した。
主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞いずれもノミネートに留まったのは不思議だ。

2.邦題に拍手

原題は、単に『The Apartment』だが、それを
『アパートの鍵貸します』とした。
素晴らしい。

当時まだ少なかったが、邦題も『アパート』で通じたはずだ。

もちろん、今と違って当時は、
どれだけ客を呼べる邦題をつけられるか、競い合ってたような空気もあるので直訳はありえなかっただろう。

だが、
私に言わせると史上最悪の邦題『パットン大戦車軍団』のような、「ちゃんと観たんか?」級の駄作もあるので、本作の邦題は💮なのだ。

『アパートお貸しします』でも『アパートの鍵』でもなく、『アパートの鍵貸します』って、センス良すぎ。

3.アイデアとキャスティング

まず、あえて白黒作品としたアイデア。
男女の物語を白黒にしたことで、よりロマンチックでノスタルジックな雰囲気が出せてる、と私は思うし、
「ぼろアパート感」を出しながらも、不潔には感じない絶妙な舞台設定ができている(と思う)。

それでいて、まるでカラー作品を観ているような色彩感はある。魔術のようだ。
(超絶好きな作品であるが故に、自己催眠がかかっているとも言える笑)

ビリー・ワイルダー監督は、『お熱いのがお好き』に出演したジャック・レモンを気に入り、もう1本撮りたいとなったこと。
※本作で有名な、テニスラケットをスパゲッティのざるとして使う場面の鼻歌はジャック・レモンのアドリブ。
◆サラリーマンの悲哀
◆お人好し三枚目の雰囲気
顔はまったく似てはいないが、渥美清のように人を惹きつける魅力がある。

ビリー・ワイルダーは、
ダブル不倫を描いてヒットした『逢いびき(1945年、イギリス)』に着想を得て、不倫ものをアメリカ風にやりたいというアイデアを持っていた。
そこに、
脚本を共同執筆したダイアモンドの(友人の)個人的経験をプラスしてあらすじができたこと。

シャーリー・マクレーンがまた素晴らしい。
地方出身の男運の悪いエレベーターガール。
◆チャーミングだが、無垢ではない。
◆道ならぬ恋をしているが、アバズレ(死語?)ではない。
絶妙ではないか?!

シェルドレイク部長は、当初、ポール・ダグラスと公表されていたが、彼の急死によって急遽代役をオファーされたフレッド・マクマレイがまたハマり過ぎなくらいハマっている。
◆不誠実で尊大だが巨悪というより小悪党
◆どうしようもなくジコチュウ
妻と離婚する、を匂わせながら不倫で遊ぶワルイやつをちょうど良く演じた。

4.何度観ても感動できるラスト

わたしが、
ラストシーンだけで、何度観ても感動できるのは、
『アパートの鍵貸します』と『砂の器』だ。

新年を迎えるパブ。
蛍の光が演奏される。
アパートに向かう彼女の耳に聞こえる銃声。

作中、主役の2人が、
「ジン・ラミー」というカードゲームを2回プレイする。

最初は、心ここにあらずのヒロインと。
2度目は、心を決めたヒロインと。
「Shutup, and deal」(黙って配りなさい)

最初に観たのは、
学生時代に地上波(国営放送だったと記憶している)。
不倫の経験もないのに、感動して泣いた。

素敵だなあ、良かったなあ、
とそれ以降も、
何度で観ても、
同じレベルで感動できる。

本当にこの作品が好きなんだと思う。

ジャック・レモンもシャーリー・マクレーンも好きな俳優だし、ビリー・ワイルダー監督も巨匠だと思うが、
個人的には、3人とも本作がベストだと思う。

☆5.0+α

コメントする 1件)
共感した! 12件)
Haihai

3.0往年の傑作を、今の価値基準での評価は如何とは思うものの・・・・

2025年5月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

単純

幸せ

案件的に全てアウトな内容で、およそ楽しむには程遠い内容ではあった・・残念。プロット的には良く出来てはいるのだが・・・。当時はおおらかに楽しめたのだろうなぁ~😥

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共感した! 1件)
mark108hello

4.5シリアスとユーモアの見事な融合に…

2025年5月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

アカデミー賞では、
主演男優賞・女優賞こそは逃したものの、
作品賞・監督賞・脚本賞の主要3部門他を受賞
した、私にとっては「情婦」と共に
大好きなビリー・ワイルダー作品。
2作品共に、内容は至ってシリアス劇なのだが
作品から滲み出るユーモアのセンスは
どんなコメディ映画も敵わない。

主人公は出世のためなら手段を選ばない
本来は卑下すべき情けない人物なのだが、
何故か憎めきれない。
ある意味、素直な性格の人間像は
ジャック・レモンの演技からも
滲み出ているものなのかも知れない。

今回の再鑑賞では、
終盤での二人の恋愛成就とは異なる方向に
向かっているかに思わせておいての
逆転のエンディングには、
片想いの女性が上役の愛人だったとの事実を
踏まえながら異例の昇進をかなえた男と、
その上役の離婚という自体に
至りながらの女。
その二人がようやく獲得した地位を
捨ててまでも、
たどり着いた相愛への思索の描写が
多少性急過ぎるきらいはあるものの、
それまでの二人の想いの蓄積と、
女の自殺を切っ掛けとして共有した
介抱の時間の賜物だったのだろうと感じた。

この作品、
まともに作ったら、教条主義的な、
場合によっては、あたかも教育映画のように
なりかねないストーリーなのだが、
そこは流石にワイルダー作品、
本当に良く出来た脚本で、
上質なウィットを絡めながらの
各エピソードへの伏線の数々や
誤解の因果関係の設定がお見事!
と言わざるを得ない。
その中で、サブ的な要素ではあるが、
隣家のドクター夫婦が、最後の最後まで
主人公をお盛んな男として誤解している
エピソードが私には大変可笑しかった。

日本では、
チャップリンの「独裁者」
フェリーニの「甘い生活」
ルネ・クレマンの「太陽がいっぱい」
がキネマ旬報でのワンツースリーの年に
第17位と、
日本では今一つの評価だったようだが、
私にとっては、ワイルダーの演出・脚本と、
二人の主演俳優の見事な演技が相まった、
これこそが、シリアスとユーモアの
観点からの見事な融合作品であると、
改めて再確認する鑑賞となった。

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KENZO一級建築士事務所

3.0どん臭いけど

2025年4月20日
iPhoneアプリから投稿
ネタバレ! クリックして本文を読む
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共感した! 2件)
りか