エッフェル塔 創造者の愛
劇場公開日:2023年3月3日
解説
パリのエッフェル塔を設計したギュスターブ・エッフェルを主人公に、塔が完成するまでの苦難の日々と、ある女性への秘められた思いを、創作を交えて描いたラブストーリー。
ニューヨークの「自由の女神像」の制作に協力して名声を得たエッフェルは、パーティの席で大臣から、3年後の1889年に開催されるパリ万国博覧会のシンボルモニュメント制作のコンクールへの参加を要請される。さらに友人で記者のレスタックの妻アドリエンヌからも野心作を見てみたいと言われたエッフェルは、パリの真ん中に300メートルの金属製の塔を造ると宣言。パーティではアドリエンヌと初対面のふりをしたエッフェルだが、実は彼にとってアドリエンヌは忘れられない女性だった。
「真夜中のピアニスト」のロマン・デュリスがエッフェル、「ナイル殺人事件」のエマ・マッキーがアドリエンヌを演じた。
2021年製作/108分/R15+/フランス・ベルギー・ドイツ合作
原題:Eiffel
配給:キノフィルムズ
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2023年3月27日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会
ギュスターブ・エッフェルはパーティー会場で友人のレスタックから妻アドリエンヌを紹介される。2人は驚いたように見つめ合い、しばらく言葉を失う。初対面を装うが、ほどなく2人には過去に何かあったことがわかりやすくほのめかされる。
ギュスターブがパリに300メートルの鉄塔を造ると宣言してから、幾多の苦難を乗り越えて遂に完成させるまでが第1の筋。そして、ギュスターブとアドリエンヌの過去の出会いから2人の恋愛の行方を時系列にそって回想するのが第2の筋。この2本のストーリーラインを交互に積み上げ、やがて合体させてピークに至る物語構成は、塔建造の映画にふさわしい様式美と言えるだろう。
アドリエンヌ役のエマ・マッキーの意志の強さを思わせるシャープな顔立ちと、アドリエンヌの娘クレールを演じた柔和な雰囲気のアルマンド・ブーランジェ、2人の女優の好対照もいい。クレールとその夫の話がもう少し語られてもよかった気がする。
あのフランスのシンボルとも言うべき鉄塔はいかにして建造されたのか。そんな主題を紐解くだけでも「プロジェクトX」のようで知的好奇心が掻き立てられる。しかしタイトルに「愛」の一文字が浮かんでいることから分かる通り、硬派なヒューマンドラマを期待するとしっぺ返しをくらう。あくまで秘められた恋をめぐるラブストーリーとしての観点から映画が綴られていくので、エッフェル本人の夢とか希望に打ち震える感動の展開ではなく、意外と物語がこじんまりとまとまってしまう部分はあらかじめ覚悟しておきたいところ。ただ、階級の差であるとか、資本家と労働者、技術的な革新、戦争からの復興などの様々な”橋渡し”的使命を持って、このシンボルが足元の地盤から強固に形作られていく映像は非常にダイナミックだし、この国の近代史を投影した意味合いも多分に読み取れる。本作をあくまで”入口”として、自分なりの興味関心を深めていきたいところである。
2023年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
今まで知りませんでした。ワッフルとかの仲間か何かだと思ってましたね。。
エッフェル氏の恋愛が半分、塔の建築が半分といった内容かな。
元恋人で両親の反対で破局した女優さんがすごい美人で、恋愛パートもなんとなく見れるんですが、建築技術がすごくて、砂を使って高さの調節したり、地下の基礎工事で溜まった雨水を空気圧で押し出すとか、人が命綱なしでぶら下がって作業してたり、エッフェル塔建設の過程が面白かったです。
ラストは悲しい別れがあるんですが、仕事が上手くいき、子供もたくさんいて、これ以上の幸福はいらんでしょって思いましたね。
2023年4月25日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
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原題はただの“eiffel”なので、「エッフェル塔」ではなく、ギュスターヴ・エッフェルその人を指している。個人名を冠した塔というのもあまり類を見ない気がする。東京タワーを内藤タワーと言うようなものだから。ま、塔の最上階にエッフェルの私室があったらしいから、そういう意味では納得なのかもしれないが。
冒頭にただし書きがあるように、恋愛がらみの部分はどこまで事実なのか定かでないが、やはりフランス映画ならではの濃密なロマンティシズムが横溢している。塔の建設と同時進行で道ならぬ恋に突き進んでいくので、事業の成功譚にひりひりした感触を伴わざるを得ない。アドリエンヌを演じた女優の目力がすごい。
エッフェル塔の建設に反対運動があったのは知っていたが、ポンピドゥー・センターを建てる時も同様の論争が再燃したようで、何なら京都タワー建設の時も。いずれも古都ならではの必然とも言うべき葛藤だろう。
エッフェル塔のスケッチに“アドリエンヌ”の名前が書き足されるラストは見事。