銀嶺の王者
劇場公開日:1960年4月29日
解説
トニー・ザイラーを迎えて製作されたスキー映画で、「三羽烏三代記」の椎名利夫の脚本を同じく「三羽烏三代記」の番匠義彰が監督した。撮影は「三羽烏三代記」の生方敏夫に、クラウス・フォン・ラウテンフェルト。
1960年製作/89分/日本
劇場公開日:1960年4月29日
ストーリー
雪崩で六人の仲間を失ったオーストリアの名スキーヤー、トニー・シュナイダーは、友人ハンスや母親を故国に残して日本への旅に出た。貨物船で働くうち司厨長の日本人小谷と知りあった彼は、身分を秘して日本に上陸した。小谷はトニーをつれて東京見物をさせ、故郷の信州に帰るため妹の八重子にスキー靴のお土産を買った。靴の見立てをしてくれたのはトニーだった。その靴を買った運動具店で小谷はトニーに店員の青木春江を紹介した。春江はドイツ語を勉強しウィーンに音楽を学びに行く希望をもった可愛い女の子だった。トニーは小谷と信州に行くことにした。駅について紹介された八重子の美しさに、トニーはちょっとびっくりした。小学校の先生をしている彼女と握手するトニーに、彼女の教え子で孤児の善吉が雪のかたまりを投げつけた。やがて春江も信州の家に帰ってきて、みんなはスキーを楽しんだ。春江の父六造もトニーが好きになった。大学の山岳部員で春江に好意をもつ太田滋は、トニーと親しくする春江の姿を見て心中面白くなかった。小谷の世話でスキー・パトロール員となったトニーは実は八重子を愛していたが、言い出せないでいた。ある日、ホテルのロビーにいた女子学生まり子ら一行が雪の上を滑りながら歌っているトニーを見て彼を追い、合唱になった。このさわぎで善吉もトニーとなかよくなった。ところが、日頃トニーに春江が親しくしているのを嫉妬していた滋が、吹雪の中を一人で山に出かけてしまうという事件がおきた。翌朝は雪崩の心配があった。トニーが探しに行くと滋は山小屋にいなかった。山は強引に救助隊をおくると二重遭難になりかねぬ状態である。トニーの愛を知った八重子も彼をとめた。しかしトニーは六造と二人で決死の救助を決行し、クレパスにおちている滋を救った。トニーと滋の間にはこの事件で強い友情が成立し、トニーの名は写真入りで新聞に出た。来日していたハンスがそれを見てトニーに会いにきた。トニーがオリンピックに金メダルをとっている名選手であることがわかり、一同は大騒ぎとなった。トニーは八重子と孤児の善吉をつれてオーストリアに帰ることになった。