九ちゃんのでっかい夢
劇場公開日:1967年1月2日
解説
三木洋の原作を、「なつかしい風来坊」の山田洋次が、シナリオと監督を担当したアクション・コメディ。撮影も「なつかしい風来坊」で山田と組んだ高羽哲夫。
1967年製作/89分/日本
原題または英題:Let's Have A Dream
配給:松竹
劇場公開日:1967年1月2日
ストーリー
スイスのレマン湖畔にある古い館の一室では富豪の老婦人が孤独な生涯を閉じようとしていた。彼女は莫大な遺産を、かつて愛した日本の初恋の人源九郎の孫九太郎に贈ることに決め、九太郎を直ぐに探し出すようにと弁護士を日本に向わせた。ところが老婦人の甥アラン・ポウはこの遺言に怒り九太郎を殺すべく、殺し屋カルダンを日本へ発たせた。しかしその頃当の九太郎はガンの宣告を受け絶望の日々を送っていた。彼は横浜の小劇場のカケ出しのコメディアンであったが、いっそのこと自分が知らない間に死ねたらと思い、便利屋のポンに殺し屋の紹介を依頼した。だが恋人愛子のことを思うと暗澹としてくるのだった。それに愛子には清彦という恋人がいたが、九太郎はそれを知らなかった。さてその頃、頼まれ殺し屋の竜も、カルダンも九太郎を追うのに汲汲としていた。一方愛子は念のため今一度大学病院の大河内教授を訪ねると、九太郎のレントゲン写真が別人の物であることが判明、狂喜した彼女が横浜の劇場に駈けつけると、ついに九太郎の居所をつきとめた弁護士もやってきた。舞台では殺し屋カルダンに狙われているとも知らない九太郎が客席を大いにわかせていた。突然竜がピストルを九太郎に向けぶっ放した。観客は騒然となり、流れ弾にあたったカルダンはその場に倒れてしまった。再び生きる喜びを見出した九太郎は愛子に愛を告白したが「清彦さんを……」という言葉が返ってくるのだった。数カ月後九太郎はスイスの古城の一室で、美酒を傾けながら、生涯独身で通し、その莫大な財産は、愛子と清彦の子供に贈ろうと考えていた……。