からたち日記

劇場公開日:

解説

信州の貧農の家に生れた一人の女性の一生を描いたもの。増田小夜の原作を「才女気質」の新藤兼人が脚色、「蟻の街のマリア」の五所平之助が監督した。撮影は「人間の条件 第1・2部」の宮島義勇。

1959年製作/119分/日本
配給:松竹
劇場公開日:1959年4月14日

ストーリー

つるはものごころついたとき、長野県塩尻に近い村の地主の家で子守をしていた。彼女が知ったのは、ひもじいは辛いもの、人間とは恐ろしいもの、ただそれだけだった。ある日、叔父の勘太につれられ、諏訪の芸者屋に売られていった。途中、母という人に会わせてくれた。母はつるを生んだのち山間の貧農へ嫁したのだ。芸者屋・竹の家で因業な主人せつや先輩芸者たちにこきつかわれた。竹実姐さんが無理なお座敷づとめで腹膜をこじらせて死んだとき、かるた姐さんはせつの仕打ちをののしり、店をやめた。やがてつるは半玉になった。せつが彼女を呼んでいった。今夜、一人前になるんだよ。相手は土地の興行師ロンパリである。つるは驚かなかった。運命に捨身で従おうと思った。翌日、つるはみじめだった。いつか半玉の天満里と一緒に登った城趾の大木にしがみつき、大声をあげて泣いた。ロンパリが彼女を身うけし、三号にした。毎日、ぼんやり暮した。戦争が激しくなり、つるは軍需工場につとめた。女工たちは彼女に冷たかった。その鼻をあかそうと、人気のある青年将校本山に近づいた。それが、いつか恋していた。生れて初めての恋。だが、本山は戦地に発った。つるはさえぎるロンパリをふりきり、駅へ走ったが、遅かった。ロンパリをしくじってはこの土地にいられない。つるは弟の忠夫をつれ、千葉のかるた姐さんをたずねた。戦災、敗戦、生活苦が待っていた。ヤミの石鹸売りをして暮した。たのみの弟が栄養失調から腸結核になった。彼は姉に苦労させたくないと自殺してしまう。つるは昔せわになった一力の女将を頼って、また諏訪へ行った。本山は市会議員になっていた。妻があったが、つるにはそれでもよかった。が、彼の妹民子の頼みで、つるはすべてをあきらめ、天満里のいる町へいった。酒におぼれる日が続いた。真昼間から酔って暴れたとき、百姓の東作から思い切りなぐられた。それがつるを目覚めさせた。一日一日を人間らしく生きよう。本山が力になりたいとたずねてきた。つるは自分一人で生きていけるといった。本山と峠で別れた帰途、つるは東作が麦ふみをしているのを見た。彼女ははだしになって麦ふみを始めた。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0高千穂ひづるが素晴らしい

2021年3月6日
Androidアプリから投稿

悲しい

新藤兼人氏の脚本で広島映像文化ライブラリーで見た。極貧の幼少時代から成人になり、身よりもなく真の幸せを掴もうとする女性を高千穂ひづるが演じる。艶かしくもあり力強くもあり。子役を除き一人でさまざま境遇の女性を演じた。
昔の俳優は深みがある。

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M.Joe

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