大阪の女
劇場公開日:1958年5月25日
解説
八住利雄のNTV連続ドラマ「女神誕生」を映画化したもの。「春高楼の花の宴」の衣笠貞之助と相良準が脚色し、衣笠貞之助が監督、「土俵物語」の渡辺公夫が撮影をそれぞれ担当した。「忠臣蔵(1958)」の京マチ子、中村鴈治郎、「悲しみは女だけに」の船越英二、「猫は知っていた」の高松英郎などが出演。色彩は大映カラー(アグファカラー)。
1958年製作/104分/日本
原題または英題:A Woman of Osaka
劇場公開日:1958年5月25日
ストーリー
大阪の焼けのこりの一画に、いつからか上方落語や漫才の芸人たちが集った。「芸人村」と土地の人は呼んだ。長屋の二階の一室に、お千は父の半丸と暮している。父は元漫才師で、今はボテ人形造りに凝っていた。酒と女には目がない。お千はそんな父を針仕事で養っている。底抜けのお人好しである。バンドマンと一度結婚したが、死に別れた。半丸のはからいで、お千は扮装踊りの米太郎と見合いした。その頃、長屋に宗二という男が帰ってきた。彼は半丸の元の弟子で、お千の初恋の人だった。彼は商売を始めるつもりという。彼の店へお千が会いに行くと、店に女がいた。家内だといった。お千はたまらず、駈け去った。女はお妙という置引き専門の強者で、警察の目をごまかすため、強引に入りこんで一芝居していたのだ。宗二も共犯に間違われて警察へ引っぱられた。その間に、何も知らぬお千は米太郎と結婚式を挙げた。今さらどうにもならぬ。宗二はお千に会い、その幸せを祈った。お千は米太郎と仲よくやれた。--が「これも束の間、米太郎は仕事の帰り、お千の眼の前で車にひかれてしまう。早速入院したが、命が危なかった。その損害賠償保険の二万円を受取った半丸は、酒を飲み、挙句はお妙にスられてしまう。--米太郎は死んだ。なにか一言いいたいと言ったまま。彼の死で、損害保険金が三十万円、お千に入ってくることになった。芸人村の連中は色めき立った。笑福などはこれを元手に故人の追善興行を開こうとする。宗二の姉染子は半丸と関係を持つ。宗二の店は火事で丸焼けになり、再建資金が必要だった。米丸などはもう有項天だ。が、そこへ子を連れた米太郎の妻と名乗る女が現れた。ウソではないらしい。米太郎が一言いいたかったのは、このことだ。長屋の連中が一度は追払ったが、金を受取ったお千の前に現れる。お千は米太郎の子のために、女に金をぜんぶ渡した。半丸は狂ったように怒った。宗二は自分も金につかれていたと反省し、お千の行為をほめ、長屋のものを説得する。追善興行は無事開かれた。舞台でパントマイムをやる宗二を見つめながら、お千はクラリネットを伴奏した。お千の美談を記事にしようと、新聞記者もやってきた。彼女の姿は清潔で、気高くさえ見えた。