洲崎パラダイス 赤信号

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解説

東京洲崎遊廓の入口の飲み屋を中心にして、娼婦や、そこに出入りする男たちの姿を描いた芝木好子原作の“洲崎パラダイス”より「屋根裏の女たち」の井手俊郎と「東京の人」の寺田信義が共同で脚色、「風船」の川島雄三、「愛情」の高村倉太郎が、監督、撮影を夫々担当した。主な出演者は「続ただひとりの人」の新珠三千代、「火の鳥(1956)」の三橋達也、「雑居家族」の轟夕起子、「しあわせはどこに」の芦川いづみ、「悪魔の街」の河津清三郎、「燃ゆる黒帯 花の高校生」の牧真介、植村謙二郎など。

1956年製作/81分/日本
配給:日活

ストーリー

両親に結婚を反対されたため、連れ立って栃木から上京した義治と蔦枝は、どこへ行くアテもなく夕暮の浅草吾妻橋附近を歩いていた。以前廓にいた好みで洲崎遊廓へ入り込んだ蔦枝は、一杯のみ屋“千草”の女将お徳に二人の職探しを頼み、蔦枝はお徳の店で働くことになる。義治の方も、千草に近いソバ屋で働くことになるが覇気のない彼は失敗続き。だが女店員の玉子はいつも義治をかばってくれた。ある日、蔦枝は田舎へ送金したいからと義治に給料前借を頼むが、返事に渋る彼を歯がゆがり、千草の馴染客落合に頼み込む。当にしていた以上の融通を受けて落合に惚れ込んだ蔦枝は行方不明になった義治のことも意に介せず、落合の探してくれたアパートに引越す。その夜の千草も客の出入りは頻り。騙されて廓に連れ込まれた初江に惹かれ、以前から彼女を救おうと努める純情青年信夫が、救出は無理だとしおれている処に義治が戻って来たが、蔦枝と落合の一件を聞き再び表へ飛び出す。その時、ある女と駈落していたお徳の旦那伝七が現われ、喜んだお徳は玉子に留守を頼み揃って外出。落合を探し疲れた義治が千草に戻ると、お徳から堅気な玉子と一緒になれと水を向けられ万更でもない。或る夕刻、そろそろ落合にも飽きた蔦枝が義治に逢おうと千草に来る。玉子のお蔭で堅気になろうとした義治も、これを聞いて叉心迷う。やがて、洲崎神社の境内で伝七が殺され、お徳は死体にすがって泣いた。その晩、義治と鳶枝は遊廓を出、宛もなく永代橋の上から赤信号の方へ歩み去って行った。

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映画レビュー

4.0橋の向こうとこちら側

2020年6月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

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しゅうへい

4.0男と女の愛はどれも謎めいていて絶望と希望と憎悪とがひっきりなしに押し寄せる。

Haruさん
2020年5月3日
PCから投稿

川島雄三を知ったのは「幕末太陽伝」。フランキー堺に振り回されたのを鮮明に覚えている。この映画は長い間、観たくて仕方なかった作品。
男と女の愛のカタチなどと言うといかにも陳腐だけれど、いまんのところそんな言葉しか探せなかった。
映画の落としどころを見事にはぐらかすのが実に上手いこの監督は、愛について希望に充ち溢れているのだろう。
いくつもの絶望を用意し、観るものを苛立たせて、女の側に立たせる。「弱い男とは縁を切れ」などと思わせて置き、一方の男女には男の側に立たせて「そんな尻軽女などは早く忘れろ」と思わせてしまう。

人は一人づつが違う。誰一人して同じ顔や性格ではない。だからいろいろな愛がある。
それはカタチではなくパターンなどでは決してないのだろう。

愛を十派ひとからげにして語ってはならない。と教えてくれた映画だった。

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Haru

3.0男女の間・橋の手前と向こう

散歩男さん
2020年3月27日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

川島雄三監督。56年日活。かつて存在した花街の側を舞台に腐れ縁の男女とその周辺の人達を描いた作品。

どうにも煮え切らない三橋達也のクズっぷりが上手すぎ。女優もみな良い。新珠三千代、芦川いづみ。轟夕起子の存在感が特に素晴らしい。後半好転しそうな展開かと思わせて…というのがこの監督の油断できないところ。

一緒にいると駄目になってしまう、でも離れられない、というような男女間の機微の話はお好きな人には大好物でしょうが、自分にはあまり向いてなかった。昭和30年代の風俗はとても興味深く見れました。

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散歩男

4.0フランス映画の名作巴里祭のラストシーンを思わせる味のある終わりかたでした

あき240さん
2019年10月17日
Androidアプリから投稿

洲崎パラダイス
冒頭の橋は永代橋の北側
都バスに乗って降りたところは洲崎弁天町
おそらく今の永代通りの東陽三丁目交差点ではないでしょうか
地下鉄東西線の木場と東陽町の丁度真ん中あたり
地下鉄が出来るのはこの11年後になります
川向こうが赤線地帯(公認売春地域)のある洲崎パラダイス
その川は今はなく埋められたのか、暗渠になったのか、緑豊かな遊歩道になっています
だからもう橋は有りません
遊歩道の右手に洲崎橋跡地の小さな記念碑があります
飲み屋の千草はその辺りかと思います
義治が出前をする蕎麦屋はおそらく洲崎神社の近くですから、今の地下鉄木場駅辺りにあったと思います
洲崎神社が蔦枝達がお参りする弁天様で、終盤で殺人事件が起こる所です
洲崎パラダイスのネオンが光るゲートアーチは当然今は跡形も有りません

60年以上前の秋葉原の光景も今では貴重です

本作は1956年7月末の公開
この年5月に売春禁止法が可決、本作の翌年4月1日からの施行を控えた中の公開な訳です
赤線地帯の娼婦達が身の振り方を考えていた時期というわけです
その辺の事情は溝口監督の赤線地帯という作品に詳しいです

なのでもう赤線地帯での仕事は赤信号というわけです
二人は冒頭で洲崎弁天町でバスを降りて、永代通りを渡り、洲崎橋を渡りかけるのですが、まるで赤信号でもあるかのように渡れずに橋のたもとの飲み屋千草に入るのです

今の洲崎パラダイス跡は普通の商店街と住宅街
一本大通りから中に入った昔の民家にタイル貼りが希に残っているくらいの微かな痕跡を残すのみです
土地の由緒を知らなければここが赤線地帯であったことは気づくことも無いでしょう
大門通りの左手に美味しいと有名なタンメン屋がありよく通ったものですがそれも一昔前のことになりました

新珠三千代26歳
顔が小さいです、体の線が細いです
宝塚出身の清く正しいという空気は断ち切られています
夜の商売の女だという風情が見事に匂い立っています
初々しい芦川いずみの玉子との対比が効いています
千草の女将さんの轟夕起子が素晴らしい演技を見せています
行方不明の亭主が戻っていたときに見せる女の顔は見事です
そして家族で浅草から帰ってきたときの幸せそうに化粧した顔、そして女の戦いに勝ったという笑み
これがクライマックスの伏線に大きな効果を上げています
この三人の女が、赤線地帯を取り巻く女は、こうして、こうなって、最後にはこうなってしまうということを象徴しているのです

ラストシーンはまたまた永代橋でバスにのるのです
駄目な男とだらしない女の堂々巡りはだらだらと果てしなく続くのです
このような物語は毎日あって繰り返されるのだとカメラは高く永代通りを東陽町方面を俯瞰するのです
フランス映画の名作巴里祭のラストシーンを思わせる味のある終わりかたでした
余韻が心地よいものです
所詮男と女はだらしなく楽な関係が心地良いのです

しかし赤線地帯の廃止は決まっており、蔦枝は娼婦には戻れないのです
二人は洲崎弁天町で今度は降りず、その先まで乗っていくのでしょう
今度はかたぎになれるのかも知れません

そんな思いが明るく快い余韻になっているのでしょう

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あき240
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