AKIRAのレビュー・感想・評価
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日本アニメを変えた1本
80年代、バブル絶頂時に制作費10億円を投入して作られた本作は、今見ても色褪せない。リアルを追求した2コマ打ち作画に、プレスコでリップシンクされた表情芝居、カメラを意識したレイアウト、当時としては画期的だったCGの導入、細部までこだわり抜いた背景美術など、技術的な見どころだらけの作品だ。大友克洋の絵をそのまま動かすことを目標に作られた本作は、日本アニメの歴史におけるエポックメイキングな作品であることは間違いない。もともと、リアル志向の大友のデッサンを動かすだけでも大変な作業だったろう。
本作が作られたのは日本がバブル経済絶頂期の80年代だが、あの時代でなければこのプロジェクトは成立しなかっただろう。世紀末を迎える当時の終末論的な空気感を感じさせる内容が、2020年代の今の日本とどこかリンクしてしまうのが恐ろしい。日本社会が退廃的な方向に行くことが決定的になってきた今、この映画の空気感は公開当時よりも一層リアルに感じられるかもしれない。
ご都合主義
ジャパニメーションの金字塔!圧倒的な世界観、ビジュアル、音楽!
やっと劇場で観れました。
初公開時以来の鑑賞。
2020年にIMAX上映されましたが、コロナ禍と重なり観に行けずそのままになってました。
(会社勤めの性で大事をとって社命でなかなか映画館に行けず。)
2020年東京オリンピックを予見したと話題になった後、その東京オリンピックもコロナ禍で延期。
AKIRAバイク(やPerfumeなど)が登場するはずだった開会式は、電通の悪巧みのため実現せず。
いろんな思いを経ての劇場再鑑賞です!
今観ても全く古びることのない内容。
細かい設定に基づく世界観。
人物だけでなく、砂塵や煙までも、原作漫画の筆致すら感じさせる緻密な描写。
読経からケチャ、ガムランを使用した芸能山城組による斬新な音楽。
今回の鑑賞では、迫力の音響の印象が強い。
つい先日、無料で動画配信されましたが、大スクリーンだけでなく、圧倒的な音響も存分に楽しめる映画館での鑑賞は必須!
さんをつけろよデコ助野郎!
youtube無料期間で視聴。
制作費10億円も納得の大迫力な映像。これがアニメ!?
ストーリーとしては単純で、超能力を手に入れた鉄雄を、金田達が助けに行く。舞台が世紀末感溢れる日本ということで、今の日本と現実離れしつつも、きっとこんな未来もあり得るのかなあ…と怖くなったり。政治家の足切りはどの時代もありそうで少し笑ってしまった。
不良感溢れる岩田さんの声、とても魅力的。
突然力を手に入れてしまうと、そら力を使って目的を達成しに行くだろうなと鉄雄に共感してしまう。あの気持ち悪い幻覚だったり、腕から生えまくる触手みたいのだったり、素晴らしい作画の仕事。
意味のわからないラストだったけれど、サードインパクトみたいなものが起こったのかなと強引に納得してみる。
何故か突然YouTubeに公式に上がったので再鑑賞。「女の子に暴力...
久しぶりの再見(最初に見たのは封切時か?)。サイバーパンクアニメの金字塔。
おのずと知れたサイバーパンクアニメの金字塔。このレベルのアニメが今から40年近く前に制作されていたことに驚く向きもあるが、それ以上に大友がコミックと言う表現方式でリアルタイムで多くの傑作を発表し始める同時代に息をしていた者にとって、何よりもその時代の中でも飛びぬけた革新的表現を構築していた大友のそれに影響を与えていたものの中にアメリカンニューシネマがある事は自明の理であったろう。🎦イージーライダー、🎦地獄の黙示録、🎦キャリー、🎦2001年宇宙の旅、など多くの革新表現の中に身を置く大友が自身の表現の中で結集させた📖Fire-Ball以上の衝撃を望む者はいないはずである。ご承知のように📖Fire-Ballは1979年創刊のアクションデラックス誌上に50ページの未完作品と掲載(後に100ページに増項され完結)。この未完が衝撃であった。のちに加えられた50ページは作者の語り部としての自己満足感が多く、その衝撃を貶めることになるのだが、未完であったが故にその解釈の幅は🎦2001年宇宙の旅レベルまで拡張し、SFファンの間で伝説となった事は周知の事である。
このSFエッセンスをその翌年のアクションデラックス誌上に発表される問題の衝撃作📖童夢のプレリュードとしてのこの📖Fire-ballは📖AKIRAへと昇華する。アートシアターギルド(ATG)の映画作品に溺れ、🎦時計仕掛けのオレンジや🎦ソイレントグリーンなどの未来描写をも取り込んだ大友の描く世界観は一気に世界の見据える未来像となる。
しかしながら🎦アニメAKIRAの中で描かれる世界は、ヴェンダースの描く小津の🎦東京物語よろしく、未来ではなく自身へのオマージュであった。ヴェンダースにおける小津は、大友にとって手塚であり同郷の大先輩である石森(石ノ森ではない)であり、藤子であり、何よりもっともあこがれの強い横山光輝であった。🎦AKIRAの主人公、金田は📖鉄人28号の金田少年へのオマージュであることは有名である。まるで役所広司に小津の🎦東京物語の主人公、笠智衆演ずる平山周吉にあやかって平山と名付けるかのように。
ヴェンダースは1945年8月14日生れ。そう日本の終戦記念部の前日の生まれである。しかもかつての第二次大戦の日本の同盟国でデュセルドルフの出身。デュセルドルフには当時ドイツ最大の日本人街があったと言う。しかも医者の家庭で育ったヴェンダースには当時日本で交易のあった神戸に住む手塚一家とイメージがかぶるのである。しかしヴェンダースには手塚のような高踏さは無く小津の持つ市井へ穏やかなまなざしこそが小津と重なるのである。そしてヴェンダースの出生10年後にわれらが大友はこの世に生を受ける。正確には9年目後ではあるのだが、この大友の生後10年を経て日本は第一回目の東京オリンピックを開催する。10歳になった大友に映った日本はヴェンダースが憧れた失われる日本ではなく再生する日本であったはずである。そしてその後崩壊した日本を描いた大友の予言がジワリジワリと日本に忍び寄っているようで恐怖を覚えるのである。そう・・都市こそ破壊はされないものの・・・日本人の心はどうであろうか?
その一方でこの日本には映画はもとよりファッション、建築と経て昭和歌謡や漫画と言う当時世間では西洋のファインアートや荘厳なクラシック音楽とはおよそかけ離れたところに位置するサブカルをせっせと紡ぎだす文化の土壌があった。この織り成した曼荼羅こそが2000年以降の日本のカルチャーコンテンツ大国の基盤を作る事になるのである。その事態を予言したかのような大友のアニメ🎦AKIRAには高度成長の少年たちを支えた多くの漫画が封じ込められている。高野よしてるの📖赤ん坊帝国、井上智の📖魔人バンダー、黄金バットにシルバー仮面、ウルトラQ、ドラえもん、サイボーグ009、怪人同盟、ボンボン、さるとびえっちゃん等など往年の漫画ファンには心ときめかせたエッセンスが🎦AKIRAにはふんだんに封印されている。まさに大友が体験したマンガ世界であったろう。まさにマンガのメルティンポット。🎦AKIRAのワンシーン26分超の場面で金田同級生の学校で読んでいるマンガ雑誌が「ぼくら」である点に注目したい。設定は2020年であるにもかかわらずだ。
そしていよいよこの大友がこの📖🎦AKIRAで捧げたおおもとのコンテンツこそが石森・平井コンビの伝説的傑作📖幻魔大戦である。大友組の今敏や高寺彰彦などの作風にも強い影響を与えたこの未完の大作は後にりんたろう監督でアニメ化された際キャラデザインで大友も参加。その強い憧憬がうかがわれる。また大友のSFデザインには📺ラットパトロールや📺ワイルド7などの影響もみられる事から70年代の活劇娯楽番組のエッセンスの昇華・洗練も見て取れるところである。最後に大友はヤンマガ連載終了時にこの作品を手塚治虫に捧げた。その後一切マンガが描けなくなった大友は藤子・F・不二雄先生を訪ね何故そんなに描くことが尽きないのかを聞いた。そしてアニメの世界へと旅立ったのである。手塚、藤子、石森(石ノ森ではない)横山のSFエッセンスを最大限に作品化したこの大友克洋をしのぐSFビジュアリストは向こう100年は出現しないであろう。その金字塔こそがこの🎦AKIRAなのである。
伝説の作品をYouTubeで鑑賞
かゆいところに手が届かない
Youtubeで配信されたので、ようやく観ました。
映像と世界観は素晴らしいの一言に尽きます。これは他の人が語りつくしていると思うので割愛します。
で、いくつかの不満点が以下。
■金田が鉄雄にとどめをささない
金田は鉄雄に落とし前を付けるため、親友を手にかける覚悟を決めて戦いに身を投じたはずです。ここでどのように二人は決着をつけるのか、その結果金田は何を思うのか。そういった点が気になって観ていたのですが、結局はアキラとエスパー3人組によって解決されてしまいました。金田は最後まで巻き込まれ主人公のままで、不完全燃焼でした。
アキラとエスパー3人組の協力で金田も一時的に超能力が使えるようになって鉄雄を始末すれば良かったと思った。「誰でも内にアキラを秘めてる」とかいうワードの伏線回収にもなるし、金田は鉄雄と決着をつけられ、助けを求めた鉄雄を救うこともできたのではないでしょうか?
■一部キャラの結末が雑
まず竜と言うおっさんですが、よくわからないままよくわからないじいさんと会話してよくわからないまま撃たれて退場しました。鉄雄にやられるべきだったのではと思いました。
次に山形。作中でかなりショッキングな出来事のはずなのですが、肝心の殺害シーンが描かれず、感情移入しにくかったです。彼のバイクも印象に残ってなかったので、金田が壁に突っ込んでバイクを燃やすシーンも最初何やってるのか分かりませんでした。数秒考えて、「あ、バイクも一緒に天国に送ったんだ」と気づきました。
前評判通りクオリティの高い作品でしたが、もっとよくできたんじゃないかと思う点があり、なんだかかゆいところに手が届かない作品だったというのが総評です。
もう、始まっているからね
連載開始当時はまったく知らず、単行本(と呼んで良いのだろうか?)発売でド肝抜かれて、そこから惹き込まれて行ったのは、忘れられない。
当時、劇場でワクワクした割になんだか裏切られた氣持ちだったのも覚えてる。
あらゆる分野に波紋を投じた作品となったが、原作コミックで感じた、映画的な高揚感は、当の劇場版ではスケールダウンに感じていたのかも…。
今回限定配信での視聴で、スクリーンからサブスクで音響もかなりレベル下がってるはずなのに、悪くなかった。
35年の間に、制作秘話や裏設定など吸収した分、ストーリーの流れが視えてきたからかも。
あの時既に“始まっていた”のかもしれない。
機会があればもう一度スクリーンで観直したい。
そして、コミックも読み返してみなければ!
こんなアニメ他にない
最後まで観て、考えさせられました。
やっと観た。
不朽の名作
映画館では見てません。チャンスがあれば、是非見てみたい。原作漫画は読んでいません。これも機会作って読みたいとは思っています。
レンタルビデオやテレビ放送で何回か見て、休日にアマプラで見ました。
何度見ても色褪せない。
何故だろう?
個人的に「アキラ」の正体が、体の全てを解体されて、ホルマリン漬けで更には冷凍保存をされていることが、毎回「グっとくる」それは、超有名なあのバイクのシーンが「カッコ良くてグッとくる」のとは違って、「人の恐ろしさ、業の深さ、罪深さ」が胸を詰まらせる「グッとくる」です。
異能の超能力を持っているからと言って、そこまでするのか・・・・・
死しても尚、存在をしているアキラ・・・・・もう、それって神様の領域で、神を手に掛けて、酷い扱いをする・・・罪深いなぁと、このレビューを書きながら、そう感じました。
テツオの脳みそをいじくり、その能力をコントロールしようとすること、それが敵わずテツオが暴走するとSOL(衛生レーザー)を使用してでも殺そうとするという、傲慢さも酷い話だ。
原作がもの凄いクオリティーと熱量で、原作者が監督をするということで、その熱量がきちんと映画版に込められているんでしょうね。
映画館で見たいし、漫画も読みたい。
カオスの密度が濃すぎる!凄すぎる!!「“さん”を付けろよこのデコスケ野郎!」
これほどまでの名作を創りあげられた大友克洋作品なのに、原作は1Pたりとも読んでいないのですね。『気分はもう戦争』は友人の勧めで読んで、大変面白かった記憶があるのですが。
大友さんでないと描けない絵柄は大変印象的、かつ魅力的です。
アニメではのっけから、カオスすぎるにも程がある世界観描写と、芸能山城組によるオリエンタルチックで不穏な雰囲気の劇伴にノックアウトされました。劇場の音響の整った環境で聴くことができたなら、まさしく鳥肌物だったろうになぁ。
なのに、大変間抜けなことに昨年のIMAX上映を見逃していたんですよ。残念無念。
o(*≧д≦)o″クヤシー!
非常に滑らかに感じた作画は、調べてみると“2コマ打ち”という破格の作画枚数による緻密な手法が用いられていた賜物のようですね。赤色の使い方がとても印象的でした。
加えてプレスコ方式で絵作りするとか。どんだけ手間かけてるねん、って話です。
レビューを書くにあたって、ネットの各資料をカンニングしたんですが、原作コミックはもっと世界観の広がり&掘り下げがあったようですね。
イケイケのバブル当時でも、さすがに十億円単位で続編をいくつも作るってことは、そう簡単にはできなかったのかな?あんだけ狂ってたバブル時代だったからこそ、3部作構成くらいでやってほしかった気がします。大変惜しいけれど、今さら言ってもしょうがないじゃない。
実写化の話もあれこれと出ていたようですが、時代が追い付いた今こそ実現させてほしいものです。
(コミックの実写化に関しては「とりあえず作ってほしい派」なんですよ。成功か失敗かは、後で決めりゃいいから。私なら失敗しても原作レイプとか辛辣こと言わないし・笑)
ちなみに、この劇の主人公って一体誰?と思って調べてみると、面白いことが書かれていました。まさかの『鉄人28号』リスペクトからの金田正太郎そのまんまの、金田がそのポジションらしくて。
なのにこの主人公、普通のパンピー少年なんですね。あくまでも、ただの健康優良不良少年。
そこ目線のお話だから、それが物語にリアリティを持たせる裏打ちになってると思ったの。
突拍子もない荒唐無稽なお話になりそうなところを、ギリギリ“あってもおかしくはない”近未来SFで踏み止まれたと思ったの。
想像の余地のない現実のお話と、あくまでも絵空事のホラ話。ここの塩梅が絶妙のバランス感覚だったと思うの。
いかにも世紀末に現れそうな怪しい教団も出ていたし。劇中ではあっけない最後だったけれど。
こういうところを何部作かで丁寧に描いてほしかった気が。今さら言ってもしょうがないじゃない。
面白かったのは、教団のパンフレットが1部500円の良心的価格だったこと。しつこい勧誘さえなければ、絶対に買いに行くのに。「ムー」みたいな感じの小冊子なのかな?
興味深いのは、同じく退廃したカオスな街を舞台にした『ブレードランナー』との関係性。
どちらが先か調べてみると、劇場公開はブレラン(1982年)の方が先だったようですね。但し『AKIRA』の原作コミックも同年からの連載(1982年)。 構想から察するに、どちらもほとんど同時期になるようですね。
全く同時に天才ふたりが同じ世界観で物語を作ったのは、非常に面白いです。神からの啓示でもあったのかな?
ところで男子の永遠の憧れのアイテムのひとつ、金田のバイクって電動?それともエンジン駆動?劇を観ていると、明らかに排気音が聞こえてきたのに「やっとモーターのコイルがあったまってきたところだぜ」との台詞もあるし。もしかして燃費と環境に優しいハイブリッド?
ただね、非常に惜しいことに一個だけ難を挙げるとするなら、ナンバーズの少年少女の声が、ちょっと棒気味だったことくらいかな。まぁ、減点材料になるほどでもないんですが。なんであの起用になったんだろう?
声優さんを調べようとしたのですけれど、三人ともWikipediaにもデータがないんですよ。この作品っきりの素人さん?
もう一点、不思議に思ったことがあって。タカシとニアミスしただけの鉄雄が、何故タカシ以上に強大な力を手に入れたのかが?でした。もともと鉄雄に、能力者の素養があったのかな?
わからないことの全ては、そりゃぁ…遺伝子のせいだなぁ。
あのエンディングは、原作通りなのかな?それとも劇場版用の締め方なのかな?劇場版『銀河鉄道999』みたいな。
原作の連載期間が1990年終了なのに対して、アニメは1988年の作品だしなぁ。原作未読って、こういうところで困ります。
情報量の多すぎるこの作品、語り出すとキリがないので、このあたりでお開きにしておきますね。
逃げるんじゃないやい!マジで超長文になりそうだから、文字数制限的に遠慮してるだけだわい!
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