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『二人日和』のスタッフに沢口靖子を加えた作品。
『二人日和』は老人性痴呆症を扱いながら、しっとりとした大人のドラマだった。藤村志保さんと栗塚旭の2人のコンビはとても良かった。
今回はこのコンビに沢口靖子が久し振りの映画出演で絡むので、始めは変に2時間ドラマの様にならないか?と心配した。
最後の方で気持ちを分かち合う湖のほとりのシーンこそ“その手”の匂いがあったものの、全体的には実に《日本映画らしい》作品に仕上がっていました。
全編で絵葉書の様な美しい風景を背景にした“確執”のドラマなんですが、良くも悪くも日本映画らしさは観る人によって突っ込みが入りそうな場面も多々ありますね。
ハリウッド大作がお好きな方にはお薦め出来ず、コアな日本映画ファンでも「何じゃこりゃ!」と言われそうですけどね。特に[父親出現場面]等は(笑)
過去の出来事に対して想いを持ち続けていて、最後の最後にそれを払拭する《キーワード》になっているのが【小津安二郎】であり、蓼科の秋でもあります。
観た直後で確信はありませんが、小津作品に見られる構図を数多く使用していると思えます。
押し花に秘められた恋物語ですね。余韻のある終わり方で、やはり藤村志保さんが素晴らしかったです。
(2007年9月19日シネマ・アンジェリカ)