デス・プルーフ in グラインドハウス

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説・あらすじ

鬼才Q・タランティーノ監督が、殺人鬼とセクシー美女軍団の激闘をカーアクション満載で描いたスラッシャー・ムービー。テキサスの人気女性DJジャングル・ジュリアは、女友達と一緒にお気に入りのバーを訪れる。しかし彼女たちの背後には、車を凶器に美女を狙う恐ろしい殺人鬼スタントマン・マイクが忍び寄っていた。それから14カ月後、今度はスタントウーマンのゾーイたちがマイクの標的となるが……。

2007年製作/113分/R15+/アメリカ
原題または英題:Death Proof
配給:ブロードメディア・スタジオ
劇場公開日:2007年9月1日

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映画レビュー

4.0暴力が楽しい

2025年3月20日
PCから投稿

低予算映画へのオマージュというよりダイアログ重視な映画になっていて顧みると昔のタランティーノは登場人物の会話に長尺をとるスタイルだった。とりわけ有名なのは多分レザボアドッグのマドンナスピーチと呼ばれている巷談だと思う。ダイナーにいるときミスターブラウンがlike a virginは巨根男を歌った歌だと指摘する。大脱走のチャールズブロンソンのように毎日掘りまくるジョンホームズのような巨根をもった男がやりまん女に会う。やりまん女はその巨根にまるでじぶんがバージンにもどったかのような痛みを感じる。だからlike a virgin。

日常でみつけたりひらめいた会話アイデアを映画にしてみせるタランティーノの映画は楽しかったが観衆の波長に依存するところもあった。デスプルーフは映画や芸能で生きている女たちのダイナーでの会話に長い尺がとってありゾーイベルが猫の転生だという会話はあとで回収されてすっきりしたがその他のお姉さんたちの会話は率直に言って冗漫でもあった。Vanessa Ferlitoのラップダンスにしたってなんでこんな尺とるん?とは思った。
しかしデスプルーフのダイアログや寄り道は助走であって真価は暴力の楽しさにあった。箍のはずれた暴力が観衆のアドレナリンを大量分泌させる。Once Upon a Time in... Hollywoodに近い感じがした。なんでこのシーンにこんな尺とるん?という箇所が多いのもワンスアポンとデスプルーフは姉妹品だった。
ふつう人間は暴力反対であり、大人なら映像作品の暴力描写について、まねする輩がいるかもしれないとかの牽制した立場をとるであろう。教育者とかコンプラ推進側や公的立脚点をもっているなら、なおさら暴力描写は制御したいところであろう。
しかしタランティーノ映画の、公序良俗を屁とも思わぬところは改めてすごいと言わざるをえない。おれたちは人間であり、人間は暴力描写に昂奮するんだ、くやしかったら否定してみろ──という感じがある。
後年のOnce Upon a Time in... Hollywoodにおいて、いくら賊とはいえいくらLSD漬けタバコの影響下にあるとはいえ、屈強な男のピットが少女の顔面を暖炉レンガに打ち付けテーブルに打ち付けレリーフに打ち付け完全ざくろにする──その最中にも、鼻を折られ犬に噛まれた別の少女が長径銃を撃ちまくりながら大絶叫で走り回るのである。
このデスプルーフだって綺麗なお姉さんたちが最高速で逆走してきたデスプルーフ車両に正面衝突して人は吹っ飛ぶは脚はもげるは顔面が剥離するは。ラストだって追い詰めたスタントマンマイクを女三人でサンドバッグのように殴りまくってダウンしたら踵落としで顔潰しちまう。で、それらを見ているわれわれの気持ちは気の毒とかじゃなく「たのし~」とか「きもち~」なのであって、タランティーノを見るたび暴力を見ることが人間にとって娯楽であることを痛感せざるを得ないのだ。

タランティーノは映画のインスパイア元としてダイアログに再三でてくるバニシングポイントのほかにラスメイヤーやロジャーコーマンやダリオアルジェントやハルニーダムやジョンフォードをあげている。タランティーノの趣味には偏向があり会話の中でプリティインピンクが好きだと言ったメアリエリザベスウィンステッドは置き去りにされてしまう。タランティーノが好むのは攻撃性のある女だがその意味でもメアリエリザベスウィンステッドは異質だったがそこはアクセントだった。
タランティーノは日本だと深作欣二藤田敏八鈴木清順黒澤明三池祟史円谷英二本多猪四郎とか吸血鬼ゴケミドロのような古い怪奇特撮を挙げるが、余談だがじぶんはさいきんタランティーノ的アドレナリン刺激映画とは対極的な小津安二郎のレビューをいくつか書いてきた。いくら趣味とは違うとはいえど博覧強記なタランティーノから小津安二郎という名前を聞いたことはない。逆に言うとタランティーノの小津論を聞いてみたいものだ。

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津次郎

3.5スカッとする映画!

2025年3月5日
PCから投稿

スピルバーグ監督の名作「激突!」をタランティーノ監督が撮るとこうなるという感じの映画。
激突!では最後は事故ってアッサリ目に終わるのですが、タランティーノ監督はそれを許しませんでした。

タランティーノ監督の4作目ですが、前作の「キル・ビル1&2」がそれまでのタランティーノ監督っぽくない分部が多かったのですが、今作ではこれでもかと言わんばかりにタランティーノ監督の特徴とも言える長回しの無駄話、食事をしながらの意味の薄い会話がふんだんに入っています。
ちょっと退屈な部分もありますが、その退屈さは全てラストのスカッとのための前振りです。

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みる

5.0それをストーカーと呼ぶ

2024年10月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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なつ

4.0超ド迫力のカーアクション!

2024年2月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

興奮

先日、「サンクスギビング」を見た時に、この作品が「グラインドハウス」のフェイク予告編の一本だと知りました。
「グラインドハウス」!おー、懐かしい響き。2000年代の始め頃かな、タランティーノとロドリゲスのコンビによる企画ものの映画。
何でもアメリカではB級映画を二本立て、三本立てで専門に公開する映画館があったようで・・・それを総称してグラインドハウスと言うんだそうです。日本での公開はこの「デス・プルーフ」と「プラネット・テラー」を別々に公開したみたいなんですが、本来はこの2本にフェイク予告編がついて、一本の映画だったようです。
我が家にはそのUSAバージョンも含まれたDVDがありましたので、引っ張り出してきての久し振りの鑑賞です。

今、見ても十分に楽しめます。
元々が古き良き時代を再現した映画だったので、わざと古くさい感じで作ってあるのが面白い。フィルムに傷をつけて、何度も見直した感の再現してたり、ホンッと映画好きが映画作りを楽しんでる想いがビンビン伝わってくる感じです。

さて、本作品ですがひと言で言えば車を使った殺人鬼の話なんですが、そこはタランティーノ、独特の世界観で女性たちの長話(と言うより無駄話)が延々と続きます。自分的にはここがマイナスポイントかな。だれちゃうんだよね。
全く、本編には不要と思われるのですが、これがあるから後半のカーチェイスに魅せられるって気がしないでもない。
とにかく、往年のカーアクション、車による格闘技を彷彿させるチェイスに大興奮です。

そして迎えるラストカット。スッキリすること間違いなしのエンディング。
まさに映画好きのために、映画好きが作る最高の映画の一部分ですね。
本作については、2本の作品とフェイク予告編があっての一つの作品「グラインドハウス」です。絶対、まとめて見た方が面白い!

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ratien

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