劇場公開日 2007年9月1日

デス・プルーフ in グラインドハウス : インタビュー

2007年8月27日更新

タランティーノが語りつくす!「デス・プルーフ」の濃厚な裏ネタ

前のページから続く

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――「デス・プルーフ」のジャングル・ジュリアというキャラクターは「キル・ビル」の中にも、GOジュースのCMモデルとしてすでに登場していましたね?

ジャングル・ジュリアは「キル・ビル」に登場していた!
ジャングル・ジュリアは「キル・ビル」に登場していた!

「よく気づいたね! 実はジャングル・ジュリアは『キル・ビル』で、暗殺集団デッドリー・ヴァイパースの一員になる予定だったんだ。最初の案では、彼女は殺しの仕事をやめた後、デトロイトに引っ越し、ローラーダービー界のスーパー・スターになるってことになっていた。で、彼女はザ・ブライドと、ローラーダービーでのデスマッチを繰り広げるわけ。でも、これはやめた。ユマ・サーマンにマーシャル・アーツに加えてローラースケートまでマスターしろなんて、無茶すぎるから(笑)。でも、ジャングル・ジュリアで重要な点は、彼女が黒人と白人とのハーフだってことだったんだ。このキャラを削ってしまうと、その要素が消えてしまうことが気がかりでね。だからルーシー・リューが演じたオーレン・イシイを日本人と中国人のハーフにしたんだよ。ジャングル・ジュリアがいなかったら、あのオーレン・イシイも生まれていなかったのさ」

――「キル・ビル」でユマ・サーマンのスタントを演じたゾーイ・ベルを起用したのは?

「キル・ビル」でユマ・サーマンの スタントを務めたゾーイ・ベル(右から2番目)
「キル・ビル」でユマ・サーマンの スタントを務めたゾーイ・ベル(右から2番目)

「彼女が人並み外れた身体能力とともに、素晴らしい人柄の持ち主だからさ。『キル・ビル』のときだって、彼女はザ・ブライドになりきって窓を突き破っていたんだ。彼女には女優としての才能があるし、ガッツがあるんだよ。彼女なしじゃ、この映画はあり得なかったね。安全に気を配っていたとはいえ、かなり危険を冒していたことも事実。でも彼女やスタントの人たちは、まったく安全なことなんて望んでいないんだ。ジャッキー・チェンみたいに、よりスペクタクルなチャレンジをして、また別の高みへと登り詰めたい。だから難しければ難しいほどチャレンジ精神をかき立てられるし、挑戦を嬉々として受けて立つわけさ。『アイムOK!』って感じでね(笑)。実はゾーイは『キル・ビル』のとき、北京での撮影最終日に大けがをして、全治するまでに1年以上もかかったんだよ。つまらないテストのときにワイヤーが外れてしまって。すごく残念だし悔しかった。だから、二度とそんなことがないように慎重にやったつもりだ。もちろん最高のシーンを作りたいけど、彼女の命を犠牲にするなんて絶対にできないから。いくら俺が『キリング・ゾーイ』って映画でエグゼクティブ・プロデューサーをやったとはいえね(笑)」

――撮影をしていて、最高にエキサイトした瞬間はいつでしたか?

カークラッシュシーンは注目!
カークラッシュシーンは注目!

「CGなしのカーチェイスシーンで、ゾーイたちの車がガードレールに激突するシーンを撮ったとき。ここは最初、ゾーイは乗せずに、後ろから撮るだけの予定だった。でも、スタント・コーディネーターのジェフ・ダシュノーを呼んで言ったんだ。『ゾーイを乗せてこれを撮ることはできるかな? できない、と君が言ったらそれはやらないよ』。彼はこれなら、という方法を考えてくれた。キム役のスタント・ドライバーをやったトレイシー・ダシュノーがジェフの奥さんでさ、『本当にそれをやるの?』って、ちょっと呆れてたけど(笑)。彼女はゾーイがボンネットにいるとき、ほとんど前が見えない状態で運転してたんだよ、ときには時速160キロで! この2人が夫婦だってことも、俺には助けになった。とにかく、最高のシーンを撮りたいってどんどんエスカレートする要求にスタントチームがよく応えてくれてね。あのシーンが撮れたときは『よしっ!』って天にも昇る気分だった! でも、いちばん幸せな気分だったのは間違いなく、ゾーイをボンネットから降ろせたときだったよ」

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