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解説

「氷の微笑」の鬼才ポール・バーホーベン監督が、23年ぶりに故郷のオランダでメガホンを取ったサスペンス・ドラマ。1944年、ナチス・ドイツ占領下のオランダ。ユダヤ人の女性歌手ラヘルは、オランダ南部への逃亡中に、何者かの裏切りによって家族をドイツ兵に殺されてしまう。復讐を胸に誓った彼女は、名前をエリスと変えてレジスタンスに身を投じる。彼女はスパイとしてドイツ将校ムンツェに近づき、彼の愛人になるが……。

2006年製作/144分/PG12/オランダ・ドイツ・イギリス・ベルギー合作
原題または英題:Zwartboek
配給:ハピネット
劇場公開日:2007年3月24日

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映画レビュー

4.0【御大、ポール・バーホーベン監督の練りに練った作品構成に魅入られる、エロス&バイオレンスをタップリ含んだ、一見反ナチス映画。矢張り、変態ポール・バーホーベン監督は”極北の人”なのである。】

2023年5月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

知的

幸せ

ー ご存じの通り、ポール・バーホーベン監督は優れた監督であるが、立派な変態である。(物凄く、褒めてます。)
  その変態性が作品に齎す影響は、他の追随を許さないのである。

■1944年、ナチス・ドイツ占領下のオランダ。
 美しいユダヤ人歌手・ラヘル(カリス・ファン・ハウテン)は家族を殺された復讐のため、名をエリスに変え、レジスタンスのスパイとしてドイツ将校・ムンツェに近付いていく。
 しかし、彼の優しさに触れ、次第に心が惹かれていく。

◆感想

・裏切りに次ぐ、裏切りが見事に描かれた作品である。

・レジスタンスの中にも裏切り者はおり、この辺りの構成がポール・バーホーベン監督ならではの、ナチス=悪、レジスタンス=善という類型的な設定を見事に蹴散らしている。
ー ナチスでありながら善なる心を持ち男、ムンツェ将校。一方、レジスタンスの中には・・。ー

■エリスがナチスの手先であるとある人物の企てにより思われ、囚われた挙句収容先で壮大に糞尿を頭からぶっ掛けられるシーンには驚くが、流石変態ポール・バーホーベン監督。
 最高っすよ、ポール・バーホーベン監督!。
 ホント、スイマセン。けれども、主演女優にあそこまでやるかね。

<二転三転するストーリー展開。誰が裏切り者なのか、疑心暗鬼になるなあ。
 そんな優れた構成の中に、ぶち込まれる変態シーンや、エロティックシーン。(今作は、やや抑えめです・・。)
 矢張り、ポール・バーホーベン監督は誰も追従出来ない”極北の人”なのである。>

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NOBU

4.0全然黒幕わからないし、ナチスの中にも良い人がいるのがいい。というか...

2023年3月29日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

知的

萌える

全然黒幕わからないし、ナチスの中にも良い人がいるのがいい。というか善人悪人がわからない
時代を生きぬくための強い女性いいな~

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UPtwHmNNLjBjFuAF

4.0歴史の中のサスペンス

2023年3月10日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

終戦間近、ナチ占領下のオランダ。ナチ親衛隊に家族を惨殺された女性の復讐を描く物語。

放送したCS放送局のレビューでは、「官能」のような言葉があり少し敬遠していたのですが、鑑賞した結果はとてもしっかりとした映画でした。

外れのないナチのユダヤ人迫害を描く映画。その中でもこの映画は、家族を殺した犯人への復讐譚をサスペンス色を交えて描き、私的にはそれが秀逸に感じます。

悪辣なナチス、それに対するレジスタンス。それだけではなく、レジスタンスの中でのユダヤ人に対する侮蔑も、ナチスに協力するオランダ人も、ナチスを見限りレジスタンスと和平を目論むドイツ将校も描くなど、新鮮さも十分。

クライマックスがやや冗長に感じたことで少しマイナスを付けましたが、それでも4は付けられる映画だったと思います。

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よし

4.0一難去ってまた一難、そしてまた、また…。

2022年10月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

知的

「苦しみに終わりはないの?」
という言葉の通りの展開。

世の中の情勢に翻弄された女性がたどった半生。
よくぞ、生き延びたと言いたいが…。

誰が信じられて、誰を信じてはいけないか。
ナチスだから、ナチスの協力者だから、レジスタンスだからとかでは判別できない。
一番損得に目ざといあの人が…。
親身になってくれたあの人が…。
ハンスの言葉、「殺されると脅されれば…」ある一面の真実なんだが、そうくるか。
変わり身の早さは、ある意味、自分を助ける?ある人にはほっとし、ある人には唾を吐きたくなる。その違い。
人としての誠実さは報われる?
大切な人を奪われ、一人残されたやるせなさ…。
”国籍””人種””組織””信条”では図れないそれぞれの想い。
交差する心。
 それでも、ほっとできる間柄も。
 でも、だからこそ深まる悲嘆、怒り。
命を懸けたサバイバル。

”正義”その言葉を借りた攻撃性の発露。
溜まった鬱憤の捌け口は、常に手出しの出ぬ者へ。
そして、安易に祭り上げる英雄。
簡単に落とされる名声。

そして、地獄は続く…。
ラストの映像に絶句する。
だが、これが史実。
何故?歴史は繰り返す。

それでも生きていく。
その姿に涙する。

事実をベースにした物語。
それを思い返すと、なんと皮肉なメッセージを込めた映画なのかと唸ってしまう。
事実は小説より奇なり。
簡単なハッピーエンドでは終わらない。
そんな世界情勢、人の心の有様を炙り出した作品。

☆ ☆ ☆

この映画の監督は、第二次世界大戦終結時6才だったとか。
この人間模様が、幼い子の眼に映ったものか?
日本の、戦争時子どもだった人々が、終戦を期にすべてがひっくり返ったとおっしゃるが、こんな体験だったのか?
大人になった私たちが、この終戦後の混乱を見れば、整理もつこうが、
まだ大人の示す世界が世界の総てと信じる世代にとっては…。

映画は、目を覆いたくなるような描写もありながら、
(特に、食事しながらの鑑賞はお勧めしない)
乾いた描写でサクサク進む。
一つ一つは胸がえぐられるほどの描写なのだが、
次々に展開していくので、
ヒロイン同様、涙が出てこない。
圧倒的な現実に出会うと感情がマヒするが、そんな感覚?
そんなところが☆マイナス1。
と言って、情緒たっぷりに描かれたら、トラウマ級の映画になり、二度見できなくなりそうだが。

そんな演出の中でも、ヒロインには充分に感情移入できる。演技・覚悟に乾杯。

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とみいじょん