紀子の食卓

劇場公開日

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解説

2002年に製作され大きな反響を呼んだ「自殺サークル」の続編。退屈な日常や家族との関係に嫌気がさしていた女子高生・紀子。ある日“廃墟ドットコム”というサイトを発見した彼女は、家出して東京へ行き、サイトを通して知り合ったクミコが運営するレンタル家族の一員となる。一方、紀子と“廃墟ドットコム”の関連に疑いを持った妹ユカも東京へと向かうが……。前作に引き続き、鬼才・園子温監督がメガホンを取る。

2005年製作/159分/R15+/日本
配給:アルゴ・ピクチャーズ

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映画レビュー

4.0“上野駅54”というハンドルネーム。これは「上野駅にいるkossy」を表している。

kossyさん
2021年4月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 17歳の女子高生・島原紀子(吹石一恵)は“廃墟ドットコム”というサイトの常連になり、主催者とみられる“上野駅54”に次第に惹かれていく。田舎の生活にも飽きて父親との確執もあったことから“上野駅54”ことクミコに会いに行った。早速、クミコの家族を紹介され、おばあちゃんの家へ向かい、そこでも親しげに紹介される。しかし、彼らは“レンタル家族”。言いかえれば、イメクラの派遣会社でもあるのです。もしかすると小泉改革における自由化路線の一環で、ついに家族まで派遣してもいいことになったのか・・・

 家族の絆、人と人との繋がりが希薄になった現代社会。ぎくしゃくした本物の家族よりも金で雇った家族のほうが安らぎを覚えるといった発想は見事です。「あなたはあなたの関係者ですか?」といった言葉からも窺えるように、自分自身さえ見失ってしまっている世の中。偽物であっても心が落ち着くのであればと、そちらを選ぶ人の気持ちも何となくわかります。しかし、本物と虚構の間で働いている彼女たちも精神的におかしくなって、仕事が上達しステージが上がると大変なことまでやってしまうのです。

 「いっせーの、せっ」と、『自・殺サークル』で行われた54人の女子高生が集団で駅のホームから飛び込むシーンが何度も映し出され、その事件の真相が明らかにされるというオマケつき。「命を粗末にする人は現実社会のほうが圧倒的に多い」とうそぶくサークル主催者の意見はさすがに矛盾してましたが、報酬をもらって偽家族を演じることが人間関係を悪くすることも少ないだろうし、なんとなく納得してしまう。

 物語は章立てとなっていて、登場人物それぞれの視点で一人称ナレーションスタイルを貫いている。これが自己喪失感を上手く表現しているので、159分という長尺も苦にならない。演技においても主演女優もさることながら、父親役の光石研の演技が印象的です。ただ、それぞれが別名を持っているので混乱することもあったのですが、名前はそれほど重要ではありませんでした。

 さすがR15だけあって、かなりのスプラッターがありますので、ご鑑賞の際にはご注意を。

【2007年1月映画館にて】

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kossy

5.0映画のシュールレアリズム

あき240さん
2020年7月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

園子温監督作品独特の表現の映画です
普通の映画は第三者の客観的な目に見えることを写していますが、園子温監督作品は違うのです
その写されている人物の頭の中のことが写されているのです
映画のシュールレアリズムと言うべきものです

誰しも頭の中にあることを、人に伝えようとするとき、主語と伝えるべき主題が一つの塊として整理されて言葉なり、仕草なり、表情として、それが演技として、実際に起こっているかのようなリアリズムで表現されます

映画もしかりです
時にスローモーションになり、時にあっという間の事になることはあっても、それはその人物の主観がそうであったというリアリズムです

ところが本作をはじめ園子温監督の作品は、登場人物の頭の中のあるがままが映像となっているのです

人の頭の中は普通未整理なものです
何かを見て、何かを感じる
それが頭の中で言語化されます
しかし、それは取り留めのないもので、連想して違うことや、今考え無くても良いことを空想したり、そういえばこうだったと過去の事を思い出して、それがさらに次の連想や空想を呼んでいて、ふと気付くと最初のことからかなり離れた事を思っていたりします
一瞬と思ったことが何分か経っていたりします

その人の頭の中の混沌とした思考そのものが、ずるずると垂れ流がされて映像となり、カットとなりシーンとなって積み重なり映画となっているのです
具象的に正面から見たものではなく、多方面から見たり、感じたことが、絵画となっているピカソの抽象画のような映画なのです
本作はそれそのものだと思います

もしかしたら、本作の物語全てが、食卓の上の灰皿の中でみかんの皮が膨らむ間の一瞬に、紀子の頭の中で浮かんだ空想だったのかも知れません

もしかしたら、あの再現された家での血塗れの惨劇までは本当にあったことで、その後の惨劇の痕跡の全くない、すき焼きの夕飯や団欒、自室での就寝は紀子の空想なのかも知れません

いや、それも全てが空想で、あの豊川の家のことも空想、紀子の家出から始まる物語も、何もかもユカの空想なのかも知れません
再現された家が本当で、ユカがこれから家出するのが本当かも知れないのです

ラストシーンの台詞

さようなら、ユカ
さようなら、わたしの青春
さようなら、廃墟.com
さようなら、ミツコ
わたしは紀子

つまり、それは何もかも全てが、自殺サークルのニュースを聞いた紀子の多感な思春期の空想に過ぎなかった
そういう意味なのかも知れません
ユカすら存在しなかった
彼女は紀子の空想の存在だったのかも知れません

わたしは、わたしの関係者ですか?

わたしという実存は何なのか?
わたしとは何者なのか
本当のわたしとは誰のことなのか?
今考えているわたしが本当のわたしなのか?
本当のわたしは違うわたしで、わたしはわたしが空想した仮のわたしなのか?
関係者ということは、本人ではないのか?
本人を知っているわたしなのだろうか?

あやふやな実存
ならば、生と死もまたあやふやなことだ

なんだか、ギヤをニュートラルのまま、思考のエンジンを思いっきり空ぶかししたかのように疲れました

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あき240

3.0長い

2020年3月27日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
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吉泉知彦

5.0時代が追いついた

2019年8月27日
PCから投稿

今なら、こんな疑似サービスはあるのだが、こんな頃に考え出すとは。
演技が凄い、演出が凄い。
吉高由里子とか他の出演者も持ち味を半端なくだしていて、吸い込まれるような展開。
もう、凄いぞ、終わり方。

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