この映画、本来なら1977年の夏に劇場公開される筈だったのが、何者かから東京都内の映画館への爆破予告が有ったことから、結局、日本では劇場公開が見送られオクラ入りになった曰く付きの作品。その後のTV放映やDVD等でも見逃し続け、なんと今朝、制作から47年の時を経て漸く観ることが出来ました。
脚本がアーネスト・レーマン! 悪役であるパレスチナ過激派組織 "黒い9月"の生き残り組テロリストの男女 (ブルース・ダーンとマルト・ケラー)による米国内でのテロ計画から実行までがリアルに描かれていくのですが、この二人の登場人物の悲しい過去が明らかになって来るので、映画を観ているこちら側は、イスラエル特殊部隊の少佐役でFBIと協力してテロを阻止しようとする主役のロバート・ショーではなく、悪役二人の方についつい感情移入してしまい、やるせない気分になって来るのが、如何にもアーネスト・レーマンならではの脚本の上手さです。同じくレーマン脚本の「ファミリー・プロット('76米=ユニヴァーサル)」のおかしなカップル (ブルース・ダーンとバーバラ・ハリス)とは対称的で、今回は勿論ユーモア一切なしですが、主演がどちらもブルース・ダーンと言うこともあり「ファミリー・プロット」との相似性を感じます。
マイアミのフットボール・スタジアムで、一体どんなテロが行われるのか?モハべ砂漠で事前演習を行うシーンの怖さ、眼で見せて訴える旨さ!ラストは空中戦を展開しながらフットボール・スタジアムに迫る来る巨大な飛行船、その飛行船にぶら下がり宙吊りになるロバート・ショウ。まさしく荒唐無稽としか言いようがないものの、だからこその映画の醍醐味!これも名脚本家レーマンならではで、「北北西に進路を取れ!('59米=MGM)」のラストでラシュモア山のシーンに持って行くシナリオ作りの巧みさと同様に感心させられました。
「スター・ウォーズ ('77米=20世紀フォックス)」以前のジョン・ウィリアムスが聴ける最後の作品でもあり、「タワーリング・インフェルノ('74米=20世紀フォックス/ワーナー)」や「大地震 ('74米=ユニヴァーサル)」にも似たピアノとオーケストラによる純粋な劇音楽に徹したスコアもなかなかのものでした。