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映画「郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942)」 郵便配達は二度ベルを鳴らす(1942)
劇場公開日:2017年1月7日
解説
映画史にその名を残すイタリアの巨匠ルキノ・ビスコンティが、1942年に発表した記念すべきデビュー作。アメリカの作家ジェームズ・M・ケインの同名小説をもとに、原作の舞台を北イタリアに移して男女の策略と悲哀を描いた傑作で、40~50年代にかけたイタリア・ネオレアリズモの先駆け的な作品とも言われる。飲食店を営む夫婦のもとに、ジーノという風来坊が転がり込む。妻とジーノはすぐに深い仲になり駆け落ちを計画するが、いつしかお互いに疑心が芽生え始め、2人の関係は二転三転していく。日本では79年に劇場初公開。2017年には、「ルキーノ・ヴィスコンティ 生誕110年 没後40年メモリアル イタリア・ネオレアリズモの軌跡」と題した特集上映で、イタリア本国で発見されたフィルムをもとにデジタル修復された、本編126分の2Kリマスター版が公開となる。
1942年製作/126分/PG12/イタリア
原題:Ossessione
配給:アーク・フィルムズ、スターキャット
日本初公開:1979年5月26日
スタッフ・キャスト
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2023年3月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
人間というのは、それぞれの幻想の中に生きているものである。“衝突”の瞬間にその事実が垣間見えるものの、やはりそれぞれはそれぞれの世界の中に舞い戻ってしまう。/死とは、運命とは。
2021年6月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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ジェームズ・M・ケインの原作を読んで、その面白さと卓越した表現の荒々しさに感銘を受けた。それでその面白さを期待しすぎて映画を観てしまい、予想とは違った印象を持った。ヴィスコンティがこの処女作で表現したかったのは、夫を裏切り殺人行為に至る女の情念と、その熱情ある女性に魅了された男の戸惑いと無自覚な犯行、そして罪の恐れであり、絶体絶命な境地に追い込まれた時の人間の生々しい生き様である。推理小説の面白さや謎解きではなく、どのような状況下で男と女は、どう表情を変えていくのかが、ヴィスコンティの関心と興味であった。
先ず、前半のレストラン経営者ブラガーナとジーノ関わり合いが、ジャン・ルノワール的な人間表現で見事である。妻ジョバンニがジーノに好意を抱きながら、夫の前では無関心を装うところが面白い。町の酒場でオペラのコンクールがあり、ブラガーナが意気揚々と自信満々に歌い上げるシーンと、三人で裏道を歩くショットは、ルノワールタッチを連想しないではいられない。まだヴィスコンティの演出タッチが確立しないのは解るが、これほどまでに師匠の演出をそのまま再現していることに驚いてしまった。この後殺人が行われるが、映画は殺害シーンを描かない。次のショットでブラガーナの遺体が車の傍らに置かれている。後のジョバンナの事故死を強調するための演出であろう。
ジーノが事件後同じレストランで生活するのに耐え切れず、若い娘アニータと仲良くなるシークエンスは、ヴィスコンティらしい演出を見せる。夫に掛けてあった保険の額の大きさに驚くジョバンナの姿も印象的に描かれている。激しい恋愛の無計画さと、結果お金の損得勘定の現実に引き戻されて不幸になる世の常が窺われるところだ。運命も二人の再出発に逆らうように流れる。
イタリアネオレアリズモの先駆けとなるヴィスコンティの演出は後半に特に顕著である。マッシモ・ジロッティとクララ・カラマイの熱演もあって、赤裸々な欲望に負けた男と女の転落がリアリズムタッチで描かれ、その行き詰まる迫力が見所であった。
1979年9月14日 飯田橋佳作座
2021年2月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
危機を掻き立てる音楽により、ここで姦通妻のデブ旦那を殺めるのかと思わせて肩透かし。そして、次の出会いで事故に見せかけた殺害現場シーンを見せずに、いきなり事後後の映像から見せるのは、ユニークで面白いと思った。
主人公が夫婦の元を一度去り列車の中で出会ったスペイン男の芸人と、夜泊まったベッドを共にするのが少し怖い。夜、マッチの火でスペイン人が主人公の様子伺うが深く寝入っていて何も起こらずなのだが。これってラブシーン?
旦那殺しの後2人がハッピーにならず、レストランに縛られ憂鬱になってしまう主人公の姿。そして、久しぶりにスペイン男を見つけて笑顔で駆け寄るのも、どこか恋愛的。結局二人は喧嘩別れの様になり、レストラン妻のとこに戻ってしまうのだが。スペイン男は結局振られてしまった?
行きずりの女と浮気もし、裏切られたと勘違いしていた主人公がお腹の子供と共に妻と新たに新天地求めて運転するも、本当の死亡事故起こすのはやはり因果応酬的で納得。
2021年1月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
購入DVDで観賞。
時代的価値は有ったとしても現代の視点では
どうだろうか?
妻は、実は彼女に保険金を残そうとする程の
気遣いがある夫なのにも関わらず、
それを全く理解出来ず、
生活資金面は夫に、性的な対象は
やって来た男にとの御都合主義者。
やって来た男は、本気で女に惚れるような
純粋な精神の持ち主のようでも、
主体性が無く、
精神的に不安定な時は簡単に他の女と関係
に走るほどの意思の弱い人間。
人間性そのものから得るものが無い設定
に加えて、
ストーリー展開にもぎこちなさが散漫
していて、
後に名監督になるヴィスコンティの第一作
としては、描写にはその片鱗を見受けられる
ものの、作品全体としてはまだまだ発展途上
のように感じる映画だった。