時計じかけのオレンジのレビュー・感想・評価
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のめり込む自分が怖い
私たちは"時計じかけのオレンジ"
『時計じかけのオレンジ』。このタイトルの意味は……
キューブリック監督に試されている気がしました。人間というものがどれだけ恐ろしいかを、今では考えられないほどストレートに訴えています。
別にホラーというわけではありません。あくまでもブラックコメディです。何が怖いかというと、"観ている自分"なのです。主人公たちが次々に暴力を振るうシーンを観て、それが恐ろしく見えるか、何も感じないか、または楽しく見えるか。私は何も感じませんでした。どちらかと言えば、とても爽快な気分になったのです。『雨に唄えば』を歌いながら老人作家を殴り、その妻を襲う彼らを普通に観ている自分がいるのです。
そう、今の人間は本来もつ邪悪な野心をただ隠しているだけなのです。なぜなら、私たちは"法の下"で生きているからです。その"法"がなくなったら、人間は本性を露わにすると思いませんか?
その象徴が主人公の"アレックス"であって、私たちは彼を通してそれを痛感しなければならなくなります。
劇中、彼は強制的に善にされます。しかしこれは本来の彼ではありません。見た目は彼(オレンジ)でも、中身は別物(時計じかけ)なのです。これが、タイトルの意味だと思います。本質は変えられないのです。
つまり、今の私たちは"時計じかけのオレンジ"そのものなのです。
タイトルなし(ネタバレ)
1時間までは嫌悪感が強くて耐えられなかったが、矯正の際の犯罪と嫌悪感の関連の話から興味深かった。ただし、雨に唄えばを聴衆に対し、嫌悪感との関連をもたせたのは好きな者にとってはかなりきつい。逆に言えば、それはテーマであるため、それに成功し完成されていることになる。
一種の中毒性のある映画
親と見ないように
あそこまで暴力的で性的描写にあふれているのに、確か年齢制限がなかったと思う。良い映画だとは到底思えないけど、強烈に頭に残ってしまう。
かつて暴力を奮われた人が、アレックスの口ずさむ "雨に唄えば" を聞いて震えるシーン。暴力と音楽を繋いだトラウマは、アレックス本人が受けた実験のよう。
BGMはずっとクラシックやオールドが流れていて、強烈なシーンほど明るいメロディはインパクトが残る。ホラー特有の鬼気迫る効果音より、明るい方がずっと怖い……。
名作
暴力性を、国家が治療によって矯正する、近未来の管理社会を描いた名作。
造形的で静観的なものと、音楽的で激情的なもの。この映画の芸術性は、この両衝動の対立と結合によって生まれたように感じる。
アレックスは、人間社会にはとうてい受け入れられない、反社会的な「悪」。
彼はどういう社会が正しいか、どういう社会が間違っているかという議論はしない。
道徳破壊者である彼からすれば、そういう議論はできない。
ただ、権力側によって洗脳された状態を「病気」だと言っているようだ。元に戻った彼は言う。「完全に治った」と。
人間の自由意志による選択を非常に重視するラスト。善・悪がこの世にある限り、我々は自らの選択の責任を担う以外にない。
面白すぎる
去年のカナザワ映画祭で後半部分から見始めて、何度も見ているのでいいかなと思ったけど、前半のエキサイティングな場面が面白かったことに気づいてすごく後悔した。WOWOWの放送で改めて見たらやっぱりとんでもなく面白かった。
主人公は高校生くらいの若者でスーパーカーみたいなのを乗り回してやりたい放題で、麻薬やってレイプして3Pして音楽聞いて、喧嘩して、浮浪者をリンチして強盗して悪い事全部していていて、とんでもなく楽しそうだった。あのミルク飲みたい。彼を演じるマルコム・マクダウェルはその後消えてしまったのだろうかと思って調べたら、最近の映画まで途切れなくたくさんの映画に出続けていたのだが、全く印象にない。舌がからんだようなレロレロした語り口が、この映画では異常者っぽくてよかった。
かなりのお調子者でお風呂で気持ちがよくなって『雨に歌えば』を最初は口ずさむ程度だったのが、だんだん盛り上がって熱唱して正体がばれるところは、おじいさんの表情も含めて最高だ。
金持ちたちが嫌味っぽいので犯罪者を応援したくなる。
男性器のオブジェで殺されるおばさんもよかった。暴漢に取り囲まれていても一歩も引かずに喚きつづけ、しかも口が悪くてかっこよかった。
デザインの凝った家や室内ばかりを映して普通の町並みや景色を全く描かない事で変な未来感を表現している。今から見れば過去なはずなのに、どこか違う世界の未来みたいな感じがしてすごくかっこいい。
5年くらいしたらまた見たい。
(追記)
ちょうど5年後に午前十時で上映されて、スクリーンで見た。何度見ても超絶に面白い。ストーリーも面白いけど随所にふざけていて面白い。お母さんの2回目の出番の衣装が、魔法使いサリーみたい。刑務所のナチスみたいな看守も面白いし、保護司みたいなおじさんも相当ふざけている。車椅子のおじいさんが、正体に気づいて驚愕する表情は完全に変顔でふざけている。素晴らしかった。
そこまで難解さはないが、容赦ない
いや〜この時代にこの作品とは恐れ入る。
キューブリック監督の作品は苦手かと思ったが、むしろ好みの監督かもしれない。
テーマとしては暴力でしょう。
快楽のための暴力、更生という暴力、復讐という暴力と暴力がたくさんある。
そして、更生の暴力はなんとも恐ろしい。
自分の好きな曲があんな使われ方するなんて、酷すぎる。
そういう暴力の部分でももう嫌なのにその後も酷い。
復讐の暴力があって、流石に犯罪者とはいえ、可哀想と思えて同情してしまった。
とにかく容赦ない。
しかし、ちょっとした救いは出てきたりして後味は気持ち良い。ハッピーエンドとは言えないのに。
これは今、見ても古臭さは感じないと思う。
美術などのデザインも綺麗でこの作品でスタンリーキューブリック監督の凄さがわかった。
不快になる作品ではありますが、オススメです。
狂気的
ライティ・ライト!
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