第十七捕虜収容所のレビュー・感想・評価
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一級品の戦争ドラマ
つい数年前まで二流役者だったホールデン先輩がサンセット大通りで大躍進を遂げここでオスカーを受賞しました。
題名とあらすじからシリアスな戦争収容所ものと思いがちですが、ジョニーの凱旋を印象的なテーマ曲に使った先生独壇場の男の友情ドラマであり、陰鬱さはありません。
深夜の告白、失われた週末、地獄の英雄に続いてここでもアンチヒーローが主役となったので、当初考えていたCヘストン先輩では似合わないと判断し、渋るホールデン先輩を持ってきたそうです。
終盤、ジョニーの凱旋の合唱シーンは極めつけの名シーンです。
コメディというにはシリアス
さすがビリーワイルダー、コメディタッチの中にいやどうなるんだとヤキモキさせるストーリー展開。ただ真犯人が絶対に見つかる仕掛けを付けられて屋外に押し出されるシーンは、もしあれが自分だったらと思うと背筋が寒くなった。セフトンの受けたリンチの比じゃないもの。それにしても収容所の暮らしを見るとどんな境遇でも知恵のまわる者が富をせしめるとよく分かる。経済学の「原始貿易の始まり」かなんかを見せられてるよう。テーマ曲はガルパンの挿入曲だとばかり思っていた。
【名匠、ビリー・ワイルダーが製作・監督したナチスドイツの捕虜収容所を舞台にした異色ドラマ。誰が内通者かが明らかになる過程はハラハラしながらも面白いです。】
■第二次大戦中のドイツの第17捕虜収容所第4キャンプ。
ここにはアメリカ空軍の軍曹ばかりが集められていた。
ある時、2人の捕虜が脱走を試みるが射殺され失敗する。
捕虜たちは、セフトン(ウィリアム・ホールデン)を密通者として疑いだすが一方、皆ははセフトンが斡旋する品々の恩恵もこうむっていた。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・前半、イキナリ脱走しようとした軍曹二人が”待ち構えていた”ドイツ兵により射殺される。
・そこから、巻き起こる”誰が内通者であるか”と言う疑惑。
・セフトンの孤立して行く姿にハラハラするのであるが、彼は自身が密通者でない事を判っているために”敢えて”密通者を炙り出す行動を取るのである。
■密通者はドイツ兵であるプライスである事が明らかになるシーンは、ナチスドイツの非情さを描いている。
彼は”私は、ドイツ兵だ!”と叫びつつ、同じドイツ兵により射殺されるのである。
一方、そのすきを見て捕虜収容所第4キャンプを抜け出すセフトン達の姿。-
<ビリー・ワイルダーの、所謂ラヴ・コメディを数作観て来たものに取っては、驚く舞台設定と展開であるが、改めて彼の巨匠の作品の幅の広さを感じた作品である。>
戦争映画と言えば、航空隊、潜水艦、フロッグメン(潜水工作員)、フィリピンのゲリラ等の話ばかりで、捕虜を扱ったものがないのは不満だ・・・
太平洋戦争下のドイツ、連合国の捕虜収容所を舞台にした傑作‼️物語の大部分は、収容所内にいるナチスドイツへの協力者探し、終盤が脱走ものとなります‼️ウィリアム・ホールデンのクールでちゃっかり者のキャラクターを中心とした捕虜たちの生活ぶりを、天才ビリー・ワイルダー監督がサスペンスとコミカルさをバランスよく描き、改めてワイルダー監督の語り口の巧さに酔わされる‼️ホント何を撮らせても巧いんですよね〜‼️スパイの疑いをかけられ、袋叩きにもされたウィリアム・ホールデンが、最後に本物のスパイを暴き、仲間を助けて共に脱走する‼️電灯コードの謎解きの瞬間の快感は、本当に素晴らしい‼️そして「どこかで会っても知らないフリしような」の捨て台詞を残して床下へ消えたホールデンが、再び顔を出して・・・メチャクチャカッコいい‼️ワイルダー監督の映画であると同時に、ホールデンのカッコ良さが際立つ映画でした‼️
ウイリアム・ホールデン演ずる主人公がユニークで、スパイ暴き出しのミステリー要素も有り、かなり面白かった
監督・製作ビリー・ワイルダーの1953年製作のアメリカ映画。
原題:Stalag 17
原作はブロードウエイ劇らしい。捕虜収容所で、脱走しようと画策する他の連中と一線を置き、黙々と商売をするウイリアム・ホールデンの描写がユニーク。また、ドイツ看守をバレーボールに誘って彼がプレイを始めたところで、丁度独上官が来る展開。ロシア女性兵捕虜のシャワー室に何とか近づこうとするロバート・ストラウスとハーヴィー・レンベックのお笑いコンビの描写が笑える。
ホールデンは内通者の疑いをかけられボコボコにされ、それを何とか晴らそうとする。その過程で、スパイからの情報有りの合図は電灯の結び目だが、それを揺れる電灯の影で彼が気が付くと言う見せ方が上手い。ホールデンが暴いたドイツ側スパイ(ピーター・グレイブス)に音が鳴るものつけて外に放り出すことでドイツ兵の注目を集め、その合間にホールデンが殺されかけ隠れていた将校ドン・テイラーを連れて、見事に脱走するといストーリーもgood。最初の脱走で、一部重なる逃走経路を見せていたことや、二人が何かと対立していたことが、予定調和に意外性もまぶしたかたちになっており、ラストシーンのために良く効いていた。
原作ドナルド・ビーバン、エドマンド・トルチンスキー、脚本ビリー・ワイルダー、
エドウィン・ブラム、撮影アーネスト・ラズロ、音楽フランツ・ワックスマン。
ウィリアム・ホールデン(セフトン)、ドン・テイラー(ダンバー)、ロバート・ストラウス(アニマル)、オットー・プレミンジャー(シェルバッハ)、ピーター・グレイブス、ウィリアム・ピアソン、ハーヴィー・レンベック。
ブロードウェイの舞台が原作だと思うので、会話中心で、あまり盛り上が...
ブロードウェイの舞台が原作だと思うので、会話中心で、あまり盛り上がりが無くて、退屈な映画だった。
『大脱走』と被る場面が多いし、アクションはなく、派手な撃ち合いもない。戦車、装甲車、サイドカー等々武器も出てこない。プラモデルでキングタイガーを作っていた少年が、一回見ただけで、感動するわけがない。しかし、
音楽だけ覚えていた。
今の僕が見てもあまり面白くないのは、少年の心が少しは残っているのだろうか。
キャラクターの妙
ちょっと待って、最高に面白かったんだが…
捕虜収容所が舞台なこともあって
『大脱走』を彷彿とさせたけど、
それよりも好きだった。
キャラクターが良いのよな〜
(それが生かされてないのは落ち度あるが)
そこ見てるだけでも楽しい
もはやラストは
ショーシャンクを思わせるよね
コメディとシリアスの対比
『大脱走』と設定、雰囲気が似ていますね。大脱走が好きな方は本作も楽しめるかも、と思います。
本作は捕虜たちの日常がメイン。そして仲間内にスパイがいるのでは…という犯人探しの展開が描かれていきます。大脱走よりもコメディ寄りですが、シリアスな場面との対比がとても良かったです。
収容所の中でもワイワイ過ごす彼らを見ていると楽しくて、元気が出ました。
キャラも立っていておもしろかったです。特にアニマルとハリーは子供のようで、癒しの存在でした。そしてセフトン。最初はいけ好かない感じですが、格好いい。
ラストも上手い。そうくるか、とスッキリしました。
すごく面白い
密室でスパイが誰なのかが不明でめちゃくちゃスリリングだったのだが、あっさりバラされる。しかし、それでもスパイを突き止めるまでがまたスリリングで面白かった。アメリカ人は不自由な収容所にあっても博打を打ったり軽口を叩いたりとどこかご機嫌な暮らしをしていて、根っからの明るさを感じる。素敵な事だ。
斯くも楽しきかな捕虜収容所。 脱走できるかで賭けたり、女性収容所を...
斯くも楽しきかな捕虜収容所。
脱走できるかで賭けたり、女性収容所を覗き見したり。どんな状況となっても人間って逞しい。実際にはなかなかそうはいかないのだろうが、そこをユーモラスに描いているのが秀逸。残虐さで惹きつける現代の戦争映画とは全く違う。
裏切り者は誰?というサスペンス要素もあり、飽きさせません。古い作品ですが、大いに見る価値あり。
戦争映画は数多くあれど、捕虜収容所ものの映画は少ない・・・という...
戦争映画は数多くあれど、捕虜収容所ものの映画は少ない・・・というナレーションで始まる。そして影の薄いクッキーの目線で語られる。
最初に脱走を試みた2人が射殺されるが、その後のスパイ容疑は微々たる事件の連続。順番が違ってたらもっとスリリングだったに違いないと思いつつ、ワイルダーの意図は完全に娯楽作を目指してたのだと考えを改めた。ドイツ兵に賄賂を贈り、ネズミ競馬を仕切ったり、ひどい味の酒を売ったりと、セコく稼ぐ男セフトン(ホールデン)。悲観論者というより、捕虜生活を楽しんでるとしか思えない。そして脇を固めるキャラにハリーとアニマル(ロバート・ストラウス)。このコンビには何度も笑わせてもらった。向いにあるロシア女の収容所に関するネタが多いのだが、望遠鏡では飽き足らず、白線を引きながら堂々と覗きに行くシーンは爆笑モノ。プレ『大脱走』を想像してたのだが、アメリカ人の陽気な部分を見せてもらった感じ。日本人捕虜だとこうもいかなかったろう・・・
スパイ容疑も皆からリンチを受けてひと段落ついた頃、チェスの駒を使った通信に気付いたセフトン。その頃、新たな2人の入所者があったが、その一人ダンパー(テイラー)が列車を爆破したことを仲間に語り、それが密告され拷問を受ける。最後はダンパーを救出するというストーリー展開になるのだ。
真犯人は警備係でもあったプライス(ピーター・グレイブス)。『スパイ大作戦』のジム・フェルプスの若かりし頃だ。皆で殺したらナチに報復されるだろうから、復讐のやり方をずっと一人で考えてたセフトン。ダンパーを救出すれば金持ちの母親から報奨金をもらえると踏んだ彼は、自ら救出&脱走を志願するのだ。そして、プライスを陽動作戦に使い、ドイツの哨兵に殺させる。「真珠湾攻撃はいつだった?」という質問が渋い。そりゃドイツ時間だ!てな感じで。
音楽には“When Johnny Comes Marching Home”(「ジョニーの凱旋」)がテーマ曲のように使われていたが、それよりも米兵たちが“ジングルベル”をアカペラで歌うところが一番気持ちよかった。
ブラックユーモアあふれる収容所生活
総合:70点
ストーリー: 70
キャスト: 75
演出: 75
ビジュアル: 50
音楽: 70
捕虜収容所の話だしいきなり人が死んだりもするし深刻な話のはずである。ところが数々の喜劇を制作したビリー・ワイルダー監督の作風がここでも生きているのか、あちらこちらに散りばめられた笑いの場面がやたらと可笑しい。ドイツ軍兵士も司令官までも冗談を言いながら捕虜と話をするし、シラミ駆除のために風呂場前で行列を作るソ連の女を覗き見するためだけにアメリカ軍兵士も望遠鏡の前で行列を作るし(ソ連の女が婆さんになるまえにこちらにも回せとヤジが飛ぶ)、浮気で出来た子供のことをわざわざ収容所まで手紙で報告する妻の言い訳がまたなんとも傑作で(手紙なんて普通収容所まで届くはずもない)、下手な喜劇映画よりもよほど笑える。
後半は雰囲気が変わってようやく真面目な脱走劇になってくるのであるが、それでも捕虜収容所の生活や脱走についての現実度を追及した映画ではない。最後の場面は実はまだ始まりに過ぎないとも思う。しかし面白おかしくも最後はそれなりに物語に一区切りをつける娯楽映画としてまとめている。
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