劇場公開日 1954年2月23日

「ブラックユーモアあふれる収容所生活」第十七捕虜収容所 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ブラックユーモアあふれる収容所生活

2013年3月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

笑える

楽しい

総合:70点
ストーリー: 70
キャスト: 75
演出: 75
ビジュアル: 50
音楽: 70

 捕虜収容所の話だしいきなり人が死んだりもするし深刻な話のはずである。ところが数々の喜劇を制作したビリー・ワイルダー監督の作風がここでも生きているのか、あちらこちらに散りばめられた笑いの場面がやたらと可笑しい。ドイツ軍兵士も司令官までも冗談を言いながら捕虜と話をするし、シラミ駆除のために風呂場前で行列を作るソ連の女を覗き見するためだけにアメリカ軍兵士も望遠鏡の前で行列を作るし(ソ連の女が婆さんになるまえにこちらにも回せとヤジが飛ぶ)、浮気で出来た子供のことをわざわざ収容所まで手紙で報告する妻の言い訳がまたなんとも傑作で(手紙なんて普通収容所まで届くはずもない)、下手な喜劇映画よりもよほど笑える。
 後半は雰囲気が変わってようやく真面目な脱走劇になってくるのであるが、それでも捕虜収容所の生活や脱走についての現実度を追及した映画ではない。最後の場面は実はまだ始まりに過ぎないとも思う。しかし面白おかしくも最後はそれなりに物語に一区切りをつける娯楽映画としてまとめている。

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Cape God