ロゼッタ
劇場公開日:2000年4月8日
解説
ベルギーの映画作家リュック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ兄弟が、どん底の生活から抜け出そうともがく少女の日常を手持ちカメラによるリアルな映像で描き、カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールと主演女優賞を受賞した人間ドラマ。酒びたりの母親とキャンプ場のトレーラーハウスで暮らす少女ロゼッタは、ある日突然、何の理由もなく工場での仕事をクビになってしまい、新しい仕事を探しはじめるのだが……。
1999年製作/93分/ベルギー・フランス合作
原題:Rosetta
配給:ビターズ・エンド
スタッフ・キャスト
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2022年1月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ー 1999年のカンヌ国際映画祭でパルムドールと主演女優賞をロゼッタを演じた若きエミリー・ドゥケンヌが受賞した作品。(資料より)
エミリー・ドゥケンヌは、2017年の「天国でまた会おう」で劇場で再会し、感慨に耽ったモノである。-
■トレーラーハウスでアル中の母親と暮らすロゼッタは、酒に溺れ、家に男を連れ込む母親と喧嘩が絶えない毎日。そんなある日、勤め先の工場を突然解雇されてしまった彼女は、ワッフルスタンドで新入りの店員・リケと知り合い、そのスタンドで働き始めるが…。
・ロゼッタは訳なく仕事を解雇され、母を養うために、健気に仕事探しをするが、ナカナカ安定した職に就けない。1999年と言えば、リーマンショックの影響が欧州では続いていたのであろうか・・。
・ロゼッタを演じた若きエミリー・ドゥケンヌは、今作では常に愛想なく、笑顔が無い。それは彼女の苛立ち、焦燥感を示している。
そして、時折彼女を襲う下腹部の痛み。
・彼女はそんな中で、ワッフルの仕事を斡旋してくれたリケの行為を裏切る行為をし、リケの店を自らのモノとする。
<リケにバイクで糾弾されながら、母親と住むトレーラーハウスに、燃料ボンベを運ぶロゼッタ。
けれど、良心の呵責に堪えかねて、泣き崩れるロゼッタの姿。
カンヌ国際映画祭の嗜好(分かり易い所で言えば、「わたしは、ダニエル・ブレイク」「万引き家族」「パラサイト 半地下の家族」と言う作品が、パルムドールを獲得したように。)
・・格差社会を描いた作品を高く評価する傾向の先駆となった作品の一つである。>
2021年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
失業、職探し、キャンプ場でのトレーラーハウス、アル中でセックス好きの母親。それでも生活していかねばならないロゼッタ。時折謎の腹痛も起こり、お腹をさするためのバイブレータが離せない。キャンプ場のはずれにある沼地では禁止されているマス釣りの仕掛をするのが日課となっている。
ようやく男友達のリケの紹介でワッフル屋の仕事を見つけるが、社長の息子の気まぐれで3日でほされてしまう。このリケも友達がなさそうな雰囲気で、彼女に対して優しく接するが、性衝動も抑えきれない。ドラムを叩いているのだが、録音したわけのわからないドラムだけの音楽を聞かせたりする。
失業問題も深刻なのであろう。仕事のためなら恥も外聞もない。必死に店主にすがる光景が痛々しい。まさしく都会の中のサバイバルなのだ。そして、リケの親切心をも踏みにじる行動に出るロゼッタ。まずは沼地で溺れるリケを一瞬見捨てようとする。それでも彼女に対して親切にするリケ。自分のワッフルを売って、売上の一部を霞め取っている行動を社長にチクるのだった。その行動を反省し、自己嫌悪になったのだろうか、荒んだ心もやがては落ちつきを見せるのだが・・・
ラストは悲惨な結末になるか、中途半端な終わり方をするのか、ハッピーエンドは考えられない展開だ。社会の底辺を支えている貧困層の切実な思いが伝わってきたり、一人が職を得れば一人が職を失うといった現実を痛感。極端ではあるが、忘れられない映画になりそうだ。
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仕事を見つけ、友達ができて、その中に私を見つけて。これがまっとうな生活であり、失敗しない様にと自分自身に言い聞かせて眠りにつくロゼッタを抱きしめてあげたくなった。
バイクの音が耳から離れない。うざったいのに、ほっとする。
小さな仕事にも食らいつこうという姿勢、職を得る為に好意を示してくれた人に対する考えられない行動、ドブの水溜りから抜け出すことができない日常にこの娘が選んだ最後の選択にさらなる予感を感じさせるラストまで一寸たりとも目が離せない、ロゼッタの嗚咽に貧困の恐ろしさに画面が揺れる、正真正銘の大傑作ですね。