偽りの姉弟が生き抜く道はあるのか……ダルデンヌ兄弟の“願い”が込められた「トリとロキタ」ショート予告
2023年1月20日 18:00
ジャン=ピエール・ダルデンヌ&リュック・ダルデンヌ監督の最新作「トリとロキタ」のショート予告と場面写真が、このほど披露された。
パルムドールと主演女優賞を受賞した「ロゼッタ」以降、全作品がカンヌのコンペに出品され、世界中で90賞以上を獲得しているダルデンヌ兄弟。新作「トリとロキタ」では、少年トリと少女ロキタ、アフリカからベルギーのリエージュへ流れ着いた偽りの姉弟の姿を描き出した。原点回帰ともいえる「BGMなし」「演技未経験の主演俳優」「無駄のない作劇、演出、完璧なカメラワーク」が、シンプルなストーリーにとてつもない強度を与え、第75回カンヌ国際映画祭では75周年記念大賞を受賞している。
ショート予告では、トリとロキタの2人がドラッグの運び屋としてお金を稼ぐ姿や、ロキタが目隠しをして連れていかれる姿が映し出されている。「ビザがあれば働けるのに」と嘆くロキタ、「僕が守る」と寄り添うトリ。「2人に生き抜く道はあるのだろうか」というナレーションとともに、互いを思いやる絆が引き裂かれていくような、スリリングな展開を想像させる仕上がりとなっている。
これまでも「イゴールの約束」「ロゼッタ」「息子のまなざし」「少年と自転車」など、少年少女と社会との関わりを丁寧な作劇と演出で描き出してきたダルデンヌ兄弟。本作ではトリとロキタの互いを思いやる揺るぎない友情と、2人を取り巻く容赦ない現実を絶妙なバランスで表現している。
ダルデンヌ兄弟は本作の製作にあたり「このふたりの若い亡命者とその揺るぎない友情に深い共感を覚えた観客が、映画を見終えた後で、私たちの社会に蔓延する不正義に反旗を翻す気持ちになってくれたら。それが、私たちの願いです」とコメントしている。
「トリとロキタ」は、3月31日からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、渋谷シネクイントほか全国順次公開。