戦場のメリークリスマスのレビュー・感想・評価
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お気に入りのギャグを何度も使いたがるオヤジ
戦場と言いながらバトルシーンは無く、裏側の兵士や捕虜のみを描写。男しか出てこない。
たけしのコメディかと思いきや割とまじめな作品のよう。
弾は飛び交わないが、心理描写に重きを置いており、兵士という立場上の価値観、そこに愛や友情が交錯する様を描いている。
立場上の価値観は本来フェイクなもので、矛盾の中に思考を置かなければならない環境下の彼らの心情を鮮烈に描写している作品だと言える。
気軽に観るのも悪くはなさそうだが、面白いかは不明である。
良い点
・古い作品だが価値観は新しい
・犯人であろうがなかろうが、そのレッテルを貼られたものが裁かれればよい事
悪い点
・何と言っているか分からない部分も
・回想が異様に長い
その他
・BL
・ツンデレ
・まさかの作曲者
これは確かに、大島渚監督の代表作品と深く納得させられる一作
『愛のコリーダ』(1976)など、最近デジタル修復された大島渚監督作品を劇場で鑑賞できる機会があって、嬉しい限りなのですが、さすが名作だけになかなか席が確保できず何度かの挑戦でようやく鑑賞できました。
誰もが知る坂本龍一の旋律、戦争という極限状態における、錯綜する男達の関係性という大島監督のテーマ、そして(ビート)たけしをはじめとした俳優達の神がかった演技によって、確かにこの作品は大島渚監督の代表作であるだけでなく、映画史に残る作品であることを、現代の観客の目線でも深く納得させられました。
階級と民族性、管理する側とされる側、といった重層的な関係性が織り込まれているのに、作品の上映時間そのものは現代の大作映画と比較するとコンパクトで、それだけにローレンス(トム・コンティ)だけでなくほとんどの登場人物の背景は大胆に省略されていて(日本側の軍人は名字の漢字すら分からない)、「今ここ」の関係、接触に全てが凝縮されています。
北野武は本作によって映画俳優として注目を集め、その後のキャリアに繋がっていったのですが、ハラ軍曹という、残虐かつ冷淡だが、どこか愛嬌と無邪気さがある、という複雑な人物像を見事に演じていて、彼の映画人としての特性を見出した大島監督の慧眼には改めて驚かされました。
デジタルリマスターによって映像の色彩は極めて鮮やかなんですが、たけしと坂本龍一が早口で喋ったときに何を言っているのか分からないところが、『七人の侍』(1954)の三船敏郎を連想して少し笑ってしまいました。もしかしたら公開当時から聞き取りにくかったとか!?
トンチキ
なかなかトンチキな映画だった。クセになる。
この音楽あってこそなところある。
急にイギリスになって寝たかと思った。
ハラ軍曹の無邪気だが決定的に日本的な有様が哀しい。
つぶらだ。
タケシの英語がけっこううまい。
著名人揃い踏みの大BL大会ってことで?
封切り時に見た際は、極限時の人間のあり方とか戦場にかける橋との対比など色々考え込んだが、改めて見ると美形のアーチストを集めていささか難解かつ耽美に作ることで、愛のコリーダに続く2匹目のドジョウを狙ったのかなと、大島渚の目論見が透けて見える気がする。歳とってこっちがひねくれただけかもしれんが。
結局セリアズはノンケだが仲間を助けるために一肌脱いだのか。しかし共に観た人は弟の思い出は単に肉親を守らなかった後悔ではなく恋慕の感性を表しているのではないか、つまりヨノイと同類なのではないかと言う。確かにローレンスの思い出話には定番通り女性が出てくるのに彼には一切無い。うーんやはり難解じゃ。
昔も今も日本人は、 ヒステリックな人種になってしまったものだ。
映画の開幕に流れる、
イントロとラストの主題歌が、
その様に警鐘を鳴らしている様に聞こえた。
(⊃✖ 〰 ✖)⊃
松竹ヌーヴェルヴァーグを生み、
差別や犯罪など、社会の歪みと闘い続けた映画監督大島渚の最大のヒット作「戦場のメリークリスマス」(83)
大島渚監督作品が2023年に国立機関に収蔵される予定のため、
最後の大規模ロードショー公開として企画された。
ボーイズクラブ
誰も決めず責任を取らず外からのインプットを断ち、集団で狂っていく日本人(と敢えて言う)を外から描いているような日本映画、今見ても鮮烈だった。当時見た人は、戦争の直接間接の体験や空気感をより知っていたはずで、その上でどう受け止めたかもあわせて知りたくなった。
特殊な環境であっても、人はなぜか人に惹かれることも分かりやすく描かれており、説得力があった。女性はゼロ人、エピソードでしか出てこない世界に徹して成功している。そういう世界があり、みな知っているということだ。
この映画を強く薦めてくれた人が、組織の中でたった1人でも正しいと思うことを貫く人で、観た後に納得した。薦められてから観るまでに3年以上かかっている。重い作品の予兆は見えていたのだという言い訳。
責任とは
4K化(上映は2K)でたぶん十数年ぶりに観賞。ストーリーも台詞もかなり覚えていて自分でも驚いたが、鮮明な映像に加え、画面構成もセットや衣装も全く古びておらず、懐かしいというよりとても新鮮に感じた。(音声(台詞)の方は一部が若干浮いているように聞こえるのが気になった。軍事法廷の英語のアフレコっぽいところとか)
過去の自分の印象はセリアズと弟の物語にフォーカスしていたが、今回はたけし扮するハラ軍曹への悲哀を強く感じた。表層的には中間管理職のそれに近いが、その結果が重い。
彼が戦犯となったのは、劇中の出来事だけで考えれば、デヨンの自死や強制整列させた傷病兵の死、セリアズの懲罰死などの捕虜虐待に対して、上官のヨノイ大尉と共に現場管理者として責任をとらされたのかと想像する。
彼には彼なりの世界観、秩序意識、任務に対する責任感があっただろう。それは国際的な規範からは逸脱していたかもしれないが、当時の彼に他の選択肢が、より正しくはそれを知る機会があったのか。ラストで行く末を悟りながらも、ローレンスにこぼす「どうして自分だけが」との感慨には無力感が込もっている。
今は戦争という状況ではないが、選択の余地なく役割を果たすことを求められ、その結果責任を甘受しなければならないということについて、かつて本作を観たときには感じなかった切迫感を覚える。それは、社会での自分の立場が変わったからか、世の中の動いている方向ゆえだろうか。
実際には(戦時の兵士と違って)そこから離れるという選択肢もあるのだろうが、いざというときに自分は腹を決められるだろうか。
追伸:「ペルシャン・レッスン」の感想を書いたとき、教え子のSS士官に全く感情移入しなかったのだが、ハラと同じ立場だと思い至って、自分のバイアスに気づかされた。
Let's Dance
幻の出演者ビートきよしさんトークショー付き上映へ、行ってきました。
ギャラだけ貰って帰ってきたらしいです(笑)
きよしさんも言ってたけど、2、3回観たけど、よく分からない映画だと(笑)
デヴィッド・ボウイは、すごく気さくでカッコ良く、休憩中みんなの前で、ギターを弾いて歌ってくれたそうです。
デヴィッド・ボウイと坂本龍一さんは、目が似てますよね?
坂本さん化粧してる?
たぶん、わざと似せてる?
大筋は分かったけど、考察いりますね(笑)
『オッペンハイマー』に出演するトム・コンティも出てて、日本語しゃべってますが、この映画の出演も関係してる?
坂本さんが作ったテーマ曲も、印象的で素晴らしいです♪
もう二度と(映画館で)見られないと聞いたので。
今年40本目(合計693本目/今月(2023年2月度)6本目)。
どうも版権上の問題があるようで(よほどの事情があるのでない限り)映画館で見られるのはこれが最後(4Kリマスター版も含め)というところです。
当時の日本軍(第二次世界大戦)に関することなど、やや日本史よりの知識を要求してくる部分はありますが、中学歴史で習う範囲かな…と思います。
問題は4Kリマスター版だということで、それは画像がきれいになったことを意味しますが、音声についてはそのままなので、何を言いたいかわからない部分がいくつかあります(5日時点では、一般版「戦場のメリークリスマス」はプライム会員なら無料で見られますので、どうしてもわからない部分はそこで補うしかない)。
この当時の日本と外国の文化の違い、交流の在り方という点が含まれているのは良かったです。
ややBL(ボーイズラブ)的な要素があるかな、とは思いましたが、この当時の事情から男性「しか」原則として戦場にはいなかったというのはこれも事実で、ここは「極端にわたる範囲でない限り」、史実としてもそれはある程度推知できることであり、そこは減点なしかな…という気がします。
アマゾンプライム会員さんであれば一般版(4Kリマスター版でないもの)は見ることができるので、あうあわないの判断には使えますので参考にどうぞ。
やや若干気になった点もあったものの、極端に引くことも難しいので、減点なしにしています(上述通り、版権上の関係で「最後の上映ですよ」ということで見に行けたことの満足感のほうが大きい)。
私が生まれる前の映画、初めて見たけど最高でした。
2023年の再上映で軽い気持ちで見てみたところ今まで見た映画で一番好きな作品になりました。
ハマりすぎて映画館で2回、サブスクでも何度も見ました。
湿度の高い南国のまるで世の中から切り離されたような異様な場所は一つの国のようでそこでしか成り立たない秩序がある。そこいる人たちはみんな育った環境も受けてきた教育も理念も立場も全然違う。でもみんな人間。一人一人の人間。
映像、音楽、ストーリー、キャラクター、キャスト全てが最高で奇跡のような映画だと思います。映像の美しさ、色彩の使い方がたまらなく好きで、Merry Christmas Mr.Lawrenceの文字の出し方がかっこよすぎる。音楽の使い方も斬新で刺さるし独特なセットも素晴らしい、衣装もとても好きです。キャストも他はありえないハマり役ばかり。何をとっても最高です。
「この映画、よくわからない」って感想が多くて正直びっくりしました。でも、じゃあ自分が完全にわかってるのかと聞かれたらわかってないとは思います。ただ、人の感情は矛盾を孕んでいて白黒はっきりしてないと思うのでこれが正しい、間違ってるって話ではなくて、登場人物の気持ちを考えた時にいろんなことを思うその全てが正解なんだと思ってます。実際私も見るたびにいろんな視点や考えが出てきます。それが面白いです。そして苦しいです。大好きです。
外されている、常に外されているという鑑賞。 俯瞰的な観点がない。支...
外されている、常に外されているという鑑賞。
俯瞰的な観点がない。支離滅裂と言えばそうだが、どちらかといえば、主観的な部分というかある特定のことが、ものすごくクローズアップされて、それが連なっているという印象。本人たちはわかっていることが省略されて進んでいるので、事態は進展しているように見えるが、一方のこちらは何が何だか外されている気分。
稀有な傑作を観る最後のチャンスなのか
新宿武蔵野館にて4K修復版を鑑賞。日本で映画館で上映されるのは版権の問題で最後のチャンスとかそうでないとか。
昔から何度か鑑賞したけれど、映画館では初めて。戦争という異常な状況の中での狂気や剥き出しの人間性や愛みたいなことことが、胸に突き刺さる。
大島渚監督作品について私が意見できることなど何もない。傑作をぜひスクリーンで。
凡人の私には理解できなかった
ラストシーンはよかったと思う。
あとは、なんだろう…
集団の狂気とか、戦争の悲惨さとかしか感じられず(汗)
きな臭い時代になってきている今だから、4Kリマスターで公開したのかな?
理解はできないが、今もなお新鮮な映画体験
4Kレストア版で初鑑賞
4Kで映像が綺麗になったものの、音声がところどころ聞きにくい。とはいえ、はじめは聞き苦しいカタコトの英語も慣れてくるとそれが味になってきた。
日本と外国の文化の違い、お互いのリスペクトとすれ違いが、交錯する様が現代にみても面白い。演出も印象的なものが多く、まさに異色というのがふさわしい。
ただ、坂本龍一の音楽もあいまって、神秘的な雰囲気が漂い、理解が追いつかなかったり、精神世界のセリフが多く、戸惑いはする。
だからこそ、何度見ても気づきがある作品なのかもしれない。
そしてラストエンペラーと続けみたが、坂本龍一は俳優としても、魅了される顔である。
2023年劇場鑑賞13本目
疑いなく傑作!
前に観たことはあるけど、4K修復版が上映されてると知りこの気を逃さず鑑賞しました。
全体的に美しさと哀しさが入り混じり、切ない映画です。
人におすすめする面白さではないんだけど、観た後も記憶に残る映画で私は好きです。
この作品にかぎらないが
自分がつまらないと思った、理解できないと思った、そういう場合自分の感性がきわめて貧弱であることに思い至らない愚人のいかに多いことか。
あのキスシーンの力はなんど見てもすごい。いまの日本映画にこんな作品を作れるか?
鑑賞側に解釈を委ねる今どきでは作れない映画
日本軍の狂気に満ちた作品なのかと思いきや、途中から雲行きが変わる。
描いているものは終始捕虜との関係だが、そこに人間的な感情が挟まり始めたように感じた。
つまり、相手を捕虜ではなく人間だと思い始めたということ。
長くを共にすると友情とは違う感情も芽生える、と序盤にローレンスが言っていたが、果たしてそういった感情だったのか…
ヨノイ大尉、ハラ軍曹、ローレンス、レリアスそれぞれの心中を想像しながら観なければ訳の分からない映画になってしまいそうな、ファスト映画なんかが流行ってしまう現代では無理な映画だなと感じた。
賛否はあるにせよ、私はこういう映画が今の時代にも作られてほしい。
ヨノイの台詞に字幕を
初めて観ました。
高校生の頃に観た「御法度」も刺激的だったのだけど、自分が一歳の時に、もう世界観と言うかキャラの構図は出来上がってたのかと驚きました。
大島渚って凄いなと!
どなたかのレビューで低俗なBLとして見るなと
描かれてましたが、
やはりそれはBLに対する嫌悪から来るイメージで、
充分にBLだと僕は思いました。
昨今の盛り上がってるBLをすでに40年前にやってた
と言う先見の明、それが僕にはすごい事に見えました。
BLをどう捉えるかにもよるしBLの中にも様々な
ジャンルがあると思うのだけど、
男が男に惚れる。それがBLだと思うので、
2人の中に流れる空気。
ヨノイのウブな童貞感。
妖艶なボウイ。
BLとして素晴らしいと思いました。
ただテーマは反戦だと思うので、
そちらの観点から観ると何やってんだ?と言う感じは
ありました。
坂本龍一の日本語はほぼほぼ聞き取れず、
日本語にも字幕を付けて欲しかった。
あと1か月で2022年のクリスマスです。
メリークリスマス、ミスターローレンス。
ホモは知的なんだよ。
タイトルは大島渚監督のお言葉。(ボキャブラ天国より)
氏は遺作でも衆道を取り扱っておられましたが、肉体的、精神的な恋愛や性愛というよりは
性を超越した、人間愛的な域まで達しておられたような気がしますね。以上、タイトル回収。
さて、、
なんと気高く、混沌として、美しいシナリオと、美しい画と、美しい音楽と、美しい俳優が、
月光のブルーライトの下に集ったのであろう。
最高の映画作品ですね。
東洋と西洋、肉体と精神、罪と罰、生と死、愛と憎、正気と狂気、正常と異常、天使と悪魔、神と仏、仏と鬼、神と神、人と人、文化と文化、
様々な形で、対になる価値観の境界線がゆらぎ、感情が飛び越えようとするのを、理性が押しとどめようとする。
そして抑制しきれず、暴発し、溢れる。
伝い、零れる。
土と砂が、それを受け止める。
極限状態の閉じたコミュニティは、まるで小さな日本であるし、
誰を誰になぞらえるかで、意味も見え方も大きく変わってくる。
しかし変わらないのは、誰もが罪がないにも関わらず、裁かれる罪人であるということ。
それは人間に原罪があるからなのか。
彼らはなにを信じ、なにと戦い、なにに踊らされ、なにに裏切られ、なにに裁かれるのか。
かつてこの国を支配していた偽りの神と
この世界と人間をつくった創造神がいて、
(その神は時間と空間を渡る際に、仏と呼ばれたりもしたけれど、)
神の子である人間たちの
その戦争責任も含め、この物語は、様々な「?」を投げかけてくる。
われら、人間とはなにか。なんなのか。
これこそが、この映画のテーマに他ならない。
極限状態であぶりだされる、人間そのものの姿。
人間と人間は混じりあい、わかりあい、許しあうことができるのか。
誰もが正しく、誰もが間違っている。
敗戦した世界線で生きている、現代の我々の価値観からすれば、間違ったことも
戦勝した世界線では、正しいのかもしれないし
まして、世界の両端からやってきた、異なる種族の異なる価値観同士だもの、
互いを正しく理解することは不可能だし、
また、間違ったすれ違いでも、きっとなにかを伝達してくれる。
愛という言葉の概念すら(ましてや同性愛である)、文化によって違うこの世界において
彼が与えたキスと、彼が受けたキスですら、その意味は違っていた はずなのに、
国も人種も価値観も文化も飛び越えて、彼らはわかりあい、混ざり合うことができた。
正しさなんてなくて、誰もが同じだけ間違っている、同等の存在なのだから、
勘違いでも、夢でも、幻想でも構わない。思い込みで構わない。
それぞれの神がいて、それぞれの正義があって、それぞれの正しさを信仰して、生きてゆくしかない。
人を愛し、手をつなごう。酒を飲み、歌を歌い、花を手向け、罪を償い、魂を弔い、神の生誕を祝おう。
そして、人間らしく、死んでゆこう。
その死の瞬間までに、「救い」に辿り着けたなら、なんと幸せなことだろう。
この映画のあらゆる欠片に、少しでも美しさを感じたのなら、きっと、あなたも人間なのでしょう。
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