目黒シネマさんにて『~特集 岩井俊二 四つの心象風景~』(6/29~7/5)と題した特集上映に監督初期『Love Letter 4Kリマスター』『PiCNiC』『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』4作品上映。
◆『スワロウテイル』(1996年/148分)
海外ではクエンティン・タランティーノ監督はじめインディーズ映画が活況を呈するなか、日本でも満を持して気鋭の若手クリエイターとして岩井俊二監督が一般的知名度を獲得した長編映画第2弾。
公開と同時にリリースしたYEN TOWN BAND名義のアルバム『MONTAGE』はオリコン1位を獲得、映画と音楽の両雄でブームを巻き起こした90代カルチャーを代表する作品ですね。
公開はバブル崩壊後ですが、「円」が世界で一番強い日本を舞台に、移民問題や拝金主義への警鐘をテーマに、架空の街「円都(イェン・タウン)」で一攫千金を求める人々を魅力的に描いています。
岩井俊二監督、カメラマン篠田昇氏の織り成す映像美はさらに深化、活力に満ちた「円都」を活写しておりますが、まだまだ開発中のお台場や浦安、新子安などの荒涼としたロケ地に架空の街「円都」に再現したアートディレクター種田陽平氏の力量によるところが大きいですね。特に後半の阿片街が黒澤明監督『天国と地獄』の阿片街にも匹敵する力の入れようです。
CHARA氏、伊藤歩氏、三上博史氏、江口洋介氏、山口智子氏、渡部篤郎氏、洞口依子氏と豪華キャスト陣のなか、塩見三省氏、渡辺哲氏、光石研氏、桃井かおり氏、ミッキー・カーチス氏などベテラン勢の深みのある演技に、アンディ・ホイ氏、ケント・フリック氏などの外国人キャストが本作の多国籍感に彩りを添えていますね。