天国の口、終りの楽園。
劇場公開日:2002年8月10日
解説
監督は「ハリー・ポッター」第3作「アズカバンの囚人」の監督に決まったアルフォンソ・キュアロン。「リトル・プリンセス」(95)、「大いなる遺産」(97)とハリウッドで活躍した後、10年振りに故国メキシコで撮影、メキシコで大ヒット。
幼なじみの17歳、フリオとテノッチは、夏休みに美しい人妻ルイサを誘い、3人で“天国の口”という名の海岸をめざして旅に出る。その道中で、それぞれの想いが現れていく。
2001年製作/106分/R15+/メキシコ
原題:Y Tu Mama Tambien
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
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十何年前に一度観ただけなのに、ずっと覚えていて今でもふとしたときに様々なシーンが脳裏に蘇ってしまう、個人的には稀有な映画。
ロードムービーなので、テーマとして病気や別離を扱っているとは言えストーリーとしては軽め。
それでもしょっちゅう思い出してしまうのは、素敵な年上の女性に心奪われたり、憧れの人と結ばれたり、みんなでバカ騒ぎしたり、親友だったのにいつのまにか疎遠になってしまったり、そういったひとつひとつのシーンがすごく色鮮やかで、主演2人のハイ&ローテンションで生き生きと演じられていたからだと思う。ラテンムービーを代表する俳優に成長したのも納得。
てか、当時はよくある青春映画かと思ってなんとなく観たのだけど、実はアルフォンソキュアロンだったんだねえ。道理で最高なわけだ。
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以前から気になっていたんですけど、
先にドリーマーズを観ていて、評判きくと似た感じなんだろうなと思ってたんですけど、
いやいやこれ全く違うじゃないかい!
原題がたしか「ママともしたよ」的なタイトルだけど、
そう思うと結構日本的だな、と。
昭和の日本を思い出すようなね。
こんな感じで友情とか人の終わりを描くんだな、と思って
なんとなく日本人の感覚に近い気がしたんだよね。
映画全体として熱い感じがずっとしてて人間の本能とか内側の部分があったのに、
時が経ったラストシーン、物凄く冷たかった。もう外側の部分しかそこにはなかったよ~
『ROMA』観て、キュアロン監督渋い人だなあなんて思っていたんだけど、
本作で監督が描きたかったことってこういうところなんだ!と驚いた。
人のこころの片隅をくすぐるような、
過去のにがいような甘いようなそんな経験を掘り出すような
まさに映画のラストシーンがそれを体現していましたが…。
2013年10月16日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
主演は、「モーターサイクル・ダイアリーズ」のガエル・ガルシア・ベルナルと「フリーダ」にちょこっと出ていたディエゴ・ルナ。監督は、「大いなる遺産」や「ハリポタ」シリーズのなんだったかな…とパリ、ジュテームのニック・ノルティが出ていたあの作品などを手掛けたアルフォンソ・キュアロン。
というワケで監督、キャストがメキシコ人のメキシコ映画です。
ちなみに脚本はアルフォンソ・キュアロンと弟のカルロス・キュアロンです。
撮影のエマニュエル・ルベツキは私の好きな作品だと「赤い薔薇ソースの伝説」「スリーピー・ホロウ」そして「アトランティスのこころ」の撮影も手がけている方。手持ち撮影を多用しているようですね...やはりメキシコ出身です。
映画の原題も当然スペイン語で
Y tu mamá también
「お前のママとも同じだよ」っぽい意味。ラスト近くになってフリオの口からこのセリフが出てきます。
真相を理解できた時、おいおい...マジで?ってなります。
この映画、とりたててストーリーといったストーリーはないのです。2人の若者と人妻がある場所を目指して旅に出るセックス&ドラッグに溢れるひと夏のお話です。
よこしまな想像はしてしまいますよね、この設定ですから...若者2人に人妻との旅...途中で目眩くシーンが盛り込まれてて、なーんてね。
車中から眺める流れゆく一瞬の風景、ドライブ中に出てくる馬鹿げた会話もこれまた刹那的。
メキシコの赤土でホコリっぽい空気を通してみる景色、時々すべての音が消されフリオとテノッチの心情、その時の政治で動くスペインの日常の様子を語るナレーションが淡々とした時の流れを際立たせています。
仔犬のようにふざけ合う若者2人と若者に体を許しても寂しさを拭いきれない人妻ルイサ…気が強くて若者たちを支配しながらも実はその心は脆さと危うさが共存しています。
最後はみんな違う方向に向かって歩き始めることになるわけだけれど、きっと“天国の口”を探した夏はほろ苦く甘く、それぞれの中に残ると思います。
凝ったストーリーはなくても特有の雰囲気とメキシコシティから海辺までの景色、若者の刹那的で自堕落でカオス的日々を切り取ることでノスタルジックな気分にさせてくれる素敵なロード・ムービーです。
中でも私がいいなと思ったシーンは、フリオとテノッチが彼女達を空港に送り届けた日の描き方。
空港の帰り道、車の中では彼らのおバカな会話にバカ騒ぎ、外ではデモ行進やら死亡事故、そこに淡々とナレーションが入る…新聞記事でも読んでいるように。
地味だけどすごくよいです、こういうところ。
所々に、「お....」と何か響いてくるセリフもあります。
天国の口、終りの楽園
この邦題、かなりそそられるし、映画の持つ切なさも表現されていて納得できます。よい映画です…
日本版DVDパッケージ...”もう、会うこともない。”という宣伝コピーがありますが映画のすべてがここに表現されていると思います。
メキシコ映画だと「赤い薔薇ソースの伝説」や「アモーレス・ペロス」もよいですね。