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ー 素直に書くが、全く恥ずかしながら、今作は初鑑賞である。ー
■(多分、多くの人が知っているのだろうが、敢えて記す。)
幼い頃から、真摯で自分の幸よりは他人の幸を優先して生きて来たジョージ・ベイリー(ジェームズ・スチュワート)。
世界中を回り大学に行き建築家になる夢、愛する人と新婚旅行に行く夢、大きな立派な家に住む夢、という数々の希望を悉く様々な出来事により諦めながら、ジョージ・ベイリーは、他人の幸の為に生きて来た。
それでも、彼は愛するメアリー(ドナ・リード)と結婚し、ボロッチイ家ながら4人の可愛い子供にも恵まれて、幸せな人生を送っていた。
だが、ある日、父が経営していた小さな貧民に優しい住宅会社の社長を引き継いでいた彼であったが、彼の右腕の叔父のビリーが会社の8000弗を銀行に預けに行った時に、その金を紛失する。その金は、町の嫌われ者でジョージ・ベイリーに悉く嫌がらせをしていた町一番の金持ちのヘンリーの元に有った。
ジョージ・ベイリーは、その金が無い事で会社が潰れる事に悲観して、自分の人生に絶望し、橋の上から身投げしようとしていた。そこへ、天使を自称する奇妙な老人が現れ、彼が飛び込む前に川に飛び込む。その姿を見たジョージ・ベイリーは川に躊躇なく飛び込み老人を助ける。
だが、その後も「生まれなければよかった」と嘆くジョージに、奇妙な老人の姿をした2級天使のクレランスは彼が生まれてこなかった世界を見せるが、その世界の人達は親切心が無く、皆不幸な顔をして生きて居たのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・流石、名品と言われるだけあり大変に面白く、且つ【真なる人生の幸せとは何か】を見事なる作品構成、演出で描き出した作品であると思う。
・特に、前半から中盤で描かれるジョージ・ベイリーの半生が、2級天使クレランスが”ヨセフ”に相談した”計らい”で彼がいなかったら、という設定の中に、ジョージ・ベイリーが放り込まれるという設定と、ジョージ・ベイリーの半生の対比の演出が素晴しい。
・ジョージ・ベイリーが、【自分が生まれていなかった】町の人達の不寛容で、不幸せな姿を見て、”全てを元に戻して欲しい!”と祈ると、世界は元に戻っているのである。
そして、大喜びしたジョージ・ベイリーは、家に帰り、4人の子供達を抱きしめるのである。そこにジョージ・ベイリーの窮状を知り集まって来た彼に恩義がある町の人々が、行った事を描くシーンも、観ていると多幸感に満たされるのである。
<”情けは人の為ならず”という諺があるが、今作はそれのアメリカ版であろう。今作が、アメリカのクリスマスの際に、定番としてある時期放映されていたという事実も良く分かる逸品である。>