太陽(2005)

劇場公開日:

太陽(2005)

解説

「精神の声」「エルミタージュ幻想」などで知られるロシアの鬼才アレクサンドル・ソクーロフ監督が、「モレク神」(ヒトラー)、「牡牛座」(スターリン)に次ぐ、20世紀の権力者を描く4部作の3作目として製作した問題作。神と崇められていた昭和天皇が、終戦を期に「人間宣言」するまでの心の葛藤を描く。昭和天皇にイッセー尾形、皇后に桃井かおり、侍従長に佐野史郎が扮している。

2005年製作/110分/スイス・ロシア・イタリア・フランス合作
原題または英題:The Sun
配給:スローラーナー
劇場公開日:2006年8月5日

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映画レビュー

4.5人間、現人神、自然

2024年9月5日
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ひとりの〝人間〟が〝現人神〟として扱われる不条理。もともと天皇自身が神であるということを望んでいたわけではない。戦争の犠牲者をこれ以上増やさないため人間宣言をするに至った昭和天皇の内面の孤独と葛藤。全編を通して、監督の人間昭和天皇へのリスペクトと同情を感じた。

モヤがかかったような妖しい雰囲気、ソクーロフらしい幽冥界のような防空壕から、地上に出るとそこは戦後の焼け野原。
戦争で消失した命の記憶を消し去ることはできない。ソクーロフの戦争に対する憎しみ、哀れみの感情も込められていた。

アメリカは軍事力では日本に勝利したけれど、日本に太陽光のごとく降り注ぐ天皇の影響力を消すことはできない。〝自然〟が人間の勝敗など一切関係なく存在し続けるように、生物を愛する昭和天皇は自然の一部のようだった。

ラストが秀逸。皇后が帽子を脱ごうとして髪の毛に引っかかって取れない。それを天皇が黙って取ってあげるやりとりはとても自然で、仲の良い夫婦の日常そのものだった。

日本人はみなそれぞれの天皇論を持っている。しかし、いったんそれは脇に置いて、ソクーロフの渾身の表現を日本人が味わわずにどうする。能動的で成熟した鑑賞者としての振る舞いが重要だ。

なぜ敗戦のその日が描かれていないのか。ソクーロフが意識的に回避しているとしか思えない。日本人が描くべき課題、宿題としてバトンを渡されたように感じた。

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Raspberry

3.5あっそ

2023年5月20日
Androidアプリから投稿

タルコフスキーからソクーロフ
敗戦前後の昭和天皇の日常
側近のうやうやしい態度やマッカーサーといまいち意思疎通出来てなさそうなところとか何故知っているんだろう 家具等も日本そうじゃない感が無い 本当によく描かれている
イッセー尾形が怪演
ソクーロフは雷鳴が好みか

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ゆう

3.5極光(オーロラ)

Fさん
2023年4月29日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

劇中で「極光(オーロラ)」のエピソードが興味深くて、オーロラは太陽からの電子が地球に衝突して輝く現象だから、太陽を日の丸や天皇に見立てているのであれば、オーロラとは天皇が日本国民に及ぼす影響力を示しているのだろうと思った。

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F