アメリカン・サイコ

劇場公開日:2001年5月3日

解説・あらすじ

80年代、好景気に沸くニューヨーク。ウォール街にある証券会社のエリートとして誰もが羨む贅沢な生活を送るパトリック・ベイトマン。高級フラットに住んでデザイナーズ・スーツに身を包み、完璧な体型を維持するハンサムなヤッピー。社会的な成功をすべて手に入れたかに見えた彼だったが、物質では満たされない心の乾きを感じるようになっていた。次第に目立ち始める奇行、そしてついには殺人への衝動が抑え切れなくなり……。

2000年製作/102分/R15+/アメリカ
原題または英題:American Psycho
配給:アミューズピクチャーズ
劇場公開日:2001年5月3日

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(C)2000 BY AM PSYCHO PRODUCTION, INC.

映画レビュー

3.5中身も外見も消え失せた時に浮かび上がる“空虚な顔”

2020年4月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

怖い

知的

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岡田寛司(映画.com編集部)

4.5社会風刺サスペンス

2025年7月6日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

怖い

興奮

知的

マウントの取り合い、偽善、そういったものに飽き飽きしながら、勝ち組でありたいからエリート社会から出られもしない。だからそこでの鬱憤を自分より下の奴らにぶちまける。べイトマンはそういう弱い奴だった。
でも私たちだってそうじゃないか?世の中見渡せば、学歴やら収入やらで、自分より下を見下すことでしか存在意義を得られない大人なんかいくらでもいる。ホームレスや低賃金労働者を馬鹿にして悦に浸る下らない奴らはSNSに溢れている。
べイトマンはそういう社会の中に、共感というものを排除することで、適応しようとしたんじゃないだろうか。でも結局それができるほど強い人間でもなかった。

物知りげな探偵の登場や、ソーニャみたいな秘書の登場、ポール殺害時の斧の使用など、所々ドストエフスキーの罪と罰を下敷きにしているのは、アメリカの弱肉強食社会の狂気を描くためだろう。でも最後のセリフからわかるように、罪はあっても、罰は訪れない。

頭にあるのは己の金と名声ばかり、べイトマンが殺人を告白しても、大して気にも留めない。そういう自己中心的で、偽善的な拝金主義者たちこそ、資本主義大国アメリカのサイコパスたちではないだろうか。

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Yy

0.5原作のエッセンスを1ミリも表現できてない愚作

2025年5月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

原作小説はブレット・イーストン・エリスの衝撃作。1980年代後半の空前の好景気時代のニューヨークで、ウォール街に勤める親が金持ちのヤッピー──エリートビジネスマンの主人公が語り手の一人称小説である。仕事をしてるんだかしてないのかもよくわからないが、異常なほどブランドとトレンドにこだわり、異様に鍛えた自身の肉体さえ主人公にとってはある種のブランドに過ぎない。友人らしき人間たちともマウントの取り合いに終始し、無内容な(読者にとっては)どうでもいい会話を繰り広げる。それが夜になると一転して、主人公は夜な夜な猟奇的で残虐な凶悪殺人を繰り返す。殺すのはもっぱらホームレスや売春婦といったエリートビジネスマンである自分より下の人間だ。そのような昼間のブランドの羅列と夜の残虐殺人の描写が主人公自身の語りによって微に入り細に渡って描かれるが、異常な主人公自身の語りが後半混乱してきて、どこまでが事実でどこからが妄想や幻覚なのかも不分明になってくる。主人公の中身のない空疎で空虚な人間性は、80年代後半のいわゆるバブル景気の中身のない空疎で空虚で虚無的な時代のメタファーである。一見華やかなバブル時代の醜悪な本質を凝縮した人物が主人公のパトリック・ベイトマンというわけだ。村上春樹も「作品としての評価は完全にわかれているけれど、社会的状況資料としてこれくらい自己犠牲的にシニカルで本質的な小説はちょっとない」と述べている。

しかし映画は原作の表層をなぞるばかりで、原作の言わんとする本質に少しも迫れていない。原作の衝撃的なラストも変えられてしまった。エリスが不満を表明したのもよくわかる。映画化されると知って、どんなすごい映画になるのかと期待したが、全くの期待外れで本当にがっかりした。再映画化の動きがあるようなのでそちらに期待したい。

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バラージ

4.0情報と消費の本質的な空虚さ

2025年3月24日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

いやー、面白かった。『ファイト・クラブ』とほぼ同時期?虚栄とはこのことなり、という生活の中で支配欲が殺人の充実感と結びついちゃった。でもそれもまた虚栄の世界では正面からは受け止めてもらえないという、無間地獄のオチもよい。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』とは異なり、成り上がるという充実の機会すら与えられていない(なぜなら生まれたときから“上がり”だから)人(たち)の姿。/情報と消費の空虚さ、今はもっと身も蓋もない形で現れているような。「ヤングエグゼクティブ」も死語となりにけり。

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ouosou