殺しのドレス

劇場公開日:

解説

 夫婦生活に不満を抱えるケイトは精神分析医エリオットのもとへ通っていた。そんな彼女が美術館で出会った男性との情事のあと、剃刀を手にした女性に惨殺される。現場に偶然居合わせたコールガールのリズは、警察から疑いの目を向けられ、街中で危険な目に遭いながらも、ケイトの息子ピーターと組んで真犯人を追うことに……。ニューヨークを舞台に繰り広げられる官能的なサイコ・サスペンス。

1980年製作/105分/アメリカ
原題:Dressed to Kill
劇場公開日:1981年4月4日

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映画レビュー

4.0デ・パルマ版「サイコ」‼️

2024年2月25日
スマートフォンから投稿

笑える

怖い

興奮

ブライアン・デ・パルマ監督、1980年製作のエロティック・サスペンス‼️性的フラストレーションに悩む人妻アンジー・ディッキンソンが精神病院からの帰り、エレベーター内で惨殺される。事件を目撃したコールガール、ナンシー・アレンも犯人に狙われる・・・。スタイリッシュさと下品さが混在して独特の世界観を構築している作品ですよね‼️冒頭のシャワーシーンやヒロインが途中で殺される点、犯人の行動原理など、隅々までヒッチコック監督の「サイコ」を思いっきりモチーフにしているのは明白‼️デ・パルマ監督お得意のスローモーションや長回しもメトロポリタン美術館のシーンなどでその威力を発揮してます‼️シャワーシーンからエレベーターで殺害されるまでの人妻の恐怖感の描写もホント素晴らしいです‼️ただ全編を通して粘っこすぎて疲れます‼️もうちょっとユーモアがあってもいいような気がしますね、ヒッチコック作品みたいに‼️

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活動写真愛好家

4.5なかなか面白い

2024年2月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

昔の作品だが、なかなか良い。
エロスとサスペンスの良い組み合わせ。
古典の傑作。
ナンシーアレン、かわいい。

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morihide

5.0『殺しのドレス 4Kレストア版』(初Blu-ray化)でまた観た

2023年8月6日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

初見は日本初公開の映画館(1981年、池袋)、その後何度も観ているが、本日は『殺しのドレス 4Kレストア版』(初Blu-ray化)で鑑賞。
かなり綺麗な映像になっているが、最初に映画館で観た時よりも、全体的に画調が明るくなった感じがした。

しかし、何度観ても面白い!
ブライアン・デ・パルマ監督の映像美、ピノ・ドナッジオの効果的な音楽、ラルフ・ボードの素晴らしい撮影、ジェリー・グリーンバーグに至っては「よく、こんな複雑なテンポで、こんな見事な編集ができるんだ!」という驚きの編集……とにかくスタッフが一流ぞろい。

冒頭の部屋を覗き見るカメラ移動→2人の男女→女のシャワーシーンと続く。
息子ピーターの発明部屋での母親ケイト(アンジー・ディッキンソン)との会話→ケイトがドクター・エリオット(マイケル・ケイン)の所に行ってカウンセリングを受けて、夫との夫婦生活の不満を言うが、結末を知っているので、いろいろと伏線が張られているのが分かる。
美術館でのめくるめく追いかけっこ、タクシーからの手袋での「おいで、おいで」、タクシー内でのカーセックスとデ・パルマ監督らしい描写が続いたところで、エレベーターでの殺人事件。
………と物語は続いていくが、やはりこの映画、名場面が多々あり、何度観ても面白い。
デ・パルマ監督さすがである。

やはり、デ・パルマ映画におけるスローモーション、画面分割、セリフ無しの映像だけで物語を進めるシーンなど、みどころ多数。
若干、物語が破綻しているorあの件は無視?……みたいなところもあるが、個人的にそういうのは無視!(笑)

映画本編は105分であるが、このBlu-rayは特典映像がすごくて約190分もある。
本作プロデューサーのジョージ・リットーが作品が生まれた経緯を語れば、ナンシー・アレンは女優として元妻として裏話を語り……とメイキングなどを含めて(DVD未収録の映像特典含めて)、映画製作の裏話を知ることができるのは楽しい。

本作は出会った頃からずっと大好きで、今後もリピートするブライアン・デ・パルマ監督の傑作!

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たいちぃ

5.0視線の解剖

2022年11月27日
PCから投稿

当時50歳弱だったアンジー・ディキンソンのシャワーシーンではじまります。
(ディキンソンは存命で現在(2022年)91歳です。)

不可解な絵でした。
映画がはじまると、すでに若くない女が、思いっきり扇情的にシャワーを浴びているからです。

カメラがトップへ寄ると明らかに違うぞ──なボディダブルになります。
ケイト(アンジー・ディキンソン)の裸身を、舐め回すように見せますが、ちぐはぐなボディダブルが示す通りじっさいは彼女の内なる妄想です。

ケイトは欲求不満を抱えた有閑マダムです。
満たされることのない性的飢餓が彼女に白昼夢を見せている──のがこのシャワーシーンでした。

さいしょに殺しのドレスを見たのはテレビの洋画劇場だったと思います。
殺しのドレスを「親と見る裸の気まずさ」と併せて記憶している人は多いはずです。
VODに入ってきたので30年ぶりに見ることができました。

大人になって見ると欲情したぶざまな年増をたくみに演じたディキンソンに感心します。
この映画のディキンソンにいいところはひとつもありません。
欲求不満に身悶えしながらシャワーを浴び、カウンセラーに不倫を迫り、美術館で会ったワンナイトスタンドのお伴に性病をうつされ、結婚指輪を置き忘れ、あげくに剃刀で切り刻まれます。

にもかかわらず、殺しのドレス(Dressed to Kill)の外販用ティーザー、VODのサムネ、プロモポスター、メディアの装丁にディキンソンの裸は使われていません。使われているのはすべてナンシー・アレンの下着姿です。

ディキンソンが演じたケイトは、ようするに、やりたくてしかたのないおばはんでした。かつ自身も要所で脱ぎながら、もっていくのはぜんぶナンシー・アレンです。踏んだり蹴ったりな役回りのディキンソンの根性につくづく感心したわけです。

──

改めて見ると(昔の)ブライアンデパルマは謂わば「視線の解剖」だったと思います。

わたしたちがなにかを見るとき、たんにそれを見るだけですが、デパルマの映画では、元にあった目の位置から舐めるように追って(長回して)最終的に見ようとしていた対象にたどり着きます。

視線は映画の登場人物のときもあり、観客のときもあります。
同時に見せたいときは画面分割して追いかけます。
そのような視線の解剖──なにかを見ようとしている主人公や観客のアイ・トラッキング(視線軌道)を呆れるほどの下世話さで再現する──のがデパルマです。

話は言ってみれば変態に襲われるだけの他愛ないものですが、デパルマは映画製作というものが本質的に視覚的なストーリーテリングであることを実証してみせます。

この方法論はサイコのようなものです。
世界中の映画ファンが賞賛するサイコ(1960)ですがストーリーを覚えている人はどれほどいるでしょう。
サイコは見せ方だけの映画でした。

殺しのドレスも見せ方だけの映画であり、見せ方(スタイル)だけで視覚的にストーリーテリングしてしまいます。
上品なヒッチコックタッチに下品なダリオアルジェントの俗気を足したような印象で、長回しをもてあそびながら、なんてことない話を興味津々に語ってしまうのです。

ただブライアンデパルマもやがて普通の映画監督になっていったように、こんにちではスタイル(撮り方)に腐心する監督や映画はなくなりました。デパルマ自身スプリットスクリーンなんて二度とやらないでしょう。

だからこそ久しぶりに見た殺しのドレスはどきどきするほど新鮮な映画でした。

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津次郎
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