TAKESHIS'

劇場公開日:2005年11月5日

解説・あらすじ

北野武が監督・脚本・編集・主演の4役をこなして、北野武とビートたけしの関係性を描く。テレビや映画で活躍するセレブ、ビートたけし。彼にそっくりな北野武はうれない役者で、オーディションを受けても落ちてばかりで、コンビニの店員をしていた。が、そんな北野がビートたけしと出会ったことから、たけしが演じる映画の世界へと迷い込んでいく。寺島進らたけし映画の常連が出演。05年ベネチア国際映画祭正式出品作。

2005年製作/107分/日本
配給:松竹、オフィス北野
劇場公開日:2005年11月5日

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(C)2005「TAKESHIS'」製作委員会

映画レビュー

2.5虚像の中の虫

2025年7月9日
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⚪︎作品全体
北野作品において、『その男、凶暴につき』から『キッズ・リターン』あたりまでの時期は、登場人物の感情や物語のテーマが極めて実直に描かれていたように思う。冷淡ともいえるほどそっけない演出の中に、むき出しの熱量が注がれており、それが北野武という映画作家の“核”だった。
暴力の描写もまた、飾り気のない演出と切り離せず、だからこそ、その暴力が持つ悲しみや孤独が、心に深く突き刺さった。無表情のカット、ただ歩くだけのシーン…そういった無色の積み重ねが、「暴力」という色を際立たせていたのだ。

だが、『菊次郎の夏』以降、北野作品は徐々に「芸能」という衣をまとうようになる。精神世界を演劇的に描いたり、伝統芸能とモダンダンスを融合させたりする演出が増えた。『座頭市』のタップダンスがわかりやすい例だろう。北野武自身が芸能の人であることを考えれば、自身の武器を活かした演出ともいえる。だが、それが北野作品にとって本当に必要だったのかと問われれば、疑問を感じる。

本作もまた、そうした“芸能をまとった北野作品”の一つだ。暴力という北野作品における持ち味は本作でも重要な役割を担っているが、あまりにも芸術的な装飾が施されすぎていて、その本質的な力が活かされていないように感じた。
物語自体は、芸能人・ビートたけしと、売れない俳優・北野武の二重構造を通して、「虚像」と「実像」の対比や、「理想」と「現実」のギャップを描こうとしている。その意図は明確で、スター俳優とコンビニ店員、花束とそこに巣くう虫など、対比的なモチーフが印象的だった。だが、それらのストーリーを“芸能的演出”が補完するのではなく、かえって不純物が混ざったような曖昧さを抱えていた。

とくに、美輪明宏やタップダンス集団といった演出は、それぞれがあまりにも独立した存在感を持ちすぎていて、物語の一部というよりも舞台ショーのように浮いてしまっていた。夢と現実を行き来する構成や、そこで繰り広げられる悪夢、暴力、崩壊といった主題には惹き込まれる部分もあったが、本来そこに見えるはずの“狂気の純度”が、過剰な演出によって濁ってしまっていたように感じる。

もちろん、ステージショーに長い時間を割いていることからも、北野武にとってこの作品が“芸能を通じた自己表現”であることは理解できる。だが、私が魅力を感じるのは、芸能人・ビートたけしではなく、むしろその裏にいる無名の北野武である。本作の中でも、虫が花束の中に巣くっている描写は、まさに“虚像の醜さ”を象徴していた。スターであることの虚無感、それによって蝕まれる精神の脆さを、「虫」として表現していたのだろう。

しかし、私にとってこの作品の「虫」は、「芸能」そのものだ。かつての北野作品で咲いていた暴力という“花束”は、芸能という装飾が入り込むことで、輝きを失ってしまったように思う。
『TAKESHIS’』は、芸能人・北野武の表現の到達点かもしれない。だが私は、あの乾いた暴力と、その隙間に浮かぶ人間の孤独を、飾り気なく描いていた映画人・北野武に、もう一度出会いたいと感じた。

⚪︎カメラワークとか
・ステージ上のタップダンスとかをやたら平面的に映していた。『菊次郎の夏』のコメディパートもそうだったけど、テレビのバラエティ的カメラワークだった。

⚪︎その他
・おっぱいDJは衝撃だったけど、思いつき感が強くて笑ってしまった。

・北野武、タップダンス好きすぎる。映像で見ても魅力が半減しちゃってる気がするけど…

・岸本加世子と大杉漣が良かった。岸本加世子の本気でムカつく嫌がらせ、大杉漣の食えない人物像。大杉漣が終盤で「金もらってくぞ」ってあっさり銀行の金を持って行ったのが面白かった。

・終盤のマシンガン乱射の銃撃戦は『ソナチネ』から続く伝統芸だけど、長いし蛇足感がすごい。勢揃いでクライマックスのはずなんだけど、とっちらかった安いバラエティ番組っぽさがキツい。

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すっかん

3.5けっこう面白い

2024年8月21日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

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吉泉知彦

3.0集団ドッペルゲンガー

2024年7月12日
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鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

難しい

監督と脚本は『みんな~やってるか!』『3-4x10月』『菊次郎の夏』『Dolls(ドールズ)』『監督・ばんざい!』の北野武

売れっ子芸能人のビートたけしと売れない俳優の北野武はそっくりさん

シュールレアリズム
狂気じみた演出と編集

一人二役はたけしだけでは無い
共演者の多くが何役もこなしている
違う形で何度も出てくる

六平さんにも何役もやらせてほしかったがスケジュールの都合か?

京野ことみが乳房を披露
しっかり悶える芝居は好印象

AV女優の小森未来が出演している
浜辺のロングショットで京野ことみが新体操をしているように見えるが実際は吹き替えで新体操選手の経験がある小森未来が演技披露している
小森未来はクラブのシーンで裸になりレコードの吹き替え?でオッパイをスクラッチされている

コント300キロも各所で登場
コンビニで立ち読みしたあと褌姿で謝っている
相撲のまわし姿になり巨大な芋虫でヨイトマケしている
浜辺でもやはりまわし姿で機動隊の盾を持ち射殺されている

道路にたくさんの死体が転がっていてそれを避けながらタクシーを走らせるわけだが助手席で女形メイクの早乙女太一がそれを見てニコニコしているのが印象的

久々に観たが『監督・ばんざい!』と同様に嫌いじゃない
星5や4を与えられないが星1星2の作品ではない
娯楽作品として及第点に達していると自分は判断した
レビュアーとして評価するにあたって原作リスペクトとか社会的テーマはさほど重要ではない
映画はあくまでも娯楽だ

配役
コンビニでバイトしている売れない俳優の北野武にビートたけし
大物タレントのビートたけしにビートたけし
たけしの愛人に京野ことみ
武が住むアパートの隣人のチンピラと付き合っている女に京野ことみ
貢いだカネを返せとたけしを罵る雀荘の女に岸本加世子
武が演技する前にラーメン屋のオヤジのイメージに合わないとバッサリ切るオーディションの審査員に岸本加世子
パンを大量にカゴに入れそのまま店を出ようとしたコンビニの不審な客に岸本加世子
クラブの客に岸本加世子
砂浜の女に岸本加世子
銀行の客に岸本加世子
たけしのマネージャーに大杉漣
タクシーの運転手に大杉漣
たけしの同期のタレントに寺島進
武が住むアパートの隣人のチンピラの寺島進
テレビ局の衣装部に渡辺哲
売れない俳優に渡辺哲
ラーメン屋の頑固オヤジに渡辺哲
テレビ局のディレクターに津田寛治
銀行の客に津田寛治
砂浜の学生運動家に津田寛治
スタジオの照明に森下能幸
オーディション審査員に森下能幸
銀行の客に森下能幸
砂浜の学生運動家に森下能幸
ヤクザの若に石橋保
ラーメン屋の店員に石橋保
砂浜の着流しヤクザに石橋保
銀行員に石橋保
若を慕うヤクザに國本鍾建
銀行員に國本鍾建
砂浜の着流しヤクザに國本鍾建
雀荘の客に上田耕一
オーディションの審査員に上田耕一
銀行の客に上田耕一
機動隊員に上田耕一
オーデションの助監督に芦川誠
銀行の客に芦川誠
砂浜の学生運動家に芦川誠
おかまのメイクに仁科貴
コンビニの客に仁科貴
浮浪者に仁科貴
雀荘の客に久保晶
銀行の客に久保晶
機動隊員に久保晶
雀荘の客にビートきよし
銀行の警備員にビートきよし
アパートの住人にビートきよし
クラブの司会者にビートきよし
機動隊員にビートきよし
ヤクザに高木淳也
銀行員に高木淳也
たけしの運転手に武重勉
古い雀荘の客に武重勉
オーディションの役者に武重勉
ラーメン屋の客に武重勉
銀行員に武重勉
砂浜の学生運動家に武重勉
太一のマネージャーに西沢仁太
新聞の勧誘員に西沢仁太
テレビ局のA・Pに太田浩介
オーディション審査員に太田浩介
銀行の客に太田浩介
砂浜の学生運動家に太田浩介
テレビ局のプロデューサーに木村彰吾
クラブの司会者に木村彰吾
立看板の男に木村彰吾
たけしの追っかけの女に河内浪江
銀行の店員に河内浪江
オーディションの審査員に河内浪江
金持ちに馬場彰
雀荘の店主に馬場彰
銀行の店長に馬場彰
機動隊長に馬場彰
ラーメン屋の頑固オヤジに住吉正博
たけしのマンションの管理人に住吉正博
たけしのマンションの住人にゾマホン
謎のヘッドライトの黒人にゾマホン
ラーメン屋の店員にゾマホン
砂浜の学生運動家にゾマホン
大物歌手に美輪明宏
芝居の入墨彫り師に六平直政
コント300キロの松村邦洋
コント300キロの内山信二
女形の天才少年に早乙女太一
たけしの相手役に小森未来

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野川新栄

2.0難解

2023年12月31日
PCから投稿
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