マジェスティック

劇場公開日:2007年6月22日

解説・あらすじ

51年、赤狩りの気配が忍び寄るハリウッド。新進脚本家ピーターは交通事故で記憶を失い、小さな町にたどり着く。彼を見て戦争から帰った息子だと思いこんだ老人は、彼とともに、休館中の老朽化した映画館マジェスティックを再建しようとする。監督は「ショーシャンクの空に」「グリーンマイル」のフランク・ダラボン。主演はシリアス作の続くジム・キャリー。老映画館主役でマーティン・ランドーが共演。

2001年製作/153分/アメリカ
原題または英題:The Majestic
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2007年6月22日

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映画レビュー

4.5 【90.1】マジェスティック 映画レビュー

2026年3月1日
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鑑賞方法:VOD

フランク・ダラボンという作家は、常に「失われたアメリカ」の断片を拾い集め、そこに宿る高潔な魂をスクリーンに投影し続けてきた。ショーン・シャンクの空を見上げ、グリーンマイルの奇跡を信じた彼が、三度目の正直として挑んだ本作「マジェスティック」は、ハリウッドがかつて持ち合わせていた古典的叙事詩への回帰であり、同時にマッカシズムという負の歴史に対する痛烈な反論でもある。映画全史において本作を位置づけるならば、フランク・キャプラが築き上げた「正義と良心」の系譜を継承し、それを二十一世紀の技術と感性で再構築しようとした、極めて野心的でノスタルジックな人間賛歌といえる。
作品の完成度という点において、本作は極めて高い水準にある。上映時間百五十二分という長尺は、現代の娯楽映画としては冗長に感じられるかもしれないが、ダラボンは一分一秒を惜しむことなく、主人公ピーターが記憶を失い、見知らぬ町ローソンで新たなアイデンティティを形成していく過程を丁寧に描き出した。そこには、忘れ去られた映画館の再建という物理的な再生と、戦争で傷ついた人々の心の再生が美しくシンクロしている。脚本を担当したマイケル・スローンは、記憶喪失という古典的なモチーフを使いながらも、それが単なる舞台装置に終わらないよう、アイデンティティの不確かさと、真実を語ることの重みを物語の核に据えた。中盤、ピーターが戦没英雄ルークとして生きる喜びを見出す場面の多幸感と、終盤、公聴会で彼が迫られる道徳的選択の緊迫感の対比は、脚本構成として非常に緻密である。
監督のダラボンによる演出は、あえて「古臭さ」を恐れずに正攻法を貫いている。黄金期のハリウッド映画を彷彿とさせる流麗なカメラワーク、そして感情を増幅させるライティングは、観客を千九百五十年代の静かな田舎町へと誘う。編集の面でも、スローテンポながらも確実に感情を積み上げていく手法が取られており、物語の終盤に訪れるカタルシスに向けて観る者の心をじわじわと温めていく。
キャスティングにおける最大の勝因は、主演のジム・キャリーにピーター・アプルトン(ルーク・トリンブル)役を託したことだろう。ジム・キャリーは、それまでのコメディの帝王としての仮面を脱ぎ捨て、内省的で繊細な演技を披露している。彼は、赤狩りの標的となった若き脚本家としての野心と、記憶を失い戦没英雄として迎え入れられた男の当惑、誠実な青年ルークとして町の人々に愛されることへの戸惑いを見事に演じ分けた。特に、公聴会の場で見せる、自らの誇りと憲法を守るための静かなる決意の表情は、彼のキャリアにおける最高到達点の一つと言っても過言ではない。その一挙手一投足に宿る悲哀と誠実さは、単なる主役を超え、この映画の道徳的背骨として作品全体に深い説得力を与えている。
助演陣もまた、この重厚な物語を支える不可欠なピースである。まず、ルークの父親ハリー・トリンブルを演じたマーティン・ランドーは、息子を失った深い悲しみと、奇跡の再会を信じようとする盲目的な愛を、年輪を感じさせる佇まいで体現した。彼の温かくも切ない眼差しは、観客がこの町を愛さずにはいられない動機を生み出している。次に、ルークの恋人アデル・スタントンを演じたローリー・ホールデンは、理知的な弁護士という役どころを通じ、盲目的な熱狂に流されない凛とした美しさを見せた。彼女の存在は、ピーターが自分自身を取り戻すための道標として機能している。ローソンの町長アーニー・コールを演じたジェームズ・ウィットモアは、重厚な演技で町の歴史と権威を象徴し、彼の言葉一つひとつが物語に深みを与えている。そして、クレジットの最後に名を連ねるエドワード・コンクリンを演じたボブ・バラバンは、公聴会の諮問委員として冷徹な役回りを演じ、作品に社会的な緊張感をもたらした。
映像面では、美術と衣装が特筆に値する。舞台となるローソンの町並みは、架空の場所でありながらも、観る者に郷愁を抱かせるリアリティを持っている。特に、映画館「マジェスティック」が修復されていく過程は、映像の質感そのものが輝きを増していくようで圧巻である。一方、音楽のマーク・アイシャムは、オーケストラを中心としたクラシックな旋律で、物語の叙情性を最大限に引き出した。劇中で重要な役割を果たす曲、あるいは主題歌という特定の定義を超えて、全編に流れるノスタルジックな調べが、失われた時代への追悼歌として機能している。
本作は、受賞歴という数字上の記録においては、フランク・ダラボンの前二作に比べると控えめである。アカデミー賞や主要な映画祭での大きな受賞こそ逃したものの、時代に翻弄される個人の尊厳を描いたその精神性は、批評家の間で高く評価された。マッカシズムというアメリカの恥部を背景にしながら、憲法修正第一条を引用して良心を守り抜く姿を描いた本作は、単なる懐古趣味の映画ではない。それは、現代においても形を変えて存在する集団心理による弾圧に対する、静かなる抗議声明なのである。映画とは、暗闇の中で光を見つめる体験であることを、本作「マジェスティック」は自らの存在を以て証明している。
作品[The Majestic]
主演
評価対象: ジム・キャリー(ピーター・アプルトン/ルーク・トリンブル)
適用評価点: A9
(評価点 9 \bm{\times} 乗数 3 = 27)
助演
評価対象: マーティン・ランドー、ローリー・ホールデン、ジェームズ・ウィットモア、ボブ・バラバン
適用評価点: A9
(評価点 9 \bm{\times} 乗数 1 = 9)
脚本・ストーリー
評価対象: マイケル・スローン
適用評価点: A9
(評価点 9 \bm{\times} 乗数 7 = 63)
撮影・映像
評価対象: デヴィッド・タッターサル
適用評価点: A9
(評価点 9 \bm{\times} 乗数 1 = 9)
美術・衣装
評価対象: グレゴリー・メルトン
適用評価点: A9
(評価点 9 \bm{\times} 乗数 1 = 9)
音楽
評価対象: マーク・アイシャム
適用評価点: A9
(評価点 9 \bm{\times} 乗数 1 = 9)
編集(加点減点)
評価対象: ジム・ペイジ
適用評価点: 0
(加算点小計から 0 を減算)
監督(最終評価)
評価対象: フランク・ダラボン
調整前合計点: 126
(27 + 9 + 63 + 9 + 9 + 9 - 0 = 126)
総合スコア:[ 90.1 ]

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honey

4.0 見終わった後に「いい映画みたな」という気持ちにさせてくれる作品

2026年1月31日
PCから投稿

ジムキャリーは素晴らしい映画俳優です。
彼が出演するだけでも映画がワンランクアップします。
ただしジムキャリーは顔芸が非常に優れているのですが、この映画では真面目な顔が多く顔芸が少ないのがちょっとだけ残念です。

映画のストーリーは「冴えないB級映画の脚本家が記憶喪失になり、ひょんなことから死んだはずの田舎町の英雄に間違えられる」というもの。
笑いあり、ドタバタありで最後はちょっぴりしんみりさせられていい映画です。

おススメ。

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みる

3.5 期待値が高すぎて普通に感じてしまう

2024年9月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

間の取り方やBGNのタイミングはショーシャンクそのもの
内容はショーシャンクの下位互換に感じてしまう悲しい作品

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高い坂

3.0 評価高いな

2024年7月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

他で観たような、まぁまぁありがちな話で今ひとつだった。こういう法廷シーンがある映画は評価高い気がする。
ジムキャリーがあまり好きじゃないことも相まって、入り込めなかった。
大勢の人が集まる場面、離れる場面が鼻についた。
評価:3.2

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bigsuke