IT’S NOT ME イッツ・ノット・ミー

劇場公開日:

解説・あらすじ

「アネット」「ホーリー・モーターズ」などの鬼才レオス・カラックスが初めて自ら編集を手がけ、圧倒的なビジュアルセンスで記憶と思考をコラージュしたセルフポートレート映画。

カラックス監督がパリの現代美術館ポンピドゥー・センターからの委任で構想するも、予算が膨らみすぎたため実現しなかった展覧会の代わりとして制作。「いま君はどこにいる?」というポンピドゥー・センターからの問いかけを根源的に捉え直し、自分がどこから来てどこへ行くのかという答えのない謎に、地の底から響くような低い声で口ごもりながら語る。

ジャン=リュック・ゴダール監督の後期のエッセイスタイルへオマージュを込めながら、家族について、映画について、20世紀の独裁者と子どもたちについて、死者たちについて、そして哲学者ベルクソンが提唱した「エラン・ヴィタル(生の飛躍、生命の躍動)」について、ホームビデオから映画、音楽、写真などさまざまなジャンルやフォーマットの映像を、夢の断片のようにコラージュしていく。

2024年製作/42分/G/フランス
原題または英題:C'est pas moi
配給:ユーロスペース
劇場公開日:2025年4月26日

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(C)2024 CG CINEMA • THEO FILMS • ARTE FRANCE CINEMA

映画レビュー

4.0カラックスらしい夢と記憶の万華鏡のような中編作

2025年4月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

42分間をカラックスらしい夢と記憶が縦横無尽に駆け抜けていく。「今どこにいる?」という問いから全てが始動したという本作。大多数にとってほんの一言で事足りる答えを、カラックスは根源まで突き詰め、内面を泳ぐように探究し、彼が生きてきた時代、世界、さらには映画のまばたきにまで思いを馳せる。その語り口は全く高飛車ではなく、遠くを望んでいるかと思えばごく身近な何かを見つめる、もしくは両者を同時に行っているかのような不可思議なリズムとタッチで貫かれている。溢れるほどの情報量のモンタージュも、決して意味不明だったり、難解だったり、哲学的すぎることはない。独白録でありながら独善的にならず、42分間きちんと娯楽作として観る者を刺激し、楽しませる。それでいて心に煌めきを遺す。おなじみの”あの人”もやっぱり登場する。全ては起きながら見る夢のよう。カラックスの紡ぐ夢をこれからも見続けたい。そう強く感じる中編作だ。

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牛津厚信

3.5ぼんやり

2025年5月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

何かに(歪みとか音とか光とか色とか言葉とか)にまみれた映像と接続の連続でクラクラとしてやがてぼんやりと眺めて見てました。
終盤に明確にメッセージ的な言葉を言われていて「あ、ここまでハッキリと言うもんなんだなー」と、驚いた。

人形が動く場面のキュートさが好きだ

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まるのすけ

5.0映画監督の究極の幸福

2025年5月1日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ゴダールが晩年は、観客の精神を試すが如くな、メンタルインタレーション的作品を提示し続けた。映像作家として、『自分は何者か?』を観客に問いかけ、宣言する行為を、自由気儘にイメージの洪水によって追求してきた。そして、それを支えるパトロンがい続けた、幸せな生涯だったろう。そんな理想的な作品発表は、近年ではアルノー・デプレシャン監督の「映画を愛する君へ」が記憶に新しい。そこで本作のレオス・カラックス監督作品である。これまたイメージが、大噴火の溶岩のように迸り出る(観客置いてけ堀=独りよがり)の、映像と音楽のコラージュによる自慰的快楽の追求。それも良いだろう。映画監督として、理想的な境地に達しているのだから。この42分間に、きちんと向き合って、付き合ってやろうじゃないか。という心の豊かさを大いに発揮した覚悟を強いられる作品である。

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t2law

3.5脳内をビジュアル化した実験作

2025年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

カラックス監督の夢か、走馬灯か……
監督の脳内をビジュアル化する実験っぽい。
各映画サイトのあらすじ&解説の文にあるように、展覧会の代わりに製作された「記憶と思考をコラージュしたセルフポートレート」がしっくりくる説明ではある。

新鮮かつ斬新な作りで、万華鏡のように展開する映像美に驚きはあるが、既視感もあって手放しでほめられず。
後期ゴダール作品の影響に加え、思い出したのはデニス・ホッパー監督の『イージー・ライダー』LSDによる幻視表現。
自分は1度もやったことがないから確信的には言えないけど、麻薬・シンナー・大麻などドラッグで生じる幻ってこんな感じなのかもしれないと想像させる。

『アネット』『TOKYO!』『ホーリー・モーターズ』などカラックス監督過去作を観続けていて、細かい部分を覚えている人にはいいと思うのですが、初心者にはハードル高すぎてお勧めできないかなと。

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コージィ日本犬

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