アイアンクローのレビュー・感想・評価
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ルックが素晴らしい!
本作、IMDbやRotten Tomatoesで評価が高いこともあり、公開前から注目しておりました。
プロレス、私自身も短い期間ではありましたが夢中になった時期があります。さすがにフリッツの時代には間に合っていませんが、ケビンやケリーについては新日本プロレスで試合を見た記憶がありますし、「呪われた一家」の逸話についてもざっくりは知っています。
本日サービスデイの午前中の回、客入りはあまり多くはありませんが解りやすい特徴としては、ほぼオジサンです。そもそも日本でプロレスはサブカルチャー。さらに現代のように一般にインターネットが使われていなかった時代、情報を手に入れる方法は限られ、金と時間、そして情熱がなければ続けていけない趣味でもありました。と言うことで、当時早々に脱落した私としても、今「フォン・エリック・ファミリー」の映画が観られることを楽しみにしていました。
で感想ですが、映画としては「悪くはない」印象です。が、やはりというか、思った以上に観る人を選ぶ作品ですね。微妙な言い回しの最大の理由は「事実との相違」。伝記映画あるあるですから「そこは織り込んで」観られる人はいいと思いますが、話をシンプルにするために一部割と大胆に「設定」から改変されていることなど、プロレスファンに受け入れられるかは疑問です。
一方で、素晴らしいのはルックですね。衣装やメイクなどは勿論なのですが、特に試合シーンは当時のテレビ放映を見ている感じで、思わず「懐かしい」と思い込めます。また、日本でもおなじみのプロレスラー、リック・フレアー、ハーリー・レイス、ブルーザー・ブロディ、テリー・ゴディなどの試合以外の様子なども垣間見えます。
ただ、如何せん少々物足りないかな、と。伝記映画として切り口を決めて出来るだけ事実に寄り添った作りなのは解りますが、そこはプロレスですから、もう少し盛ったり、尾ひれをつけても良かったかなとも思います。
それにしても、ザック・エフロンは相変わらず身体仕上がってますね。トップロープからのフライング・ボディ・プレスが実に美しいです。
悲しくも深い愛の家族のストーリー
「アイアンクロー」は聞いた事がある程度で全然プロレスの知識がなくても楽しめる作品でした
楽しめるって表現は合わない作品ですが、観て良かったと思える作品です
息子達が「Yes, Sir.」と父に答えるから恐怖政治的な感じで息子達を支配しているのかと序盤思いましたが、そうではなく強い父を尊敬しているからこその「Yes,Sir.」
プロレスラーになる道を当然のように選ぶ息子達
自分の夢を息子達に託す父の呪縛から早く抜けられていたら良かったのにと思わずにはいられませんでした
そうしてたら息子全員幸せになれていたかも
責任感が強すぎるケビンに切なくなりますがパムがいてくれて良かった
ケビンだけじゃなくてフォン・エリック家全員がパムの存在に救われていたような
そのパムはリリー・ジェームズ、ホントぴったりでした
ザック・エフロン、ハリス・ディキンソン、兄弟全員鍛え上げられた身体でプロレスラーみたいで役作りがすごい
俳優さん達の役作りからプロレスシーンはすごくて、深い兄弟の絆、父の期待に応えたい重圧、悲しい家族から未来への希望、なんかもういろんな想いでいっぱいになる作品でした
ラストのケビンの涙に息子2人からの言葉、涙ポロポロでした
イエッサー!
プロレス一家フォン・エリック家の悲劇を描いた映画。
親が成し遂げられなかった夢を子供に託し、幼少の頃からスパルタ教育をするのは世界中のどこにでもある話だが、大人になっても親の言う事を疑わず、真っ直ぐに努力できるのはある種の才能に加え、洗脳に近い状況にあると言ってもいいかも知れない。
恋人もおらずプロレスと家族が人生の全てであったエリック兄弟にとって、重圧を受けても逃げる場所がなかったと言うのがその後の悲劇に繋がってしまった原因の一つのように感じたが、一番の元凶は父親が本当の意味で子供を愛していなかったことだと思う。
次男ケビン役のザック・エフロンの尋常じゃない体つきは素晴らしい役へのアプローチではあるが、兄弟全体のバランスを考えたらやり過ぎな感じがした。
プロレスの実力というものが今ひとつわからなかったが、少なくとも団体の興行を成功させる能力が大事であるということはわかった。
身体をいじめ抜くだけではなく、派手な衣装やマイクパフォーマンスなどショーとして如何に楽しく見せるかが(特にケビンには)欠けていたので、なかなかチャンスが与えられなかったんだと思う。
リック・フレアは自分自身が試合で良いところがなかったにも関わらず、試合自体が盛り上がったことでケビンをしっかりと評価することができる素晴らしい人格者だった。
ショーマンとして非凡な能力を持っていた故のチャンピオンなんだと思った。
映画ではケビンは不幸の源であるプロレスから距離を置いたように見せているが、実際子供は2人とも日本のプロレス団体ノアでデビューしている。
結局呪縛からは逃れられないという話に持っていくのも面白かったように思う。
兄弟愛と言うものに素直に感動
フリッツフォンエリックが引退する直前くらいからプロレスファンになりました。
全盛期は見ていないですがそりゃ伝説のレスラーでした。
映画はプロレスファンで無くとも楽しめる内容ですがフリッツフォンエリックがどんな人物だったのかどれだけ偉大だったか位は知識として入れておくとより楽しめると思います。
兄弟愛を語るには美しい内容で心に入りました。
「呪われた家族」の話しはもちろん知ってほぼ事実通りに作成されています。実際はマイクの下にもう一人兄弟がいたのですがいない事になっています。その位ですかね(事実のがもっと厳しい)。
しかしケビン役の俳優凄い体を作ってますね。
実際のケビンより仕上がってます。
ケビンはもっと細いです(笑)本物のケビンと合わせるとプロレス知らない人だとあれ?と思うだろうからあの位作った方がいいのでしょうね。
父の呪縛
”呪われた一家”とも言われるフォン・エリック家であるが、その波乱に満ちた運命は実に悲劇的だ。これが実話ベースというから、何ともやりきれない思いにさせられる。自分はそこまで迷信を信じる方ではないが、流石にこれだけ不幸が重なるとお祓いでもしてもらった方が良いのではないか…と思うほどだった。
ケビンたちの不幸は、厳格な父フリッツの束縛から逃れられなかったことに起因しているように思う。何をするにしても彼らは父の言いなりで、反抗することすらできない。
例えば、五男のマイクは兄たちのように決して体格が恵まれているわけではない。彼は大好きな音楽の道を進もうとした。しかし、厳格な父はそれを許さず兄たちと同じようにレスラーにさせた。その結果、悲劇的な末路を辿ってしまう。
プロレスの世界では”強さ”こそが正義である。フリッツは息子たちに期待をかけて厳しく特訓したが、これが完全に裏目に出てしまった。結局、彼らの人生を奪ってしまったのである。
もし、ケビンたちが勇気を出して自分の”弱さ”を正直に曝け出すことが出来ていれば…。あるいは、このような不幸は起こらなかったのかもしれない。
監督、脚本はシェーン・ダーキン。長編デビュー作「マーサ、あるいはマーシー・メイ」を鑑賞したことがあるが、シュールなスリラー・テイストが中々面白かったと記憶している。この路線で行くのかと思いきや、今回は実話ベースの人間ドラマということで、その時のような技巧的な演出を封印し、実に正攻法にまとめ上げられている。唯一、母親が息子を幻視するシーンにシュールさが感じられたが、基本的には奇をてらうことなく大変観やすく作られている。
ただ、ヘビーな物語のわりに、映画自体の鑑賞感はもうひと声欲しいという気もした。ケビンの葛藤に迫るような描写が余りなかったせいかもしれない。兄弟間の絆や父に対する愛憎など、プロットの肝は押さえられているものの、いかんせん語り口が淡泊なのが惜しい。ケビンの内面を深堀していけば、更に見応えのある作品になっていたかもしれない。
キャストではケビンを演じたザック・エフロンの熱演が印象に残った。筋骨隆々にバンプアップした肉体改造はレスラーとしての説得力も十分。本作にかける思いが映像から伝わってきた。
プロレスに詳しくない僕のレビューです。
プロレスに興味ないしスルーする気だったんだけど…
予告編で流れてた曲が好みだった事や好きなリリー・ジェームズが出てる事、プロレスに興味ない人こそ観るべきって記事を読んで観てみました。
男臭く、むさ苦しい、と思ってる方いらっしゃるでしょうが、スタイリッシュでオシャレな演出でスマートに観せてくれます。
観て正解、予想の何倍も良かった。
もう1回観たい。
事実に基づく話で、実在するレスラーのファミリーを描きます。
呪われた一族と呼ばれたファミリー…
知らない方は詳しく調べないで、そのまま、知らないまま、一族のドラマチックな人生を追体験して下さい。
プロレスに詳しくなくても大丈夫、感動できます。
リリー・ジェームズのロマンスがステキなので、女性にもオススメ。
PS.予告編で流れ気になっていた曲は、ブルー・オイスター・カルトってバンドの「(Don't Fear) The Reaper」って曲でした。
歌詞が映画の内容に合ってる。
父親というカルト
不幸にも偶然が重なって災いがエリック一家にやってきた。最初のうちは、そう解釈できなくもないレベルだったが、物語が進んでいくと、呪いではなく、父親という名のカルトが原因であることがはっきりしてくる。
家族が全て、家族の夢を家族全員が力を合わせて叶える。そう父親から言われてしまうと、父親の夢が自分の夢であるかのように錯覚してしまう。それで上手くいけば、心に歪みが生じることもないのだろうが、一旦、綻び始めると、自己崩壊が止まらなくなる。
試合のシーンは、スタント無しで再現したらしいが、信じられないくらいの迫力。ザック・エフロンもレスラーにしか見えない体に仕上がっている。
強い者がチャンピオンなのではなく、プロレスでは、実力とショーマンシップと人気がある者でないとチャンピオンになれない。その辺の雰囲気がよく伝わってくる。
ケビンが父親の呪縛から解き放たれるまでの物語で、重苦しい気持ちを何度も追体験することになる。
「困難を克服して跳ね返さなければならない」父親が唱えるスローガンを死ぬ気で実践しても不幸は消えない。消えないどころか再生産される。
長い時間をかけて下したケビンの決断に、見ている自分も安堵。
リリー・ジェームスにあんなこと言われたら、そりゃー、もう大変。
プロレスをテレビで見ていた時代の空気をフィルムで上手に再現していた...
素晴らしかった
プロレス、よく観に行ってたっけ。
自分がプロレスをよく観に行ってたのは1990年代あたりかな。
雑誌も買ってたから「呪われたエリック一家」の話は、よく知ってた。
ただエリック兄弟を生で観たことはなくて、一番、よく記憶してるのはテレビでケビンが猪木と組んで木村健吾、武藤敬司とのタッグマッチ。
猪木と一緒に武藤を攻撃してるケビンが楽しそうだったな。
映画は最初は「似てる、似てない」くらいの感じで観てたけど、だんだん物語に引き込まれて終盤、泣いてしまった。
プロレスを題材にした映画、日本でも作って欲しいけど日本じゃ役者がプロレスラーに見えるくらいの身体、作れないしな。
かといってレスラーは演技、ヘタクソだし。
個人的には’90年代、日本で一番、プロレスが盛り上がってた頃のドキュメンタリーが観たいかな。
願望という名の呪縛
上映館が少ないので、これはすぐ観に行かなければと仕事を切り上げ平日に鑑賞。平日の割にはまあまあの観客数なのかな?
自分が成し遂げられなかったことを、子どもに託すというのはよく聞くことやけど、この一家の場合父親の願望が重い重い呪縛となって続いていたんやろうなあ。
尊敬している父親の期待に応えたい。だけど、限界はいつかはくる。その限界を見極められなかったきょうだいたちは死に向かった。やけど、ケビンは最初の強敵に挑んだ後の父親の態度をみて、自らの限界或いは父親への違和感に気がつき本気で戦うことが怖くなったのかなと思った。
きょうだいたちの人生はどこかで変えることができたんやろうか。残されたケビンの気持ちを思うと本当に胸が痛くなった。
ケビンが今はたくさんの家族に囲まれて幸せそうに暮らしているというのをみてほっとした。家族のことを考えると幸せになるって結婚する時に言ってたもんね。ジムを手放したのもケビンにとってはいい決断やったんやと思う。
最後に、ザックエフロンといえばペーパーボーイのちょっと情けない感じのイメージで止まってたんやけど本作ではムキムキゴリゴリマッチョに大変身!あそこまで鍛えたんやろうか…すごいなあ…
スポーツ実話より家族の交流ドラマ
スポーツ物にハズレなし、実話にハズレなし、なのでスポーツ実話は絶対保証付きと思って出かけましたが、スポーツアクションは抑えめでスターレスラーだった父と男ばかり四人息子の交流を地道に描いた家族ドラマです。
ドラマチックではありますがケレンを排除して淡々と各人の人間描写を丁寧に描いた秀作です。
格別のプロレスファンではありませんが、フリッツ・ヴォン・エリックといえばファンク兄弟やスタン・ハンセン、ブッチャー、タイガー・ジェット・シンより少し前の、馬場と猪木がタッグだった頃、キラー・コワルスキー、フレッド・ブラッシー、ボボ・ブラジル、ヘイスタック・カルホーン、ブルーノ・サンマルチノ、ザ・デストロイヤー、ヴァン・ガーニアなどが活躍していた時代、即ちタイガーマスクが連載していた時代のスーパースターなので実に懐かしかった。
兄弟愛に泣いた。゚(゚´Д`゚)゚。
ケヴィンが健気過ぎて…っていうか兄弟全員、パパの言う事聞きすぎ!マイクまで持ってプロレスラーにさせるとか、もー、あんな華奢なバンドマンだったのに…
ラストのケリーが三途の川渡った先に死んじゃった兄弟が待ってたシーン、めちゃくちゃ泣いてしまった。5歳で死んじゃったジャックjrもいて、みんなやっと楽になったねぇ…って。そして最後ケヴィンがプロレス辞めて牧場主になって大家族に囲まれてる写真がとっても幸せそうで(赤ちゃんがポーンで投げられてるの!ww)すごく嬉しかったです
寄り添うことの大事さ
フリッツ・フォン・エリックが「鉄の爪(アイアンクローではないのですよ)」を馬場さんのこめかみに食い込ませ、ダラダラと血を流させたシーンも、その息子たちが全日のリングに登場し、裸足のおにいちゃんがいたとか、兄弟全員が強かったわけじゃなかったとかをTVで見ていたワタシにとっては懐かしさもありましたが、呪われた一族のストーリー全てあ知らなかったので、観ながら肌がゾワゾワしました。
死んだら楽かなぁと思ったことはあっても、死のうとしたことは無いワタシなので、死のうとしたのに死にきれなかった奴は、もうその後死のうと思わないだろうなんて高をくくっていたのに、その身内にある日あっさり逝かれてしまい「なにかできなかったのだろうか」なんておいてけぼり感に苛まされていた立場からすると、両親の立ち位置が全く理解できませんでした。
自分の希望(いや野望?妄想?)を押し付けるだけで、悩み事は「兄弟で話し合え」と投げっぱなしジャーマン的な父、そんなフリッツの事を言葉だけはラブラブ的に語りながらも全てを神に委ねる母、どちらも究極の胸糞悪どもに感じました。
先に逝ってしまった兄弟たち(5歳で亡くなったジュニア以外)は、父への信仰心と、その洗脳が解けた後、どうすればよいのか自己を形成することができなかったのかもしれない、純粋さが産んだ耐性の弱さだろうか、とても悲しかった。
一人残ったケビンだが、彼は愚直に努力する勤勉さ、裏を返せば才能の無さ、そして兄弟に寄り添うことのできる愛情の深さ。そんな彼だからこそ得られた伴侶に寄り添ってもらえる心の支えによって呪いから解放されたのではないだろうか。
本当に悲しい実話ベースの作品だったけれど、ケビンが大家族に恵まれて良かった。
重厚な家族の物語でした。
余談ですが、リングに登場した「シーク」役の人、エンドロールを眺めていたら「チャボ・ゲレロJr.」の文字が、うーん、懐かしかった!
プロレス版、実話「巨人の星」
このところ実話ベースの映画が多いが(オッペンハイマー、パリ・ブレスト、ラインゴールド、等々)本作も実在のプロレス一家であるフォン・エリックファミリーのお話し。
A24としてはちょっと毛色が変わった作品に思える。
プロレスという題材である以上、登場人物のカラダの作り込みが必須で、この点、ザック・エフロンの身体改造は見事。ストーリーに十分なリアリティをもたせている。 (なかには残念な体型のひともいるが、全員このレベルに合わせるってのは土台無理ですから)
親父の夢を子供に仮託してスパルタ教育するっていう、まあプロレス版巨人の星みたいなもんで、星飛雄馬同様、子供たちはボロボロになって櫛の歯を折るように他界します。(9年間に3人死んでる) 兄弟でただひとり生き残るケビンのラストシーンは、ほっとするやら泣けるやら。
なおフォン・エリック兄弟は映画では早逝した長男含めて5人兄弟として描かれているが、実際は6人兄弟で映画に登場しない末弟の6男も自殺しているという映画以上に悲惨なファミリーだった。
とにかく再現度が凄いのだが、クリス関連もきちんと描いて欲しかった
2024.4.9 字幕 T・JOY京都
2023年のアメリカ映画(132分、G)
実在のプロレス一家フォン・エリック家の栄光と悲劇を描いた伝記映画
監督&脚本はショーン・ダーキン
物語の舞台は、1980年代のアメリカ・テキサス州のダラス
父フリッツ・フォン・エリック(ホルト・マッキャラニー)は現役を退き、プロレス団体を設立し、息子たちを鍛え上げる方向にシフトした
長男のジャック・ジュニア(ロメオ・ニューカマー)は5歳の時に病気で亡くなり、父の期待は次男のケビン(ザック・エフロン、幼少期:グラディ・ウィルソン)に注がれた
ケビンには、陸上でオリンピックを目指す弟ケリー(ジェレミー・アレン・ホワイト)、同じくレスリングをしているデビッド(ハリス・デッキンソン、幼少期:ヴァレンタイン・ニューカマー)がいて、末っ子のマイク(スタンリー・シモンズ)は大学生の友人たちと音楽活動に励んでいた(実際には六男のクリスが存在するが映画では割愛されている)
彼らは母親ドリス(モーラ・ティアニー)の愛を受け、それぞれの進むべき道をひたすら走っていくことになった
転機になったのは、ソ連のアフガニスタン侵攻を受けて、アメリカがモスクワ五輪への不参加を決めたことで、これによってケリーは目指す道がなくなって、実家へと戻ってくる
ケリーは父に促されてレスリングの道を進み、頭角を表してくる
元々不器用なケビンは、力をつけてタイトルを獲っていくものの、マイクパフォーマンスではデビッドに圧倒され、ファンの獲得もままならなくなってくる
弟二人に先を越され、父もその状況を容認し、ケビンは華々しい舞台の一歩後ろで、弟たちの活躍を見守ることになってしまうのである
映画は、フォン・エリック一家の「呪われた」負の連鎖を描いていくのだが、映画的には「毒親の影響で道を誤った」というふうに描かれていく
実際にどうだったかはわからないが、唯一生き残ったケビンがプロデューサーに名を連ねているので、息子目線ではこう見えたということなのだろう
ケビンは呪いの存在を信じていて、自分の息子の名前に「フォン・エリック」をつけないのだが、プロレス自体は愛しているので、息子たちを鍛えてデビューさせている
あくまでも、自分たちの不遇は両親の方針とタイミングだった、という感じに描かれていた
世代としては、少し上の世代で、日本での興業などもあったが、あまり興味のない時代だった
それでも、名前ぐらいは聞いたことがあるというくらいの知識で観に行ったが、問題なく理解できるように作られている
プロレスは興業であり、いわゆるエンタメとして「台本がある」のだが、それを後のケビンの妻になるパム(リリー・ジェームズ)が突っ込むシーンは面白い
この時のケビンの反応が「スターになれない感」を醸し出していて、彼が向かうべき道は「オリンピックのレスリングだった」のではないかと思わせるのである
いずれにせよ、プロレス好きだと「日本関連がほとんど描かれない」ので不満かもしれないが、日本人プロレスラーを演じられる俳優が皆無なのでやむを得ないと思う
フォン・エリック兄弟たちを演じた俳優たちの見事な体の作り込みを再現することは難しいので、割愛されても仕方ない
また、六男クリスは悲劇的になりすぎるとのことで割愛されたが、映画的には描いた方が良かったと思う
クリスも自殺をしてるのだが、彼が自殺した理由が「プロレスラーとしての体格に恵まれなかったから」というものなので、これを描いてこそ、フリッツの方針の無茶さというものが浮き彫りになるのではないかと感じた
期待度○鑑賞後の満足度○ もう一息で佳作になり損ねた作品。でも演出はしっかりしている。小学生の頃、野球よりプロレスの方が好きだった曾ての少年には『アイアンクロー』というだけで懐かしい。
①アメリカ合衆国の南部のある家族を活写している点では成功していると思う。でも何かもう一つ足りないという感じ。
②フリッツ・フォン・エリックの息子がプロレスラーになったというのは当時のプロレス界で話題になったし、その息子が日本で巡業中に亡くなったというのは結構ニュースになったのを覚えている。
③キャストに有名スターが一人は必要(リリー・ジェームズもいるけど)、ということでザック・エフロンがキャスティングされたのかも、と思うが、熱演だけれどもプロレスラーにしては身体が小さいので違和感は否めない。
それとボディビルダー並みの筋肉を付けての登場だが、実はボディビルダーの様な筋肉モリモリはプロレスラーには適さない。適度に脂肪がないとスタミナが続かないし、それは当時のプロレスラー達の体型を見ればわかる。(最近のプロレス界は違うようだけれども。)その点でも違和感が拭えなかった。
④基本的にはフォン・エリック家の息子達(兄弟)の話だが、実は父親役・母親役の俳優さん達の演技に注目である。
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