劇場公開日 2024年5月3日

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青春18×2 君へと続く道 : インタビュー

2024年5月4日更新

シュー・グァンハン×清原果耶 海を越えて“初恋の記憶”を紡いだ2人がいま伝えたいこと

藤井道人監督の日台合作映画で共演
 シュー・グァンハン/ヘア:Edmund Lin From Zoomhairstyling メイク:美少女工作室prettycool/Kao Hsiu Wen 清原果耶/メイク:牧野裕大(vierge) スタイリスト:井阪 恵(dynamic)  

新聞記者」「余命10年」の藤井道人監督が手掛けた日台合作映画「青春18×2 君へと続く道」が、5月3日に公開を迎えた。

大ヒットドラマ「時をかける愛」で一躍、アジアのトップスターとなった台湾の俳優シュー・グァンハンが演じたのは、人生の目標も居場所もすべてを失い、故郷へと戻ってきた36歳のジミー。実家で手に取った1枚のハガキによって“初恋の記憶”がよみがえった彼は、18年前に出会った日本人女性アミとの思い出をたどる旅に出る。

(C)2024「青春18×2」film partners

ジミーが恋心を抱くアミ役を任されたのは、「デイアンドナイト」(19)、「宇宙でいちばんあかるい屋根」(20)に続き、藤井監督と3度目のタッグを組んだ清原果耶。藤井監督からの厚い信頼に応え、明るい笑顔の中にどこか儚さを感じさせるヒロインを瑞々しく演じ切った。

日本と台湾、そして18年前と現在を舞台に切なくも美しいラブストーリーを紡いだ2人が、それぞれどんな思いで役と向き合ったのか。そして、この国際プロジェクトを通じてどんな学びを得たのか。時おりお互いの言葉も交えながら微笑み合う2人に話を聞いた。(取材・文/編集部 写真/間庭裕基



――3月に先行公開された台湾では、初週末の新作ランキングで1位を獲得しました。台北で行われたプレミアイベントには大勢のファンが集まりましたが、現地の熱気に触れていかがでしたか?

清原:純粋に「私のことも知ってくださってるんだ」と感動しました! 私の名前が書かれたパネルを持ってくださっている方もいて、衝撃的でした。もちろん日本でも舞台挨拶などに応援に来てくださる方々がいてありがたいなと思っていましたけど、台湾という土地で作品だけじゃなく、キャスト自身をこんなにも応援してくれるんだなって温かみとありがたみを感じました。

――グァンハンさんは以前から藤井監督の作品にご興味を持たれていたそうですが、藤井作品のどんなところが台湾の観客に支持されていると思いますか?

グァンハン:台湾の人たちはギャング映画が大好きな一方で、ラブストーリーも大好きなんです。藤井監督は両方のテーマで作品を撮っていらっしゃいますよね。あくまでも私見ですが、藤井監督のストーリーテラーとしての独特な語り方と、作品のテーマにあるんじゃないかと思います。

――映画でグァンハンさんは18歳の高校生、清原さんは日本から来た4歳上のバックパッカーを演じていますが、役を演じるうえで何か意識したことはありますか?

清原:確かに私が演じたのは年上の女性ではあったんですけど、「だからどうしよう」ということはありませんでした。台湾という土地で必然的に出会って、それがたまたまそういう年の差だった。相手を見るときに年齢が一番にくることはないと思うので、アミとしてジミーと接したときに自然にそう見えればいいな、くらいにしか考えていませんでした。

――現場でお相手に助けられたことはありましたか?

清原:それはもう全部です! 私が演じたアミは台湾で絵を描きながら一人旅をしているんですが、カラオケ神戸(アミが住み込みで働くことになるジミーのバイト先)でジミーと出会ってから日々が開けていくっていうお話でもあるので、ジミーが現場にいるだけで毎日受け取るものがありました。感謝しています。(中国語で)謝謝。

グァンハン:(日本語で)ありがとうございます。光栄です(笑)。実年齢は一回りほど離れていますが、果耶さんがおっしゃる通り、年齢の差は何の問題でもないと思います。現場で果耶さんの美しい大人びた瞳を見るだけで、ジミーをじっくりと演じられる力をもらいました。

果耶さんを現場で見ていると、すごく一生懸命、考えているんだろうなと感じました。実は、脚本には思ったよりアミに関する部分が少なかったんです。でも果耶さんは現場に入ったとたん、一瞬のうちに非常に厚みのある人物を作り上げてしまう。カメラが回るともうアミになり切っているので、藤井監督も何も言うことがなかったんじゃないかと思います。果耶さんと共演できて本当にうれしかったですし、楽しかったです。

――脚本にはアミに関する記述が少なかったそうですが、清原さんはどのように役づくりをされたんですか?

清原:藤井監督が私にアミという役を任せてくれる意味はすごく考えました。藤井監督とは「デイアンドナイト」と「宇宙でいちばんあかるい屋根」という作品でご一緒したんですけど、今回は過去2作品で演じた役と全く違うキャラクターだったので、撮影が始まる前から藤井組に参加する俳優部として新たな挑戦になるだろうなと感じていました。

私が演じたアミはすごく感情で生きるタイプというか、感情で語るタイプだったので、余すことなく表現しなければいけないなとは思っていました。

――グァンハンさんは「時をかける愛」で10~30代を演じただけでなく、同じ顔をした別人物も見事に演じ分けて話題になりました。今作では18歳と36歳のジミーを演じていますが、同じ役の異なる世代を演じるときに何か工夫されていることはありますか?

グァンハン:18歳のジミーを演じる時、そして36歳のジミーを演じる時、心の中で自分に言い聞かせるんです。自分の外見、感じ方、気持ちの持ち方……。いま自分は18歳なんだ、いまは36歳なんだっていうことを自分に言い聞かせる。そうすると、18歳と36歳の時では当然歩き方も変わってきて、自然と演じることができます。

TVドラマと映画では方法が違ってくると思うんですが、映画の場合は演じる人物の成長過程を拡大して見ていく必要があります。そして、「時をかける愛」の時のように1人2役を演じるときは、内面に加えて衣装やヘアスタイルなど外見的な部分が役づくりをするうえで非常に助けになると思います。

――今回、この国際プロジェクトに参加して、何か学びを得ましたか?

グァンハン:どの作品に出演しても必ず得るもの、つまり学ぶものがあると思うんですが、今回は中国語ではなく、日本語で演技をしなければならないという点が非常に大きなチャレンジでした。日本で撮影した時も藤井監督をはじめスタッフのみなさんが親切にしてくださって、お世話になるとともにいろいろなことが学べて本当に楽しかったです。

清原:私もグァンハンさんと同じで、どの作品にも学ぶことがあると思っています。私は日本での撮影が2日間くらいで、ほとんどが台湾での撮影だったんです。台湾で3週間くらいどっぷり浸りながら撮影ができて、アミとしても良い心の流れを作れたと思いますし、すごく贅沢だったなって思います。とても色鮮やかな経験でした。

――俳優として新たに何か挑戦したい気持ちは芽生えましたか?

グァンハン:もちろん! 役者の人生はまさに旅そのものだと思うんです。これからどんな脚本に出合うのか、どんな共演者、監督、スタッフに出会うのか、全くわからない。それは逆に楽しみでもあると思います。

清原:私は今回、中国語でお芝居させていただいたんですが、台湾のスタッフやキャストのみなさんがいる中で撮影するのは初めての経験だったのですごく刺激的でした。学ぶこともたくさんあったので、この作品をきっかけに「あ、挑戦してみよう! なんとかなるかも」という気持ちがいままで以上に増えたような気がします。その勇気をちゃんと覚えておいて、次に生かしたいなと思っています。

――最後に、いま青春のただ中にいる若い人たちに、この映画を通してどんなことを伝えたいですか?

清原:若い時ってたくさん悩むと思うんです。友達とケンカしたり、答えのない感情に振り回されたり、それこそ後悔が残ったり……。この映画はそういう出来事も大人になってみれば思い出だったと思わせてくれるような作品でもあるので、生きていく中で遭遇するサプライズもハプニングもどちらも全力で楽しんで、苦しんで、受け止めておいてほしいなって思います。

そして、生きていたらきっと「大人になって良かったな」「時間が経って自分も成長したかもしれないな」と思えるタイミングが来ると思うので、その時にまた映画を観返してもらえたらうれしいです。

グァンハン:この映画を通して、純粋な愛を思う存分楽しんでもらえたらと思います。そして、ピュアなハートを持つ登場人物に勇気をもらったり、はげまされたり……。そうして自分も旅に出ようかなと思ってもらえたらいいなと思います。

その一方で、僕は「この映画はどちらかというと大人向けの映画だな」と思っています。いろいろな人生経験を積んでから観ると、より多く共感できるものがあるんじゃないかな。

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