ギャング・オブ・アメリカ

劇場公開日:

ギャング・オブ・アメリカ

解説・あらすじ

禁酒法時代から半世紀にわたりアメリカの暗黒街を支配した伝説的マフィア、マイヤー・ランスキーの人生を描いたクライムドラマ。年老いたランスキーに伝記執筆のため作家がインタビューを行い、そこで語られるランスキーの人生を、1910年代から80年代まで、時代を行き来しながらサスペンスフルに描いていく。1981年、マイアミ。作家のデビッド・ストーンは、伝説的なマフィアであるマイヤー・ランスキーの伝記を書くことになり、ランスキー本人にインタビューをする。ランスキーの口から語られる彼の人生は、半世紀以上におよぶギャングたちの抗争の記録でもあった。そしてインタビューが終わりに近づいた頃、ストーンはFBIが3億ドルとも言われるランスキーの巨額な資産を捜査していることを知る。捜査協力を強いられたストーンは、ある決断を下すが……。作家ストーンをサム・ワーシントン、年老いたランスキーをハーベイ・カイテルが演じた。監督・脚本を手がけたエタン・ロッカウェイの父親であるロバート・ロッカウェイが、実際に生前のランスキーにインタビューを行っており、ワーシントン演じる作家ストーンのモデルになっている。

2021年製作/120分/R15+/アメリカ
原題または英題:Lansky
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2022年2月4日

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映画レビュー

3.5マフィア、ギャング映画好きにおすすめのマニアック作

2022年2月28日
PCから投稿

マイヤー・ランスキーといえば『ゴッドファーザーPART2』でリー・ストラスバーグが演じたハイマン・ロスのモデルになった人物であり、数ある「ゴッドファーザー」の登場人物の中でももっともモデル度が高いキャラ。そのランスキーが、一体どんな人物だったのかを落ち目のジャーナリストが追いかける構成になっていて、地味ながら入門編として入りやすい作りだと思う。

それでいて、ハーヴェイ・カイテルの正体を掴ませない演技もあって、新たなレイヤーは加わってもどんな人物だったのかはいまいちわからない。それも「わかった気になる」お手軽に伝記映画とは違う、本作の作り手の真摯な部分だと思う。

基本的にユダヤ人目線を貫いていて、いささかランスキーを美化し過ぎてないかと思う部分もあるが、第二次大戦時の対ナチス工作など、ギャングの所業に収まらない部分も興味深い。『ゴッドファーザーPART2』だけでなく、『バグジー』や『モブスターズ 青春の群像』などの関連作と併せて観るのもオススメ。

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村山章

3.0老いてもなお我々を魅了するカイテルの演技

2022年2月7日
PCから投稿

数々の名作において切れ味のある存在感を刻むハーヴェイ・カイテルが、80歳を超えるいまどんな姿を見せるのか。若かりし頃のバイタリティは無い。体のサイズもやや縮んでしまっているように見受ける。だが、彼がいざダイナーで一言セリフを放ち始めると、そこには独特の響きとリズム、カイテルならではの穏やかな緊張感が広がり始めるーーー我々が老いてもなお彼の演技に釘付けにならざるを得ない心理的流れは、ちょうど伝記作家(サム・ワーシントン)が不安を抱えながら”ランスキー”と出会い、徐々に引き込まれていく過程と似ているかもしれない。ただ、回想と共に現在地(80年代)を同時進行で描こうとする本作の野心的な試みをつつがなく全うするには、2時間の枠内では到底無理だ。そのため多少、足早になったり、二人の関係性が沸きらないままだったり。だがそれでもなお、本作がトライしようとしたこと、カイテルが刻んだ存在感は大いに買いたい。

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牛津厚信

3.5渋い実力派。ハーベイ・カイテルとランスキーは立ち位置も似ている

2022年2月4日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

怖い

知的

アル・パチーノやロバート・デ・ニーロと同様、ハーベイ・カイテルもギャングを度々演じてきた男くさい俳優だ。だがパチーノとデ・ニーロの華やかなスター性と比べると、カイテルの地味さは否めない。どちらかと言えば重要な脇役でいぶし銀のように控えめな輝きを放つ渋い演者なのだ。

そんなカイテル(現在82歳、メイクのせいもあるだろうがずいぶん顔が老け込んだ印象)が本作で演じるランスキーもまた、米国の犯罪史上特に悪名高いマフィアだが、外国の一般人にとってはアル・カポネ、ラッキー・ルチアーノ、ベンジャミン“バグジー”シーゲルに比べると知名度がかなり下がるのではないか。映画で描かれるように、ランスキーは子供の頃から数字に強く、マフィアに企業経営を応用して組織を近代化し、カジノ経営でも大成功した。知的で用心深く、冷酷な面もあったランスキーだが、敵対勢力を次々に倒す武闘派や、賭け事や女遊びで豪快に生きる顔役に比べると、やはり映画の主人公としては少々地味な印象を受ける。ギャング紳士録におけるランスキーと、「ギャングを度々演じた俳優リスト」におけるカイテルの立ち位置は似ている気がする。理にかなったキャスティングと言えるかもしれない。

監督・脚本は、本作が長編2作目のエタン・ロッカウェイ。父親が生前のランスキーにインタビューしたそうで、父親をモデルにした作家ストーンをサム・ワーシントンが演じている。年老いてマイアミで楽隠居中のランスキーがストーン相手に語る回想が、そのままランスキーの人生の振り返りとして描かれる構成だ。ただし、噂されるランスキーの隠し財産を探るため、FBIがストーンに接触してくるので、ランスキーがマフィアの世界で成り上がっていく過程を描く回想パートだけでなく、ランスキーとFBIの間で揺れるストーンの現代パートにもサスペンス要素が加味されている。

ロシア系ユダヤ人移民だったランスキーが、第二次世界大戦中は米国内に入り込んだドイツ側スパイの摘発に協力した話など、米国の裏の歴史を知る面白さもある。ギャングを扱った近年の映画では、スコセッシ監督の重厚な「アイリッシュマン」、ジョシュ・トランク監督による変わり種の「カポネ」などに比べると、やはり地味ではあるものの、手堅くまとめた印象だ。

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高森 郁哉

3.5【”そして、彼の莫大な隠し財産は誰にも見つけられなかった。”ユダヤの血を引くマフィア王マイヤー・ランスキーの半生を描いた作品。】

2025年2月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

興奮

■1981年、売れない作家のデヴィッド・ストーン(サム・ワーシントン)は老いたマフィア王マイヤー・ランスキー(ハーヴェイ・カイテル)と出会い彼の伝記を書くことになる。
 インタビューを始めると、ランスキーは自らの人生を語り出す。
 貧しいユダヤ系移民の子だったランスキー(ジョン・マガロ)は、禁酒法下であらゆる犯罪に手を染め、殺し屋集団を組織していく。

◆感想

・老いたマイヤー・ランスキーを演じるハーヴェイ・カイテルと、壮年のマイヤー・ランスキーを演じるジョン・マガロとの、時間軸を二つにしたストーリー展開が面白い。

・更に、マイヤー・ランスキーの妻アン(アナソフィア・ロブ)と、デヴィッド・ストーンの妻との不和がリンクしているような構成もナカナカである。

<FBIがデヴィッド・ストーンの妻に接触してきて、マイヤー・ランスキーの隠し財産を捜査する過程や、彼が仲間であったベン・シーゲルを殺さざるを得なかったシーンなどは、マフィアの哀しさを描いていると思った作品である。>

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NOBU

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