映画.comでできることを探す
作品を探す
映画館・スケジュールを探す
最新のニュースを見る
ランキングを見る
映画の知識を深める
映画レビューを見る
プレゼントに応募する
最新のアニメ情報をチェック
その他情報をチェック

フォローして最新情報を受け取ろう

検索

キューブリックとの仕事、ナタリー・ウッドの不可解な死――D・トランブルが驚きの秘話を明かす

2019年9月9日 14:00

リンクをコピーしました。
ダグラス・トランブル
ダグラス・トランブル

[映画.com ニュース] 「2001年宇宙の旅」「未知との遭遇」「ブレードランナー」のSFXスーパーバイザーとして知られるダグラス・トランブルがこのほど、ニューヨーク映画博物館を訪れ、スタンリー・キューブリック監督との思い出や、自身の監督作「ブレインストーム」についての出来事を語った。(取材・文/細木信宏 Nobuhiro Hosoki)

トランブルが“フィルムメーカーになろう”と思ったのは、「2001年宇宙の旅」撮影中のこと。「まずは、背景のアニメーション・イラストレーターとして作品に関わることになった。それまで映画作品での経験のない僕が、突如キューブリックとの仕事に携わる――ある意味、映画学校に通うようなものだった」と述懐。トランブルは、劇中に登場する全てのスター(星)を担当することになった。

「キューブリックは、カメラを異なった(1秒24コマ以上の)スピードで上下左右に動かしながら、スターのテスト撮影をしていた。そして、全てのショットを2重投影(ダブル・プロジェクティング)させ、宇宙船の動きに対して、スターの動きがどのように影響を与えるのかを調べていた。それが、あの“スターゲート・シークエンス”の始まりだ。その時から、僕はHFR(ハイ・フレーム・レート)にとりつかれてしまったんだ」

「監督の手法を今作で変えることができるかもしれない」とトランブルに告げていたキューブリック監督。「(観客を映画に没頭させるために)肩なめショットでとらえたり、馬鹿げたメロドラマの設定にしたり、セリフで全てを説明しなくても、映像だけで観客が夢中になれる映画が作れる」と語っていたそうだ。さらに“観客が宇宙にいる感覚”を目指し、さまざまなショットをとり除く作業を進めていった。「『監督の手法を変えること』という言葉は、今でも耳に残っている。『2001年宇宙の旅』は、約50年前の作品だ。しかし、その手法に触れた僕には、今作が“未来の映画”になるとわかっていた」

ブレインストーム」(主演:クリストファー・ウォーケン)は、人間の思考、記憶、感覚を伝導するマシーンをめぐるSFサスペンス。本作を「テクノロジーによる芸術」と語るトランブルは、自身の技術を結集させ、ショースキャン(5パーフォレーションの70ミリフィルムを使用し、60コマ/秒で大型スクリーンに投影すること)を生み出した。だが、当時ショースキャンは通常の映画館では上映ができず、どのスタジオも二の足も踏んで、本作に関わることはなかった。そこでトランブルは、仕事をしていたパラマウントから「ブレインストーム」の企画を取り戻すことを決意。同社との契約を打ち切るために、嫌々ながらも「スター・トレック」に7カ月間も携わることになった。

製作スタジオを探していた際、当時のコロンビア・ピクチャーズ社長デビッド・ビーゲルマンとの出会いを果たす。「未知との遭遇」の成功によって、コロンビア・ピクチャーズが破産を免れたということを覚えていたビーゲルマンは「『ブレインストーム』の製作に関与する」と約束してくれた。だが、ビーゲルマンは俳優クリフ・ロバートソンの小切手を偽造したことで、コロンビア・ピクチャーズを解雇され、MGMへ移ることに。その結果、MGMでの「ブレインストーム」製作が始動したものの、ショースキャンでの上映は実現しなかった。トランブルは「スクリーンサイズを、通常のシーンでは35ミリのビスタサイズ、登場人物が“ブレインストーム”を装着する時に65ミリ、と使い分けるということに落ち着いたんだ」と振り返る。

同作では、出演者のナタリー・ウッドが撮影中に入江で水死。当初は事故死とされていたが、11年の再捜査によって、遺体に複数の打撲や傷跡が判明し、不確定要素を含む水死とされた。ウッドが死去した時点で、ほぼ全ての撮影を終えていたトランブルは、「僕らスタッフが家族とともに感謝祭の週末を過ごすなか、クリストファーはサンタカタリナ島に呼ばれ、ナタリーと当時の夫ロバート・ワグナーと一緒にいた。僕はその行為さえも謎だと思ってる。なぜならロバートは、セットでナタリーと仲良くするクリストファーに怒っていたからね」と疑念を明かす。18年2月、ワグナーは、ロサンゼルス郡の警察当局から重要参考人として事情聴取を要求されたが、その聴取を拒否している。

ウッドの水死を受け、スタジオ(MGM)は「(事故は)不可抗力」と宣言し、トランブルを含めたスタッフを解雇。「撮影中に異常な出来事が起きたら、スタジオは監督に対して『(製作続行のために)何か問題はあるのか? ダブル(代役の俳優)は必要か?』と聞くはずだろう? だが、彼らはフィルムも見ず、僕と何も喋らなかった。その行為こそが、ファウル・プレイ(犯罪行為)があったという重要な証拠だと思う」と述懐する。

「3ショットの撮影がまだ残っているが、ナタリーなしでも撮影できる」とスタジオに告げたトランブルだったが、話もろくに聞いてもらえず、編集室を追い出されてしまった。世間では“水に浸かることを怖がっていた”とされているウッドだが、撮影中はプールに飛び込んだり、湖の上でカヌーに乗るといったシーンも動揺せずに行っていたとのこと。トランブルは、「それらのシーンは、スタジオによって消去された」と主張していた。

ナタリー・ウッド の関連作を観る


Amazonで関連商品を見る

関連ニュース

映画.com注目特集をチェック

関連コンテンツをチェック

シネマ映画.comで今すぐ見る

愛のぬくもり

愛のぬくもり NEW

「苦役列車」「まなみ100%」の脚本や「れいこいるか」などの監督作で知られるいまおかしんじ監督が、突然体が入れ替わってしまった男女を主人公に、セックスもジェンダーも超えた恋の形をユーモラスにつづった奇想天外なラブストーリー。 39歳の小説家・辺見たかしと24歳の美容師・横澤サトミは、街で衝突して一緒に階段から転げ落ちたことをきっかけに、体が入れ替わってしまう。お互いになりきってそれぞれの生活を送り始める2人だったが、たかしの妻・由莉奈には別の男の影があり、レズビアンのサトミは同棲中の真紀から男の恋人ができたことを理由に別れを告げられる。たかしとサトミはお互いの人生を好転させるため、周囲の人々を巻き込みながら奮闘を続けるが……。 小説家たかしを小出恵介、たかしと体が入れ替わってしまう美容師サトミをグラビアアイドルの風吹ケイ、たかしの妻・由莉奈を新藤まなみ、たかしとサトミを見守るゲイのバー店主を田中幸太朗が演じた。

母とわたしの3日間

母とわたしの3日間 NEW

休暇をもらって天国から降りてきた亡き母と、母が残したレシピで定食屋を営む娘が過ごす3日間を描いたファンタジーストーリー。 亡くなって3年目になる日、ポクチャは天国から3日間の休暇を与えられ、ルール案内を担当する新人ガイドととも幽霊として地上に降りてくる。娘のチンジュはアメリカの大学で教授を務めており、そのことを母として誇らしく思っていたポクチャだったが、チンジュは教授を辞めて故郷の家に戻り、定食屋を営んでいた。それを知った母の戸惑いには気づかず、チンジュは親友のミジンとともに、ポクチャの残したレシピを再現していく。その懐かしい味とともに、チンジュの中で次第に母との思い出がよみがえっていく。 母ポクチャ役は韓国で「国民の母」とも呼ばれ親しまれるベテラン俳優のキム・ヘスク、娘チンジュ役はドラマ「海街チャチャチャ」「オーマイビーナス」などで人気のシン・ミナ。「7番房の奇跡」「ハナ 奇跡の46日間」などで知られるユ・ヨンアによる脚本で、「僕の特別な兄弟」のユク・サンヒョ監督がメガホンをとった。劇中に登場する家庭料理の数々も見どころ。

殺人鬼の存在証明

殺人鬼の存在証明 NEW

旧ソビエト連邦史上最悪の連続殺人鬼を追う刑事の戦いを、実在の連続殺人犯たちをモデルに描いたサイコスリラー。 1991年、何者かに襲われて怪我を負った女性が森の近くで保護された。女性の証言によると、彼女に怪我を負わせた犯人の手口は3年前に捕まったはずの連続殺人犯のものと酷似しており、3年前の犯人は誤認逮捕だったことが判明。本当の連続殺人犯は10年以上にわたって残忍な犯行を繰り返し、36人を殺害していた。捜査責任者イッサは新たな容疑者アンドレイ・ワリタを追い詰め、尋問をする中で彼こそが真犯人だと確信していく。やがて、ワリタの口から驚くべき真実が明かされる。 本作が長編デビューとなるラド・クバタニアが監督・脚本を手がけ、1978年から90年にかけて50人以上を殺害した容疑で逮捕されたアンドレイ・チカチーロをはじめとする数々の連続殺人犯をモデルに、刑事や精神科医、犯罪学者にインタビューをしながら犯人の人物像を組み立てた。刑事イッサ役に「葡萄畑に帰ろう」のニカ・タバゼ。

卍 リバース

卍 リバース NEW

文豪・谷崎潤一郎が同性愛や不倫に溺れる男女の破滅的な情愛を赤裸々につづった長編小説「卍」を、現代に舞台を置き換えて登場人物の性別を逆にするなど大胆なアレンジを加えて映画化。 画家になる夢を諦めきれず、サラリーマンを辞めて美術学校に通う園田。家庭では弁護士の妻・弥生が生計を支えていた。そんな中、園田は学校で見かけた美しい青年・光を目で追うようになり、デッサンのモデルとして自宅に招く。園田と光は自然に体を重ね、その後も逢瀬を繰り返していく。弥生からの誘いを断って光との情事に溺れる園田だったが、光には香織という婚約者がいることが発覚し……。 「クロガラス0」の中﨑絵梨奈が弥生役を体当たりで演じ、「ヘタな二人の恋の話」の鈴木志遠、「モダンかアナーキー」の門間航が共演。監督・脚本は「家政夫のミタゾノ」「孤独のグルメ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭。

痴人の愛 リバース

痴人の愛 リバース NEW

奔放な美少女に翻弄される男の姿をつづった谷崎潤一郎の長編小説「痴人の愛」を、現代に舞台を置き換えて主人公ふたりの性別を逆転させるなど大胆なアレンジを加えて映画化。 教師のなおみは、捨て猫のように道端に座り込んでいた青年ゆずるを放っておくことができず、広い家に引っ越して一緒に暮らし始める。ゆずるとの間に体の関係はなく、なおみは彼の成長を見守るだけのはずだった。しかし、ゆずるの自由奔放な行動に振り回されるうちに、その蠱惑的な魅力の虜になっていき……。 2022年の映画「鍵」でも谷崎作品のヒロインを務めた桝田幸希が主人公なおみ、「ロストサマー」「ブルーイマジン」の林裕太がゆずるを演じ、「青春ジャック 止められるか、俺たちを2」の碧木愛莉、「きのう生まれたわけじゃない」の守屋文雄が共演。「家政夫のミタゾノ」などテレビドラマの演出を中心に手がけてきた宝来忠昭が監督・脚本を担当。

燃えあがる女性記者たち

燃えあがる女性記者たち NEW

インドで被差別カーストの女性たちが立ちあげた新聞社「カバル・ラハリヤ」を追ったドキュメンタリー。 インド北部のウッタル・プラデーシュ州で、カースト外の「不可触民」として差別を受けるダリトの女性たちによって設立された新聞社カバル・ラハリヤ(「ニュースの波」の意)は、紙媒体からSNSやYouTubeでの発信を中心とするデジタルメディアとして新たな挑戦を開始する。ペンをスマートフォンに持ちかえた女性記者たちは、貧困や階層、ジェンダーという多重の差別や偏見にさらされ、夫や家族からの抵抗に遭いながらも、粘り強く取材して独自のニュースを伝え続ける。彼女たちが起こした波は、やがて大きなうねりとなって広がっていく。 2022年・第94回アカデミー長編ドキュメンタリー賞にノミネートされたほか、2021年サンダンス映画祭ワールドシネマドキュメンタリー部門で審査員特別賞&観客賞、山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波部門で市民賞を受賞するなど高く評価された(山形国際ドキュメンタリー映画祭上映時のタイトルは「燃え上がる記者たち」)。

おすすめ情報

映画ニュースアクセスランキング

映画ニュースアクセスランキングをもっと見る

シネマ映画.comで今すぐ見る

他配信中作品を見る