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落ちこぼればかりが集まるクラスに赴任してきたのは型破りな教師で…と言うと日本では、人気俳優と注目株の若手が織り成す学園ドラマでいつの世も人気だが、こちらフランスのクラスは実話が基。
お国柄や学業方針や人種は違えども、教師や生徒たちの姿は真摯な感動を呼ぶ。
パリ郊外のとある高校に貧困層や様々な人種が集まるクラスがあり、問題児ばかりで落ちこぼれとされていた。
そこへ厳格な歴史教師アンヌが担任に。
当初は衝突ばかりしていたが、アンヌが生徒たちにある目標を持たせた事をきっかけに…。
アンヌに校長が言う。
あんな輩の相手をしては時間の無駄。教育者が言う言葉か!
落ちこぼれが出るのは教える方が落ちこぼれだから。
ただ勉学を教えるだけじゃなく、導くのが教育者の務め。
しかし、学校科目だけじゃ限界がある。失礼ながら、興味を持てない。
そこでアンヌはあるコンクールに参加させる。
歴史のコンクール。題材は、“アウシュヴィッツ”…。
生徒たちは無論、戦争を知らない若者たち。
重苦しい題材に当初は反発。
が、資料などに目を通し、調べ始めるにつれ、次第に興味を持ち始める。
調べれば調べるほど、知れば知るほど、衝撃を受ける。
ユダヤ人の迫害。強制収容所での虐殺。同胞や同じ年代の若者、子供たちまで…。
何故、こんな惨劇が起きた…?
もっと知りたくなる。歴史資料館などに足を運び、自主的に調べ始めるように。
もう教え導く必要はない。生徒たちは皆自ら学ぼうとしているのだ。
収容所から生還した老人を招き、生徒たちに当時を語る。
その話に耳を傾け、涙する生徒たち。
まるでドキュメンタリーのような、本作のハイライト。
これを日本に置き換えても同じだろう。
戦争を知らない今の子供たち若者たちに、戦争体験者が語る戦争の悲劇…。
一人一人誰もが考えるだろう。戦争という悲劇について。平和の尊さについて。生きるという事について。
落ちこぼれクラスがコンクールで優勝を果たす。
サクセス学園ドラマのようだが、ただそれだけではない。
やれば出来る…なんて言葉があるが、『ビリギャル』の先生がその言葉は禁句だと言っていた。
その時だけの力を見、それ以外を否定するようなものだから。
一人一人ポテンシャルを持っている。熱心なのだ。
それをどう導くか、自主的に動くか。
“奇跡の教室”なんてベタな邦題だなと思ったが、本当にそれを実践させた。
真の奇跡の教室だ。