ビクトル・エリセ

スペインのバスク自治州出身。マドリード大学で法学と政治経済学を、国立映画研究所で映画制作を学び、映画批評誌に寄稿する。1961年の初短編「テラスにて」を皮切りにいくつかの短編映画を監督する一方、アンチョン・エセイナ監督作「次の秋」（67）の共同脚本兼助監督や、ミゲル・ピカソ監督作「あいまいな八月の夢」（68）の共同監督も務め、オムニバス「挑戦」（69）の一編で商業監督デビュー。

初長編監督作「ミツバチのささやき」（73）で国際的に高い評価を得る。その後10年の時を経て第2作「エル・スール」（83）を発表し、さらに10年後、画家アントニオ・ロペス＝ガルシアの日々を追う半記録映画「マルメロの陽光」（92）でカンヌ国際映画祭審査員賞、国際映画批評家連盟賞を受賞。06年にはアッバス・キアロスタミ監督とのビデオ往復書簡を発表した。

そして2023年、31年ぶりの長編第4作「瞳をとじて」を発表し、世界中の映画ファンを驚かせた。他、短編の監督作にオムニバス「10ミニッツ・オールダー」（02）の一編「ライフライン」、「ラ・モルト・ルージュ」（06）などがある。溝口健二の研究者としても知られ、東日本大震災を受けて制作されたオムニバス「3.11 A SENSE OF HOME FILMS」（12）にも参加している。