新人女優と信頼関係を築いたが…マット・ディロンがマーロン・ブランドに扮して演技論を語る「タンゴの後で」本編映像
2025年9月3日 11:00

ベルナルド・ベルトルッチ監督の代表作のひとつで、1970年代最大のセンセーションを巻き起こした「ラストタンゴ・イン・パリ」。傑作と呼ばれた映画の裏側で何があったのか、を出演女優の目線から社会に問いかける問題作「タンゴの後で」。「ラストタンゴ・イン・パリ」で、で最も問題となったシーンのリハーサルを再現する本編映像と著名人からのコメントが公開された。
「ラストタンゴ・イン・パリ」は、第77回カンヌ国際映画祭に正式出品され、今なお世界中で問題とされるエンタテインメント業界における権力勾配、搾取について鋭い視線を投げかけた問題作。当時19歳だった新人女優マリア・シュナイダーが脚本にない絡みのシーンを何も知らされずに、レイプ同様に強行撮影され、その映像がカットされることなく公開されると、法曹界をも巻き込んで、各国で「芸術か、猥褻か」の議論が繰り広げられることになった。
19歳のシュナイダーは気鋭の若手監督ベルナルド・ベルトルッチと出会い、「ラストタンゴ・イン・パリ」で一夜にしてトップスターに駆け上がる。しかし、48歳のマーロン・ブランドとの過激な性描写シーンの撮影は彼女に苛烈なトラウマを与え、その後の人生に大きな影を落していく。本作は「70年代最大のスキャンダル」と言われた作品の舞台裏で一体何が起きていたのか? 映画の撮影現場での問題について声を上げた最初の女性の一人である、マリア・シュナイダーの波乱に満ちた人生に焦点を当てる。
マリアを演じるのはベネチア映画祭金獅子賞受賞作「あのこと」のアナマリア・バルトロメイ。そして、マーロン・ブランド役をマット・ディロンが演じている。監督はベルトルッチの「ドリーマーズ」(2003)の現場でインターンを経験し、ベネチア映画祭での受賞経験もあるジェシカ・パルー。
このほど公開された本編映像は、撮影の準備中にセットのマットレスの上で寛ぐマーロン・ブランドとマリア・シュナイダーが演技について会話するシーン。「昨日は衝撃を受けた。本当に泣いているかと思った。私にはできない」とブランドの演技に感銘を受けるマリアに、「あれは演技じゃない。本当に泣いた。撮影ではウソの涙を使うが、あれば監督に引き出された」と答えるマーロン。「俳優の養成所では泣き方も教わるが、嫌いだった。嘘やごまかしだ。だけど昨日、俺が何より憎んだのは真実だ」と往年のスターが若い新人女優に演じることの本音を語る様子から二人の間に信頼関係が築き上げられていくのが感じられる。しかしこの後、マリアは想像もしないやり方で“本当の涙”を引き出されることになる――。
本作でマーロン・ブランドという憧れのスターを演じたマット・ディロンは、撮影後、自身のアイドルであったブランドについて「どうしてそんなことができたんだ?」と語った。「マーロンがどうしてあんなことができたのか、いまだに理解できない。彼とベルトルッチはおぞましい間違いを犯した。それは確かだ。しかし俳優にとって“アドリブ”というのはこの職業の要素の一つ。俳優は役になりきることを求められるんだ。私は、彼らがサディスティックだからあんなことをしたとは思わない。何かを探し求めていたんだろう。しかし、その結果、一線を越え、マリアの信頼を裏切ってしまったわけだが、僕はマーロンを演じるにあたって彼をジャッジ、裁くことはしなかった。ジャッジするのは俳優の仕事ではない」と複雑な胸中を語っている。(劇場用パンフレット用インタビューより引用)
映画は9月5日からTOHOシネマズシャンテほか全国公開。
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