「多様性の時代」の現実 黒人女性の主演映画は興行収入上位作品のわずか4%
2025年5月30日 23:00

ハリウッドでは近年、多様性と包括性への取り組みが加速している。マイノリティ主演映画の製作が相次ぎ、今年のアカデミー賞ではゾーイ・サルダナが助演女優賞を受賞するなど華やかな成果が注目されている。しかし、その裏で黒人女性が主演を務める映画は興行収入上位作品のわずか4%に過ぎないという現実がある。この衝撃的な実態を描いたドキュメンタリーが話題を呼んでいる。
Apple TV+で3月28日から配信開始された「Number One on the Call Sheet」は、多様性推進の華やかな表面の下に隠された黒人俳優の現状を明らかにする作品だ。二部構成で、女優にフォーカスした「Black Leading Women in Hollywood」編では特に厳しい現実が描かれている。
制作総指揮を務めるのは「ゴースト ニューヨークの幻」でアカデミー助演女優賞を受賞したウーピー・ゴールドバーグ。同作品には、ゴールドバーグをはじめ、ハル・ベリー、オクタビア・スペンサーのほか、アンジェラ・バセット、ビオラ・デイビス、ガブリエル・ユニオン、テッサ・トンプソンらが出演している。彼女たちは業界の障壁を乗り越え、機会を創出し、ハリウッドの伝統的な黒人女性像を再定義してきた経験を率直に語る。
最も衝撃的な事実は、ベリーが「チョコレート」でアカデミー主演女優賞を受賞して以来、23年間で黒人女性の主演女優賞受賞者が一人もいないことだ。2021年にはアンドラ・デイ(「ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ」)とデイビス(「マ・レイニーのブラックボトム」)が主演女優賞にノミネートされたが、両者とも受賞を逃している。
「私たちの中で誰も受賞に値するほど優秀ではなかったということなのでしょうか。誰も? これだけ多くの人がいるのに、誰も? これは毎年話題になる議論です」とゴールドバーグは語る。
一方、助演女優賞の状況は対照的だ。1940年のハティ・マクダニエル(「風と共に去りぬ」)を皮切りに、ゴールドバーグ、ジェニファー・ハドソン、スペンサー、ルピタ・ニョンゴ、デイビス、レジーナ・キング、アリアナ・デボーズ、ダバイン・ジョイ・ランドルフ、そして今年のゾーイ・サルダナ(「エミリア・ペレス」)まで、計11人の黒人女性が受賞している。
この格差について、タラジ・P・ヘンソンは独自の見解を示している。
この現実は、近年のハリウッドにおける多様性推進の取り組みにもかかわらず、根深い課題が残存していることを示している。表面的には包括性が推進されているように見えても、実際の権力構造や意思決定において、黒人女性が真の主役として認識されるまでには課題が残る。
今回のドキュメンタリーは、業界内外で重要な議論を促すきっかけになりそうだ。
「Number One on the Call Sheet」は現在Apple TV+で配信中。
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